ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

小さくても集まれば

2008年09月28日 | 世界とわたし
ポケットからなにかを落っことした人に、あ、これ、落ちましたよと拾い上げて渡す人。
それを偶然見ていた人が、バスに乗ろうとするおばあさんに手を差し伸べて、
それを偶然見ていた人が……というふうに、
ふと目にした優しい心が伝染し、町のあちこちに親切な人が出没する

実はこれ、コマーシャルです。
いったいなにのコマーシャルなのかてんで覚えていませんが、これを観た後、いつも胸の辺りがほのぼのと温かくなります

世界を良くするアイディア、というグーグルの発案を目にした時、一番にこのコマーシャルを思い出しました。

ほんの少しの勇気があれば、誰にでもできること。
初めはそんなふうに思っていたけれど、このコマーシャルのように、勇気なんか関係なく、人は人を無意識に助けます。


先日亡くなったポール・ニューマンは、スーパーに行けば必ず絵顔に逢える、ニューマンズ・オウンのオーナー。
彼はスポーツ店を経営する裕福な父親の跡を継がず、いろんな職業を転々とし、軍隊では色盲でパイロットになれず、
猛勉強をした演劇界でも、映画会社のいいように使われたり二番煎じ役者扱いされたり。
ろくなことがない中で、もがきながら一歩一歩、役作りのために学んだボクシングやピリヤードやレーサーにも精通し、
奥行きのある、細やかな心情を表現できる役者として、世界中の人々を魅了しました。
反戦や反核運動にも熱心で、ニクソン政権の『政敵リスト』に載ったこともあり、権力に歯向かう反骨精神を貫く一方で、
薬物中毒で息子を亡くしたのを契機に、麻薬撲滅運動や慈善事業にも積極的だった彼。
ニューマンズ・オウンが得た純益はすべて、恵まれない子供達に送られ、それは今後も続けられていくことでしょう。


規模も形態もまるで違うことだけど、人が人を支えたくなったり助けたくなったりすることの心根は同じだと思います。

しょうもないことでフンギャ~とイラつくわたしも、実はとても優しい
しょうもないことでおのれぇ~とキレるあなたも、実はとても優しい

小さなことだけど、人の数だけ繰り返されるとすごいエネルギーになります。
それが、この地球上の、国益やある特定集団の利益のための諍いや殺し合いを撲滅できるほどのものになれば……、

幻想なのかもしれないけれど、想いを強く、諦めずに持ち続けたら、いつか叶うこともあります。

締め切りまでにはまだもう少しあります。うんうん考えることにします
http://www.project10tothe100.com/intl/JA/index.html ←日本語のホームページの住所です。覗いてみてください。

P.S.
ニューマンさんの財団のロバート・フォレスター氏は、
「演技はポール・ニューマンの作品だった。カーレースは彼の情熱だった。家族と友人は彼の愛だった。
 そして彼の心と魂は、すべての人にとって世界がよりよい場所になるように捧げられていた」と語った。
コメント (3)
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