今年の3月に京都梅小路にオープンした京都水族館。水族館といえばだいたいが海べりにあるものというイメージだが、内陸、それも京都という街に造ることについては賛否両論があったものの、蓋を開けてみれば京都の新しい観光スポットとして賑わいを見せている。
今回同行のKさんと京都に来ようというのも、まずはこの京都水族館がきっかけである。その前座で梅小路の蒸気機関車館を楽しんだ後にやってきた。入口に行列ができる・・・というまでの混雑はなかったが、ここのチケットはローソンのチケットでも前売りで購入(ただし当日券と同額)できるとあって、入場はスムーズだった。
まずは「京の川ゾーン」。京都の有名な川といえば市街を流れる鴨川に、日本海に注ぐ由良川。まずは水槽の水の透明さ、そして子どもでも等身大で、川の水の中を眺めることができる展示が目を引く。
中でも見どころはオオサンショウウオ。鴨川にはオオサンショウウオが生息しているとかで、この水族館で人気の?生き物なのだが、よく見ると水槽のコーナーにへばりつくように何層にも重なってじっとしている。「オオサンショウウオってこんなだっけ?」と、Kさんも興味津々で眺める。うーん、これだけ重なっているのを見るのは初めて。オオサンショウウオといえば赤目四十八滝とか、岡山の人形峠でそれぞれ水槽にいるのを見たことがあるが、それらはせいぜい1~2匹単位での展示。それが「こいつら一家か?」といわんばかりに多く展示されているのを見るのは初めて。結構うならせられる。
この後はアシカやアザラシのいる海獣ゾーン、そしてペンギンのゾーンと続く。それぞれ餌をやったり調教をしたりと、見物する人を飽きさせない。旭山動物園のブレイクがきっかけとなった「見せ方」にも工夫がなされており、心なごませる。一人旅ならなかなか来ることのできないこの手の水族館であるが、この日はKさんという心強いパートナーがいる。お互いにいろいろ感想を言い合いながらこれらの生き物たちの躍動を楽しむ。
そしてやってきたのが大きな生簀・・・・もとい水槽。ここでは500トンという豊富な水量の中を、エイやらアジ、ジンベイザメ、カメ、アオブダイなどのいろんな魚が動き回る。その他熱帯魚もいるし。
うーん、こういうのを見るとやはり「生簀」と思ってしまう。ただそこはKさんから「水族館でそれは禁句!」と突っ込まれる。でも、多くの魚が生き生きと泳ぎ回る姿というのは心がなごむ。大水槽はさまざまな角度で眺めることができ、いろんな表情を見られるのはいい。
それとは別に海洋ゾーンというのも面白い。普段なかなか見られないようなエビ、カニの仲間たちや、いろいろなクラゲ。それぞれが種を保存し、生き延びていくために変容していった独特の身体つきである。Kさんも面白がって眺める。改めて、これら珍しい生き物を捕まえて水族館で展示する・・・というのが難しいものだと思いを新たにする。一般大衆には受けにくいところだろうが、こういうのも含めての「水族館」だと思う。
さて最後を締めるのはイルカショー。すでに客席はびっしりと埋まる。「HELLO 仲間のあかし」ということで、4頭のイルカがパフォーマンスを見せる。イルカの生態や特徴をイルカ自らが実演してみたり、あとはジャンプしたり。また子どもと握手をしてみたりというのもあった。途中、ジャンプして水中に潜る際の水しぶきが観客にかかるハプニングもあったが、15分というショーは歓声の中で終わった。
この客席から見る梅小路公園の開放的な景色がよい。イルカの水槽の向こうには芝生の広場が広がり、その向こうには東海道線の線路で、新快速や貨物列車が走るのが見える。あ、その前にさっきのSLスチーム号が白い煙をはきながらやってきた。また、線路の奥には新幹線の高架があり、ちょうど東寺の五重塔も見えるというロケーション。この造りもなかなかのものだが、Kさんからは「イルカよりそっち(鉄道)のほうが気になってたやろ」と聞かれる。うーん、否定しない。
最後に再び京都の豊かな自然を紹介するコーナーとなり、これで一通りの見学が終わる。京都博物館、他と比べれば小ぢんまりしているのかもしれないが、見せ方にも工夫が凝らされているし、なかなかのところではないかと思う。京都観光といえばどうしても神社仏閣とか紅葉とかに目が行きがちだが、新しいスポットとして梅小路は一日楽しむことができる。蒸気機関車館のほうも数年後には拡張され、弁天町の交通科学博物館の車両もやってくる予定である。
夜は何を食べようか。先ほどは水槽で魚たちを見たこともあり、今度は本当の生簀に入った魚たちをいただくとしようかな・・・。