おはようございます。
急に涼しくなった数日前、東御苑に出掛けた。お目当ては、苑内の草花よりむしろ、三の丸尚蔵館の展覧会。”春日権現験記絵”が13カ年の大修理を終え、いよいよお披露目になったのだ。
昨年1月に東博で開催された”春日大社/千年の至宝展”にも、この絵巻は登場したが、それは摸本の一つで、春日本と呼ばれているもの。東博にも摸本がある。今回のは摸本ではなく、本物である。延慶2年(1309)3月と記載のある付属の目録により、左大臣西園寺公衡が制作と春日社への奉納を計画し,宮廷絵所預の高階隆兼が絵画を描き,詞書を鷹司基忠の父子四人が担当したことが分かっている。一場面の欠如もなく、かつ表紙などの装丁,収納箱なども、当時のままであるという。
本展では、全20巻のうち、15巻が展覧され、さらに、目録 1巻、藤花蒔絵収納箱 2点、修理前の旧表紙と旧軸首,修理後の表紙,軸首、収納箱も見ることができる。絵巻の表紙裂の復元には,皇后陛下が紅葉山御養蚕所でお育ての古代品種”小石丸”の糸を使用したとのこと。
絹の上にやまと絵技法により描かれた色彩豊かに精緻な画面はうっとりするほど美しい。物語は見開きのカタログに各巻ごとの場面の紹介があり、その概要がわかるようになっている。
カタログの表紙を飾るのがこの場面

以下、サイトで紹介されている場面をお借りした。
巻第2 寛治7年(1093),白河院の春日行幸

巻第5 富み栄える藤原俊盛の邸宅

巻第19 雪の御笠山と春日奥山 これは、ぼくが、ランブール三兄弟の”ぺりー公のいとも豪華なる時祷書”をここで紹介したときに、引用した図。ランブール三兄弟は西洋画ではじめて雪景色を描いたとされるが、それより100年も前に高階隆兼は雪景色を描いている。


10月21日まで開催しているので、これからも、御苑のお花見がてら、何度か行きたいと思っている。
それでは、みなさん、八月最後の一日をたのしく、お元気で!