まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第21回九州八十八ヶ所百八霊場めぐり~山鹿温泉のスポットをたどる

2025年01月29日 | 九州八十八ヶ所百八霊場

九州八十八ヶ所百八霊場めぐりは熊本北部の山鹿から玉名、荒尾をたどる。今回で熊本県内の札所はコンプリートとなる予定。

さて前の記事では山鹿にある第100番・金剛乗寺に参詣し、この後は初めて訪問する山鹿での一時を楽しむ。学生時代以降九州には何度も上陸しているが、札所めぐりを目的としてみると、まだまだ訪ねたことがないエリアが多いのを実感する。熊本北部の山鹿というところも、鉄道が通っていないというそれだけのためにこれまで訪ねたことがなかった。ただ今回、宮崎、鹿児島を含めた九州一周の意味もある九州八十八ヶ所百八霊場めぐりの中で新たに訪ねることができた。

その金剛乗寺の参詣後に訪ねたのは、同じ豊前街道にあるにある八千代座。建てられたのは明治末の1910年、山鹿の旦那衆が町の繁栄を願ってのことである。山鹿は豊前街道に面し、菊池川の水運もあったこと、また山鹿温泉が湯治場ということで賑わっており、その娯楽の中心であった八千代座では往年のスターによる数々の公演や映画の上映が行われ、人気を博した。

ただ、戦後になって娯楽の中心がテレビに移ったこともあり、経営不振で八千代座は閉鎖。建物は山鹿市に寄贈され、後に国の重要文化財に指定され、2001年に復元修理が完成した。現在も数々の公演が行われており、昨年は十代目市川團十郎さんの襲名披露公演もあった。周辺でポスターが貼られていたのが、直近の2月14日・15日興行の「坂本冬休み 爆笑ものまねショー」・・・。

興行がない時は見学が可能である。扉を開けて中に入ると、これぞ芝居小屋、歌舞伎小屋という世界が広がる。客席に座ったり、花道を歩いたり。側面のほか、天井にも広告が並ぶ。これらはかつての旦那衆の広告を再現したものだとか。

見学ルートは座席や舞台のほか、楽屋や舞台下など一通り見ることができる。

二階席、大向こうにも上がってみる。今は誰もいないが、実際の公演、そして大勢の観客で埋まると一体化する空間になるのだろうなと想像する。なかなかこうした昔ながらの芝居小屋で鑑賞する機会もないのだが・・。

続いて訪ねたのは山鹿灯籠民芸館。建物は大正時代、当時の安田銀行山鹿支店として建てられたもので、1973年まで銀行として使われていた。

中に入るとまずは紹介映像の視聴を勧められる。山鹿では毎年夏の2日間、山鹿灯籠まつりというのが開かれる。その代名詞といえるイベントが、和紙で作製した金灯籠を頭に掲げた女性が舞い踊る「千人灯籠踊り」である。映像では祭りの伝統を受け継ごうと日頃から稽古に励み、そして晴れの舞台で舞い踊る山鹿の人たちの活き活きした姿が流れる。

また、灯籠まつりではかつての旦那衆が神殿や建物などを奉納しており、現在も「灯籠師」の手によりその技術が受け継がれている。民芸館ではその力作を見ることができる。

かつて銀行の金庫室だった一角には、先ほど訪ねた八千代座の舞台が忠実に表現されている。実に精巧。

その八千代座の建物全体の作品もある。現在の八千代座は周りの建物に囲まれて全体を見ることができないため、様子をうかがえる貴重なものだという。

展示コーナーの中央には、先ほど引退した「SL人吉」の8620形蒸気機関車、そして現在も不通が続く肥薩線の球磨川第一橋梁。こちらは現在の若手の灯籠師の作品である。

他にも日光東照宮、浅草雷門、金閣寺などの建造物やブルーインパルスの戦闘機など、その精巧さを見る楽しさがある。制作するにはとてつもない根気が必要だろうが・・。

もう一つ目を引いたのが、線路の上を走るバス車両。レールバスというやつだ。かつて、鹿児島線の植木と山鹿の間に山鹿温泉鉄道という私鉄があったとのことで、このレールバスは車両不足を補うために一時的に走っていたそうである。利用客の減少に加え、幾度も水害に遭ったことから1960年に全線休止、1965年にそのまま廃止になった鉄道である。先ほど山鹿まで植木経由でバスに乗って来たが、さすがにその頃廃止された路線となるとその痕跡は残っていないだろう。

吹き抜けの2階には金灯籠が吊り下げられるほか、天井には「双龍の絵」が掲げられている。かつて山鹿には細川藩主の休泊所である山鹿御茶屋というのがあり、殿様専用の「御殿の湯」があった。その「御殿の湯」の天井に掲げられていた実物が民芸館で保存されている。

かつて「御殿の湯」があった場所に、現在公衆浴場の「さくら湯」がある。その別棟に「双龍の絵」を復元した天井絵があるとのことで、ならば温泉地に来たこともあり、「さくら湯」に入ってみることにしよう・・・。

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