まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

姫路から名古屋への各駅停車の旅・近鉄名古屋線~名駅イルミネーション

2012年12月01日 | 鉄道企画もの

Dscn7415そろそろ日が傾き始めた伊勢中川駅。ここから近鉄名古屋までは78.8キロ。山陽姫路から近鉄名古屋までが282.2キロだから、残り4分の1の行程となる。この区間はそれこそ特急で走り抜けることがほとんどで、各駅停車に乗るのは初めてである。

Dscn7416やってきた15時54分発の白塚行であるが、この白塚から伊勢方面の賢島までの各駅停車にはワンマン列車が走っている。近鉄の他の路線でもワンマン運転を行っているところはあるが、こちらのように運賃箱が運転台のところにあり、無人駅では一部のドアしか開けないという本格的な運転に会うのは初めてである。近鉄もバラエティに富んだ特急という花形がいる一方で、地方路線の苦戦も強いられている。先日話の上がった内部・八王子線の廃止論議や、こうしたワンマン化というのもまた一面である。

やはり一部の駅では前の車両のドアだけが広がる。さすがに皆きっぷや定期券を持っているようで運賃箱に現金を入れる人はいなかったが、「近鉄もこうなったか」という複雑な思いを持つ。

Dscn7417津でホームの向こうにJR紀勢線の気動車に出会うなどして、伊勢中川から20分で白塚に到着。車庫のある駅で、各駅停車はここを境に名古屋行と賢島行に分かれるようである。ホームの向かいに3両の名古屋行。今度はさすがに普通のロングシート車両である。この旅で最後の列車ということになる。山陽姫路から数えて11本目である。

豊津上野、千里、磯山という、初めて聞くような名前の駅に停まっていく。この辺りに住む人というのは津とか四日市とかに通勤する人が多いのだろうか。あ、その間に鈴鹿というところもあるな。

その鈴鹿の玄関駅である白子に到着。ここで特急と急行を通すために10分停車となる。そろそろ辺りも暗くなり、風も冷たくなってきた。乗り換えの客も列車が来るまで各駅停車の中で座って待つ。外ではその寒風の中、おそらく次の総選挙に出るであろう某党の候補者(タスキから見るに「本人」という方なんだろう)がマイク片手に演説中。ダイヤに少し乱れがあったようで、先行列車はそれぞれ5分ほど遅れてやってきた。そのために各駅停車も5分遅れでの発車。これで外も暗くなり、景色もほとんど見えなくなってきた。

こうなると後は淡々と進むだけ。駅ごとに乗客が増えてきて、立つ人も出るようになってきたところで四日市に到着。ここでも特急に急行をやり過ごす。まだ17時を過ぎたところだが、もう19時くらいの感じである。それにしても、朝から9時間経過してまだ三重県というのも、恐るべし各駅停車。

この先、四日市近郊の利用客と、名古屋へ向かう客の入れ替わりが結構ある。桑名を過ぎ、揖斐川、長良川の鉄橋を渡る。暗闇の遥か向こうにナガシマスパーランドのジェットコースターの照明が見える。伊勢長島といえば夜のイルミネーションが名高い「なばなの里」がある。近鉄でも盛んにPRし、急行の臨時停車も行っている。イルミネーションは一度も見たことがないので、どんなものか行ってもいい。ただし今日はだめだ。

Dscn7418駅ごとにドアが開いて冷たい風が来るからか、途中で眠気を催すこともなく来ることができた。暖房がよく効いていたら夕方の時間帯となるとウトウトとするところであった。蟹江で列車を先行させた後は、路面図を見て名古屋までのカウントダウンを始める。そのうちJRの気動車車両も見えてきて、名古屋が近づいたことを教えてくれる。

Dscn7421そして地下にもぐり、18時16分、定刻より4分遅れて近鉄名古屋に到着した。山陽姫路を出てちょうど10時間が経過したところ。おそらく、この旅のきっかけとなった毎日新聞の記者氏と同じ列車での到着となった。やれやれ、お疲れさんである。

Dscn7427夕食にはほどよい時間ということで、新幹線側に出たすぐの居酒屋「鶴八」に入る。名古屋の郷土料理がいろいろあるので、「世界の山ちゃん」とはまた違った名古屋らしさを味わえるところである。まずはビール1杯。今回は食事でも途中下車というのができなかったし、ロングシート車両となれば「飲み鉄」をすることはできない。別に仕事をしたわけではないが、一つの区切りということで、ビールの喉越しを味わう。

Dscn7423三河の地鶏の刺身や手羽先、鶏ちゃん鍋などで人心地ついた。帰りは21時発のアーバンライナーである。それまで時間がある。何でも駅前にイルミネーションがあるとのことで、「なばなの里」には行けないが名古屋に来た記念ということでしばし見物しよう。

Dscn7453Dscn7439Dscn7452Dscn7448JR名古屋駅のセントラルタワーズ、そして名鉄、近鉄の名古屋駅ビル。これらとのコラボレーションが美しい。しばし、寒さを忘れて見物する。この旅を応援してくれた方にも携帯メールで、旅のせめてものお裾分けをする。

Dscn7461そして帰りは、近鉄の各駅停車6時間を一気に2時間で巻き戻す特急アーバンライナーの乗車である。近鉄名古屋での特急の発車メロディであるワルツ「ドナウ川のさざなみ」に送られての発車。それにしても、近鉄でなぜ「ドナウ川のさざなみ」なのか。ネットでいろいろ検索してみたがはっきりした答えがみつからない。最後に聴くとちょっぴり切なくなるが・・・。

帰りの特急は暗闇の中を快走する。ナガシマスパーランドの灯りも見えなくなったし、西青山駅などはいつの間に過ぎたのだろうか。充実感と徒労感の両方を味わったような一日であった。

それでもふと、「これの逆コースをやったらどうなるだろうか」と思ったりする。いや仮にやったとしても、今度は途中下車してあちこち歩きながら、3日間くらいかけてやるとするかな・・・。

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姫路から名古屋への各駅停車の旅・近鉄の「秘境駅」西青山

2012年12月01日 | 鉄道企画もの

この各駅停車の旅もようやく関西から東海に移る。

名張から急行の宇治山田行きに乗車する。このままだと途中の3駅が通過ということになるのでどこかで下車しよう・・・ということで思いついたのが、西青山である。

Dscn7374青山トンネルの入口のすぐ手前にある駅だが、ここは周囲に人家のないいわゆる「秘境駅」に挙げられている。「秘境駅」の名づけ親といえる牛山隆信氏のサイトによれば、全国143位にランキングされ、近鉄の本線として唯一ランクされている。1日の乗車人員は10名ほどというから、ほとんどの列車では客の乗り降りの姿は見えないはず。

西青山が近づき、バッグを持って立ち上がる。するとどうだろうか、ドアの向こうのホームに女性客が一人、そしてこちらからも下車しようとする女性客が一人。まさかこの人も秘境駅訪問ではあるまいな。

Dscn7373ホームに降り立ち、乗ってきた急行を見送る。青山トンネルの入口はすぐそこに見え、急行はトンネルに吸い込まれて姿が見えなくなる。

Dscn7376Dscn7390ホームからは西日が映える色づいた山々が見えるが、人家や店舗、工場というのは一切見えない。もっとも駅の高架橋の真下には国道が走っており、そこはひっきりなしにクルマが行き交う。こういうところは秘境駅のポイントとしては低くなるのだろう。聞こえる物音といえばクルマの走行音くらいで、人の気配というのはない。青山高原のハイキングコースに当たるというが、利用する人というのはハイキング客くらいのものだろう。

Dscn7381コンクリートがむき出しの階段を降りる。近代的な造りというのが逆に殺風景さを感じさせる。改札口に立つ。駅はもちろん無人で、ICカードの読み取り機はある。そこから出ることは簡単なのだが、今回は「改札を出ない」というのがルールである。何だか蛇の生殺しのような気分。改札の向こうを見ると先ほど下車した女性の姿が見える。まさか秘境駅訪問者とは思えず、国道に近いことから誰かクルマで迎えに来るのだろう・・・・と思う(そんなん、もしこの駅で事件が起こったら私が真っ先に疑われてしまう)。

Dscn7395この駅の物音はもう一つあった。大阪と名古屋・伊勢志摩を結ぶ近鉄のメイン路線ということで、特急は頻繁に通過する。ホームにはサイレンが鳴り、カタコト言って駆け抜ける特急の姿。トンネルに吸い込まれたり、トンネルから出てくる姿を見るのはこの駅の楽しみ方と言える。

Dscn7398駅滞在24分、改札内での観察には十分な時間を過ごし、次の名張行きの各駅停車に乗車。今度は2両編成という小ぢんまりしたもので、車内に入ると先頭に陣取っていた客から「こいつ、やりおったな」という視線を受ける。青山トンネルに入ると車掌が回ってきた。切符を持っているのか声をかけられるかと思ったが素通り。

Dscn7402伊賀と伊勢の国境越えを終えると東青山。こちらは駅前に「四季のさと」が広がり、紅葉も見ることができる。ここでクラブツーリズム専用の団体車両が追い越して行く。今回の各駅停車の旅で最もローカル線的な車窓を眺めながら、榊原温泉口、そして各駅停車しか停まらない大三、伊勢石橋、川合高岡と停まっていくが、よく見ればこの区間、東青山から伊勢中川の各駅停車というのが設定されている。ということは先ほどの宇治山田行きに乗って東青山まで来れば、1本早い列車に乗れたということだ。でもまあ、今回は時刻表も持たず、携帯で特に検索するわけでもなく、行き当たりばったりである。後は秘境駅を訪れることができてよしということにしよう。

Dscn7407伊勢中川に到着。3方向の列車が行き交うこのジャンクションでも20分以上の待ち合わせとなる。ホーム上の売店をのぞくと伊勢新聞に中日スポーツ、土産も赤福に始まり松阪牛の料理もあり、ようやく伊勢に来たことを実感する。ここから名古屋に向けて最後の直線に入る。ただ結構日が傾いており、果たして日のあるうちに名古屋に到達できるのか・・・・。

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