おはようございます。
先日、恵比寿ガーデンプレイスにある東京都写真美術館を訪ねた。生誕100年記念/ユージン・スミス展のちらしの表を飾る”楽園への歩み”を見たくてね。
暗い木立に差しこむ光の中を歩みはじめる、ユージン・スミスの幼い息子と娘。ほのぼのとした写真だが、これを撮った状況を知るとついほろりとしてしまう。まさに”楽園への歩み”。
スミスは、太平洋戦争の従軍記者として米軍の航空母艦による爆撃作戦に同行したが、そのとき、沖縄で爆風にさらせれ重傷を負った。帰国し、長期の療養生活に入る。地獄から生還して、ようやく、家族との安らぎの生活を得た。そして、はじめて撮った写真がこれなのだ。この作品は、”人間家族”展に出展され、大評判となり、ユージン・スミスの代表作となった。
会場入口には撮影用に大きなポスターが飾られているが、展示室のものは、他の作品と同様、小さなサイズである。
展覧会では、このようなほのぼとした写真はこれだけで、あとはライフ誌に掲載されたものを中心に時系列に150点余りの作品が次のような章立てで展示されている。
1)初期作品、2)太平洋戦争、3)カントリードクター、4)イギリス、5)スペインの村、6)助産婦モード、7)化学の君臨、8)季節農場労働、9)慈悲の人、10)ピッツバーグ、11)日立、12)水俣、その他
ちらしの裏面に掲載された代表作品の数々
発煙手りゅう弾で追い立てられる民間日本人/サイパン、1944
馬に蹴られて負傷した少女に救急処理をほどこす/デンバー(1948)
建設現場のシュヴァイツァー博士/ガボン(1954)
アンドレア・ドリア号の生存者を待つ/ニューヨーク(1956)
以下、東京都写真美術館によるユージン・スミスの紹介です。
W.ユージン・スミス(1918-1978)は、写真史上、もっとも偉大なドキュメンタリー写真家のひとりです。グラフ雑誌『ライフ』を中心に「カントリー・ドクター」、「スペインの村」、「助産師モード」、「慈悲の人」など数多くの優れたフォト・エッセイを発表し、フォト・ジャーナリズムの歴史に多大な功績を残しました。
とりわけ日本とのかかわりが深く、17歳のときニューヨークで偶然であった日系写真家の作品につよい感銘をうけ写真の道を志すきっかけになったこと、太平洋戦争に従軍して、戦争の悲惨で冷酷な現実をカメラで世に伝えんとして自らも沖縄戦で重傷を負ったこと、戦後の日本経済復興の象徴ともいえる巨大企業を取材した「日立」、その経済復興の過程で生じた公害汚染に苦しむ「水俣」の漁民たちによりそった取材などがあります。
本展覧会は、生誕100年を回顧するもので、スミス自身が生前にネガ、作品保管を寄託したアリゾナ大学クリエイティヴ写真センターによる協力のもと、同館所蔵の貴重なヴィンテージ・プリント作品を150点展示します。情報あふれる現代社会に生きる私たちにとって、ジャーナリズムの原点をいま一度見つめ直すきっかけになることでしょう。
東京都写真美術館
東京写真美術館は恵比寿ガーデンプレイス内にある。ホテルの前のスケート場。
スケート嬢とヌード嬢
それでは、みなさん、今日も一日、お元気で!