まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第31番「長命寺」~西国三十三ヶ所巡り・34(再び八幡堀)

2015年10月25日 | 西国三十三所
バスで近江八幡の中心に戻る。向かうのは日牟禮八幡宮であるが結構な賑わいである。

ここから見る八幡堀。水郷めぐりの船が行き来する。モーター船であるが、町の中を行く風情もよさそうだ。かつても荷物や人を乗せて行き来していたことだろう。

そんな船を見ていると「これに乗るんやったら和船のほうが絶対ええわ。これなんか横歩けるから同じやん」と吐き捨てるように言う人がいる。地元の人か、あるいは観光客か。確かに先ほど乗った和船は琵琶湖の自然にも触れることができてよかったので、この人が言うこともわからないでもないのだが、何も吐き捨てるように言わなくても。

近江八幡の名の由来であり、この町の守護神である日牟禮八幡宮に参拝。ここにも「たねや」「クラブハリエ」がある。こちらのお菓子目当ての客も多いことである。

近江八幡の観光となるとここからロープウェーに乗り八幡山城に行くところであるが、水郷めぐりで下から仰ぎ見ているし、先ほど長命寺に行ったので高いところはもういいかなという気になり、パスした。ただ帰宅してから思うのには、古い町並みや水郷の様子を上から見るのも面白かったのではということである。まあ、また来ることもあるだろう。

その代わりというわけではないが、八幡堀に沿って歩いて、朝方見かけた「かわらミュージアム」に入る。敷地内の通路には瓦が埋められていて独特の模様を描いている。

新町通りの古い町並みには瓦屋根の家屋が並び、町の風情を出しているが、近江八幡は瓦の名産地でもあるということである。瓦と言えば三州瓦とか石州瓦というブランドが知られているが、近江八幡もそうだったとは。

近江八幡で瓦が作られるようになったのも、琵琶湖の水郷と関係しているそうだ。水路には藻や泥が溜まり、そのままだと水面が浅くなり船が通れないので底を浚渫しなければならない。そうして掬われた土には栄養分が多く含まれており、水田の肥料に利用できる。そして水田に入れると今度は水田の嵩が上がってしまうので、底の粘土を掘り出すことに。この粘土が藻などの植物繊維を多く含んでいて瓦の材料に適していたということだ。・・・と書けば簡単なように見えるが、瓦を作って流通させようという発想はなかなか出ないだろう。そこは近江商人の知恵ということか。

館内が撮影禁止だったので写真はないが、さまざまな種類の瓦、装飾用のものなどがさまざまに展示されている。かつては近江八幡には上り窯も結構あったそうだ。ただ現在はそうした水路の泥を水田に入れて粘土を掘り出して瓦にするということはなく、瓦の工場もあるがオートメーションでの製造である。そういうこともあり、近江八幡の瓦についてもっと知ってもらおうということでできたのがこのミュージアム。

近江八幡といえば八幡堀や新町通りの他に、建築家のヴォーリズでも知られている。近江八幡を中心に活動して、「ヴォーリズ建築」という建物をいろいろ手がけている。また、メンタームの近江兄弟社の創立者でもある。今回ヴォーリズ建築までは見なかったが、この名は市内のあちこちに見られる。近江兄弟社高校も「ヴォーリズ学園」という学校法人だし、ヴォーリズ記念病院というのもある。

このヴォーリズの夫人というのが一柳(ひとつやなぎ)満喜子という人で、アメリカにも留学し、後に近江八幡で教育事業を手掛けた。この人の兄・恵三は婿養子で広岡家に入ったのだが、そこの義母が広岡浅子。この広岡浅子も女性実業家なのだが、この人こそがNHK朝ドラ「あさが来た」で波瑠が演じる主人公のモデルである。

・・・ということを、この後で入った市立資料館の企画展「広岡浅子と一柳満喜子」というので初めて知った。企画展では二人のつながり(広岡浅子が一柳満喜子に対して、同じ女子教育の先駆者としてさまざまな支援を行った)についてパネルで紹介されていた。なるほど、だからこのドラマは近江八幡でもロケをしているのかなと思う。ドラマは見ていないのでわからないが、一柳満喜子(をモデルとした)役というのもそのうち登場するのだろう。

市立資料館は新町通りの角にある。ここと歴史民俗資料館、近江商人の屋敷である旧西川家住宅の見学の共通券を購入して見学するのだが、この時間になると通りを歩く団体客の姿が多い。案内しているのも地元の観光ボランティアという感じの人である。長命寺まで行くかはわからないにしても、水郷めぐり、近江八幡の町並み、これにクラブハリエを加えれば、バスツアーには適した見学ルートが出来上がる。

これらを見て、再び近江八幡駅まで歩いてこの日の西国めぐりは終了。近江八幡から新快速に乗車すれば大阪まで一気に戻る。車内ではまた爆睡で、大阪に戻るとだいぶ暗くなっていた。これから日の入りが早くなり、秋も本格的になる・・・・。

この日の土産は、八幡堀沿いの遠久邑(おくむら)で購入した2品。まず一つは滋賀に来ると手が出る鮒寿司。そしてもう一つは初めて目にする「赤こんにゃく」。見た目、マグロの造りにも見えるし、唐辛子たっぷりで辛そうに見える。ただ、別に辛いわけでもなく、味は普通のこんにゃくである。織田信長が派手好きでこんにゃくまで赤くさせたのが由来だと言われている。赤色は、ミニ酸化鉄という添加物で出しているそうで、普通のこんにゃくにプラスして鉄分も取れる健康食品ということでPRされている。そのまま食べてよし、おでんやサラダの具材にしてもよし。
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