おはようございます。
だいぶ間が開きましたが、芸大美術館の”日本美術をひも解く(皇室、美の玉手箱)”展の紹介文、第二弾となりまする。お相撲や大谷情報、彼岸花報告など新鮮ネタ優先で、展覧会記事はいつも遅れてしまいます。
本展の一番の目玉はやはり、若冲の最高傑作、”動植綵絵”でしょうか。全30幅のうち、10幅も上野に集結した。2016年4月には東京都美術館で30幅そろいで展示されたが、大変な人気で、ぼくも3時間待ちで見たものだ。今回は15分待ちくらいで再会できた。
で、今回もこれを中心に紹介したい。ぼくもそうだが、多くの人はこれをお目当てに来られたのでは。会場内は写真撮影禁止だが、ここでの画像はマイコレクションから調達した。
本展は、次のような章立てである。ほとんど三の丸尚蔵館所蔵だが、芸大美術館所蔵のものも一部ある。すでに2章まで紹介しているので、今日は3章、4章となりまする。
序章 美の玉手箱を開けましょう
1章 文字からはじまる日本の美
2章 人と物語の共演
3章 生き物わくわく
4章 風景に心を寄せる
3章 生き物わくわく
ここでは様々な生き物が描かれた若冲の動植綵絵10幅を中心に、江戸絵画や明治工芸品等が展示され、わくわくさせられる。
国宝・動植綵絵 (若冲)江戸時代18世紀 明治22年(1889),相国寺より献上。
若冲が40歳で弟に家督をゆずって、絵画に専念し、10年かけて30幅を完成。それをお世話になっている相国寺に寄進し、自作の釈迦三尊像の周りに仏画のように置いてくれるようにお願いする。三十幅の中には、それこそ様々な動植物が登場する。鶏を中心とした鳥類が多いが、樹木、草花、蝶、虫、魚、蛸まで顔を出してくれる。
相国寺ではこんな感じで展示されていた。現在は三の丸所蔵。
本展では、10幅(芍薬群蝶図、梅花小禽図、向日葵雄鶏図、紫陽花双鶏図、老松白鶏図、芦鵞図、蓮池遊魚図、桃花小禽図、池辺群虫図、芦雁図)が展示されている。
芍薬群蝶図 色とりどりの芍薬の花とさまざまな蝶。
梅花小禽図 満開の梅花と8羽のメジロ。
向日葵雄鶏図 鮮やかなヒマワリを背景に見栄を切るような雄鶏。向日葵は北米原産で17世紀に渡来してきたばかり。
紫陽花双鶏図 つがいの鶏を慶祝するような紫陽花。
老松白鶏図 深い緑の松の中に白い羽根と真っ赤な鶏冠が浮かぶ。
芦鵞図 カラーとモノクロのコントラスト。大胆な筆使いの芦。
蓮池遊魚図 仏花の蓮が咲き誇る水中の幻想的な世界。
桃花小禽図 淡い桃色を基調にした桃の花と鳩。
池辺群虫図 池辺に集まる70種以上の小さき虫たちの楽園
芦雁図 ひび割れた池の表面、芦の枝に積もった雪、冬景色と雁。
さて、次はいつみられるだろうか。三の丸尚蔵館のリニューアルオープン時かな。
。。。。。。
若冲の動植綵絵は後期展示だったが、前期展のこの場所には大きな屏風が立った。2009年に東博で”皇室の名宝展”があったが、そのとき若冲の”動植綵絵”三十幅すべてと永徳、常信の”唐獅子図屏風”が同時に展示されていた。永徳の唐獅子は迫力があった。一方、となりの左隻、狩野常信の唐獅子はやさしそうだった。常信は永徳の曽孫になるらしい。下図は恐い方の唐獅子。
国宝・唐獅子図屏風 (右隻) 狩野永徳(左隻) 狩野常信
牡丹孔雀図 円山応挙
花鳥十二ヶ月図 酒井抱一
鮭 高橋由一(芸大美術館蔵)日本一有名な鮭(笑)
以下写真がないが、メモしておいたもの。
旭日双鶴図 荒木寛畝
秋茄子 西村五雲
暮韻 橋本関雪
青華氷梅文花瓶 初代宮川香山
鹿置物 高村光雲
4章 風景に心を寄せる
前期には海北友松の屏風が二つ並んだ。浜松図屏風と網千図屏風。これも前述の東博展で見ているが写真はない。
七宝四季花鳥図花瓶 並河靖之 大きく配された山桜やモミジとともに数種の野鳥が,並河の創始した光沢をたたえた黒色釉の背景から鮮やかに浮かび上がる。また,細密な図案は絵筆で描かれたかのように,樹幹の輪郭となる金属線に肥痩がつけられており,その技術の高さには目が奪われる。近代有線七宝の最高水準を示す並河の傑作として,内外での大きな評価を得ている。御下命により制作されて1900年パリ万国博覧会に出品された作品(宮内庁解説)。素晴らしかった。
横山大観 飛泉
黄昏 和田英作
五姓田義松 ナイアガラ景図
素晴らしい展覧会だった。ぼくには今年一番の美術展だったかも。これらの作品は、たぶん令和5年秋の三の丸尚蔵館のリニューアルオープン展で再会出来るはず。1年後ならまだ元気でいられるだろう(笑)。
(完)
それでは、みなさん、今日も一日、お元気で!