若いころは、神田神保町の古本屋街を巡るのが好きでよく行ったものだ。今でも、嫌いではなく、鎌倉の古本屋さんをのぞくともよくある。だから、”銀座古書の市”のポスターを観て、そこをはずすわけにはいかない。銀ブラをしていた昨日、たまたま、松屋銀座の8階大催場の古書市をのぞいてきた。
古書といっても、いわゆる古本だけではなく、むしろ美術品が多く、古美術商展といった風情だった。さすが銀座で開くだけあって、値段もいいのが多い。ぼくの小遣いで買えるようなものは限られている。結局、カタログ(500円)だけしか買わなかったが(汗)、観るだけでも、とても楽しめた。
時期的には、江戸から明治、大正、昭和と多岐に渡り、売りものも、浮世絵、版画、書、色紙、短冊、さらには少女雑誌、映画ポスターまである。加えて、江戸時代の古色蒼然とした和本(古本屋さんで作家の、出久根達郎さんの講演で知ったのだが、和本はまだまだたくさん、うずもれていて、今後300年は商売できるとのこと)等、それだけでも風格のあるお爺さんの顔をみるようで楽しかった。
清方さんと松園さんの画集が、それぞれ、なんと1000円だったので、買おうかなと、ぱらぱらめくったら、だいたいぼくの持っている画集に含まれているものばかりだったのでやめた。小百合ちゃんの若いときの写真入り色紙は、数千円の値段がついていたが、これもちょっとふらりとしたが、やめた。小百合ちゃんの昔の映画ポスターもあったが、これも泣く泣くパスした(笑)。江戸名所百人美女(三代豊国)や小泉癸巳男の、昭和大東京百図絵版画なんかも良かったが、お小遣い圏外で、これは笑って(武士は食わねどたかようじ)、パスした。
熊本から出店している古書店があった。これにはびっくりした。熊本の人なら知っている、上通り(下通りと共に、一番賑やかな通り)にある舒文堂河島書店である。さすが漱石さんが住んだ街だ。ワイフが生まれた街だ(爆)。ワイフの女学校の先輩にあたる中村汀女さんの俳句の自筆の色紙もあったが、これも”みるだけ”とした。帰って、カタログをみると、額入りで65000円だった。ついでながら、司馬遼太郎色紙は26万円もする。さらに山頭火は31万円、棟方志功、58万円だった。どうやって値をつけるのだろうか。ついでながら、出店しているお店は、さすが神田が多く、5店、本郷2店、その他、早稲田(五十嵐書店)、小金井、南青山、世田谷上馬(時代や)だった。鎌倉、横浜はゼロだった。京都もなし。熊本に負けず、来年は出てきてほしい。
どなたかがおばあちゃんが蒐集した著名人の色紙が沢山あるのだけれど、観てもらえないだろうかと、書店の人に尋ねていた。書店の人は予防線をはって、今の方が知らない人の色紙では、値がつかないんですよと応答した。東郷平八郎のもあるという。”坂の上の雲”も始まっているし、買う方はいると思うと追撃していた。どうなったのであろうか。
カタログだけを買っただけだったが、これが意外な収穫物がついていた。次回の”川喜多半泥子展”の招待券2枚つきなのだ。入場券は1000円だから、500円で2000円の招待券をゲットしたことになる。これだけでも、大変、お得です。
ぼくのブログ観て下さる方だけにそっと教えます。でも、明日で終幕です。