おはようございます。
東京都美術館で開催されている、”美の巨匠たち/スコットランド国立美術館展”の記録、第2弾になりまする。本展には、誰もが知っているような名画というのはないが、ぼくでも知っているルネサンス時代から19世紀までの巨匠たちの、作品がたっぷり展示されている。また、目に触れることの少ないスコットランドの画家の作品も来日している。なかなかエディンバラまで行けないが、上野でスコットランド国立美術館の名品を楽しめるのはありがたい。
本展は下記のような時系列に美術史を辿る章立てになっている。今回は3章のグランドツアーから始める。会場は撮影禁止なので、ちらしに載っている代表作品を中心に多少の説明文を添えた。
プロローグ/スコットランド国立美術館
1・ルネサンス
2・バロック
3・グランド・ツアーの時代
4・ 19世紀の開拓者たち
エピローグ
3・グランド・ツアーの時代
18世紀初頭のパリでは、ヴァトー、ブーシェらが幻想的な理想郷、牧歌的な風景を描いた。イギリスでは、肖像画が発展し、三大画家と呼ばれるゲインズバラ、レノルズ、ラムジーが活躍。また、イギリスのコレクターたちが、美術品の購入や文化的教養を深めるために「グランド・ツアー」と呼ばれる大規模なヨーロッパ旅行をした時代で、グアルディによるヴェネツィアの美しい風景画などが、熱心に収集された。
フランソワ・ブーシェ 田園の情景(「愛すべきパストラル」)田園の情景(「眠る女庭師」)田園の情景(「田舎風の贈物」)1761年 フランス・ロココの代表的画家、ブーシェの晩年の大作。豊かな自然の中で、羊飼いや庭師たちが若い女性に花を贈って誘惑している。牧歌的風景の中での男女の戯れる主題はブーシェの芸術の象徴。
ジョシュア・レノルズ ウォルドグレイヴ家の貴婦人たち 1780–81年 イギリスのロイヤル・アカデミーの初代会長のジョシュア・レノルズの代表作。「三美神」という伝統的な主題を想起させながら、肖像画の地位を高めようとしたレノルズを象徴する作品。本展の目玉作品の一つ。
トマス・ゲインズバラ ノーマン・コートのセリーナ・シスルスウェイトの肖像 1778年頃 ゲインズバラは肖像画家として知られ、生涯に700点以上の肖像画を残しているが、「肖像画は金のために、風景画は楽しみのために描く」と言っていたと伝えられる。
フランチェスコ・グアルディ ヴェネツィア、サン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂 1770年頃 ヴェネツィア旅行者への観光土産として描かれた名所画。
4・ 19世紀の開拓者たち
19世紀は肖像画や風景画が続く一方、世紀半ばに活躍したバルビゾン派や、その後の印象派、ポスト印象派など、革命的な画家たちが登場して大きな変革をもたらした。スコットランドでは、華麗で伝統的な「グランド・マナー」の肖像画を描いたグラント、イングランドでは、文学や物語をテーマにしたミレイ、革新的な風景画コンスタブルらが活躍した。
フランシス・グラント ウィリアム・マーカム夫人 1857年 結婚を控えたグラントの愛娘がモデル。
クロード・モネ エプト川沿いのポプラ並木 1891年 モネのポプラ並木25連作の一つ。写真ではわからないが、実物ではモネらしい光あふれる風景。
ジョン・エヴァレット・ミレイ 「古来比類なき甘美な瞳」1881 当代随一の俳優(子役)がモデル。
ポール・ゴーガン 三人のタヒチ人 1899年
ジャン=バティスト・カミーユ・コロー ラ・フェルテ=スー=ジュアール近郊の思い出(朝)1865–70年頃 イタリア風景画とオランダ風景画の伝統を共存させ、バルビゾン派や印象派に大きな影響を与えたというコローの晩年作。パリの東に位置するマルヌ河沿い。
ジョン・コンスタブル デダムの谷 1828年 コンスタブルの故郷を描く。
ジョルジュ・スーラ 「アニエールの水浴」のための習作 1883年頃 スーラの代表作である《アニエールの水浴》(ロンドンナショナルギャラリー)のための貴重な習作。本作と似ていないが、その一部の習作。
ピエール=オーギュスト・ルノワール 子どもに乳を飲ませる女性 1893–94年 モデルの女性はルノワール家の乳母。
ほかにも、画像はないが、ターナー のトンブリッジ、ソマー・ヒル(1811年)、エドガー・ドガの 踊り子たちの一団(1898年頃)、ベルト・モリゾ の庭にいる女性と子ども(1883–84年頃)、シスレー の シュレーヌのセーヌ川(1880年)など巨匠の作品が並ぶ。
エピローグ
アメリカの風景画家、チャーチの大作、《アメリカ側から見たナイアガラの滝》の1点。スコットランドのつつましい家庭に生まれ、アメリカに渡って財を成した実業家が、母国への感謝の気持ちを込めてスコットランド国立美術館に寄贈した作品とのこと。
フレデリック・エドウィン・チャーチ アメリカ側から見たナイアガラの滝 1867年
(完)
とても素晴らしい展覧会でした。上野は7月3日で終了し、そのあと。神戸に巡回するようです。
それでは、みなさん、今日も一日、お元気で!
昨日、大谷豪快16号(今朝は残念ながら出ませんでした)