まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

日生でカキ満喫

2012年02月28日 | 旅行記F・中国

さて、先の記事では日生にカキを食べに行ったことを書くつもりが、手前の播州赤穂で止まってしまった。ここから先に進めることに。

・・・ということでホームに出たのだが、列車がやって来ない。折り返しの列車が山陽本線内でのトラブルの影響で到着が遅れており、そのために発車も遅れるという。まあ先を急がない旅、これも混戦BB会らしい。

Dscn2716やってきた黄色一色の115系に揺られる。車窓は田園から山間部にさしかかる。兵庫から岡山県に入り、進行左手に海が見えたところで日生に到着。京阪神方面からの新快速に接続する列車ということで結構多くの人が下車した。改札口では精算を行う人の列ができている。同じように、「関西1デイパス」の乗り越しで来た人が多いようである。

観光案内所でカキオコの店マップをもらう。夏に来たときは「夏はエビオコ」と書かれていたのだが、やはり本格シーズン。日生カキの情報満載である。いくつもの店がある中で行くことにしたのが、店の雰囲気もよかった「あらた」。

Dscn2722時刻は11時を回ったところであるが、国道に面した小さな店の前には行列。中から店のおばちゃんが出てきて、「こっち側に並んでください」という。家の玄関の前にベンチが設けられ、そこに並ぶ。そうするうちに後から行列も伸び、15人くらいは並んでいたか。それ以上に国道も渋滞しており、他県ナンバーのクルマも結構見る。それだけ日生のカキ、カキオコの人気が出てきたということか。B-1グランプリの威力はすごいものがある。今や町おこし、地域活性化には必須アイテムのようになっており、「うちにもB級グルメがある」とあちこちでメニューを掘り起こすのだろうが、中には「本当にそれ、地元の人たちは昔から食べているの?」というものもあるかもしれない。この「ブーム」も時間が経って落ち着いてからが勝負だろう。美味いものはいつ食べても美味いし、一時のブーム商品のようなものはいつしか廃れるものである。

Dscn2723待つ間に軽トラが横付けされ、「置いとくよ」と、カキがてんこ盛りのコンテナを2つ置いて立ち去る。先ほど上がってきたものらしいが、それにしても大胆な仕入れ方法である。後からこれをむく作業が大変かとは思うが・・・・。

1時間近く待つことになったが、ようやく店内に入る。「お待たせしてすみませんでしたねえ」としきりに恐縮される。小ぢんまりとした店内であるが、おばさん3人がかりで切り盛りしても鉄板をさばくのは1人なので、なかなか回転が進まない。まあ、もともと1人で回していたところに大勢の観光客が訪れるようになったのだから行列になる。そして行列が新たな観光客を呼んでまた行列になって・・・・。私たちもその一部なのでエラソーなことは言えないが。

Dscn2730メニューはシンプルにカキオコ、モダン入り、そして「おっぱい焼き」。カキが「海のミルク」と呼ばれることから鉄板焼きをそう呼んでメニューにしている。3人は最初テーブルで待っていたのだが、前の客と入れ替わるように鉄板横に招かれる。焼きながらのおばちゃんの絶妙のトークで時間を感じさせないし、こういう応対をされるのであれば待った甲斐があるというもの。このキャラも店の人気の要因であろう。

おっぱい焼きを3人で分け合い、そしてカキがふんだんに盛られたカキオコをいただく。焼き方も関西風と広島風のそれぞれの特徴をうまく使っていると思う。玉子も一緒に焼く中で、「ちゃんと温度管理してますからね」と、お好み焼の中に温度計を突っ込んで「100度超えました。ちゃんと加熱大丈夫」とやっていく。

Dscn2731ヘラでいただくカキオコ。ソースと磯の香がよく絡み合っている。これは「お好み焼のカキ入り」ではなく、「カキオコ」という一つの料理なのだな、と感じさせる。後は黙々と食べるだけである。

Dscn2728途中、鈍な支障さんが、先ほど店頭に置かれたカキについて尋ねる。ただおばちゃんによれば、別にあれの殻をむいて客に出すというものではないそうだ。収獲の中で傷がついたりして水が出たものとかで、商品にはならないそうだ。要は客に出せないものを自家で消費するためにサービスで持ってきてもらっているものとか。それにしても、カキの賄いというか、お裾分け、私なら毎日でももらいたいほどだ。もっといろいろな種類の調理法があればいいのだが・・・。

客に出すものは加工場できちんとむいたものを出すということで、その作業には中国からの留学生が研修の目的で当たっているとか。ただそれ、ビザなしの労働に当たるとか、そっちの心配はしなくてもいいのかな・・・・?

まあそれは余計な詮索として、カキの味を満喫したところで店を出る。列車の時間まであるので、海産物を扱う「五味の市」まで歩くことに。国道の渋滞は、国道から脇道に入った五味の市まで数百メートルにも渡っており、人気のほどを思わせる。こういうのを見ると、鉄道の利便性というのを実感する。

Dscn2738その五味の市でもカキオコの屋台が出ていたが、こちらではカキオコよりもむしろ、カキそのものの購入がメインの客が多い。市場の中でもカキを扱う業者の売り声が響く。一盛で1000円からいくらでもあり、サンプルを見ても身の大きさは評判どおり。ただ私にとって「何かが足りない」と思ったのが、そう、これらがすべて「加熱調理用」というもの。だから買ったその場でツルっと生ガキを味わうことができない。ご時世柄生食を扱わないのかなというよりは、そもそも日生の場合は「加熱調理」が原則なのだろう。生ガキ好きにとってはこの点だけが残念なところ。さすがにその場で食べられないとなると、購入するのは断念する(自宅に送っても調理できないので)。

Dscn2739代わりに試してみたのが「カキフライのソフトクリーム」。ソフトクリームにカキフライをトッピングし、ソースをかけたもの。最初は「これって合うのかな」と思ったが、ここはソフトクリームではなくカキフライを主役と考えれば、カキフライをソフトクリームで食べるという感覚。これが意外と合う。カキフライの場合、タルタルソースにつけて食べることがあるから、それに近いものがある。まあデザートということでいただくことができた。

五味の市の外ではテントで食事をする人が大勢いた。なるほど、ここで購入したカキを鉄板に乗せて、その場で焼いて食べるということか。次にこの時期に来る時はこういう楽しみもありかなと思う。その残骸とか、カキの養殖に使うホタテの貝殻などがずらりと並ぶ光景。「これだけの量のカキを消費するのだな」と、名物の舞台裏も垣間見ることに。

Dscn2743海に沿って歩くことに。海とはいえ、日生諸島、その奥には小豆島も控えて実に穏やかな日生の海。「こういうところでのんびりするのもいいですね」「さすがに大阪に通勤は難しいでしょうが、姫路あたりなら通勤範囲でしょう」。なかなか好印象のところである。

Dscn2749駅前で「牡蠣でシュー」というシュークリームを購入し(特にカキの何かが使われているということではなく、要は名物にあやかった食べ物だったが)、駅に戻る。ここから関西方面に戻る客の姿が多い中、私たちはさらに西に進む。やってきたのは115系の湘南カラー。昔ながらのボックス席が並ぶ、それこそ昔ながらの鈍行列車。こちらで食後の昼寝タイムとしながら、目指したのは岡山・・・・。

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