ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

2012年11月11日 生徒たちのピアノ発表会

2012年11月11日 | 音楽とわたし
2012年11月11日、1年にいっぺんの生徒の発表会が終った。 


今年の発表会は、いつもにも増して、いい意味でも悪い意味でも、思い出深いもんになった。
ハリケーン『サンディ』が大暴れして、生徒のほとんどの家々が、長い間、電気ゼロの生活を強いられてた。
当日、開会の挨拶の時、どれぐらいの間、停電のままやったかを問うと、一番多かったのが1週間、最長で、発表会当日までの12日間?!
みんなで、サバイバルできたことを讃え、それに加えて、発表会の練習まで頑張った生徒たちに、温かい拍手が送られた。


今年は、この12年間の、アメリカでのピアノ教室経験の中では最大の、30名を超える生徒達が集まって、皆それぞれに、奮闘してきた成果を、立派に、存分に発揮してくれた。
中でも、今年の夏以降にピアノを始めたばかりの、4才5才6才のチビッ子達が、ちょっと恥ずかしそうにしながらも、楽しく演奏をし、弾き終わってからも、長い時間静かに聞けたことは凄いと思た。
生徒達は、イギリス、フランス、ドイツ、ペルー、スペイン、中国、韓国、台湾、日本などから移ってきた親に育てられていて、それが一堂に集まると、それぞれの文化が浮き出てきておもしろい。
もちろん、ほとんどの子がこちらで生まれ育ってるんやから、アメリカの文化とも混ざり合うてるのやけど。


とにかく、風邪もひかず、厳しい状況の中でも練習を続け、当日見事に弾き通してくれた生徒達に、心の底から感謝!


という感じで、会が終ってからも、ずっとその幸福感が強う残ってた。
会の後、ぎっくり腰になりかけてたのに、荷物の運搬や会場の設置のチェック、それから司会進行を手伝うてくれた旦那と一緒に、お互いの健闘を讃えるべく『Pig and Prince』へ食べに行った。
家に戻り、疲弊度マックスやのに嬉しさいっぱいのあまりに、いただいた花束やら会の残り物やら、プログラム作りでひっくり返ってる机の上やら、その他諸々の、発表会のために散らかってたものを徹底的に片付けた。


ほんでやっと寝床についた時、わたしは世界一幸せなピアノ教師やと、しみじみ感謝の気持ちがわき上がってきた。
プログラムの最後に、ショパンの幻想即興曲を弾いてくれたエラと出会たんは、彼女が7才の時やった。
まん丸の目をキラキラさせて、初めてのピアノレッスンを受けた後、おかあさんのお腹のあたりに腕を回し、ピョンピョンと跳ねていた。
楽しかったんやなあと、わたしまで嬉しなった。
その子が16才になり、ボーイフレンドができ、ジュリアードの受験の準備をせっせと始めてる。
みんなみんな、初めて習う子やった。
これは真ん中のド。
みんなそれから始まった。
楽譜の音符から目を離さんと、手を見んと弾く練習が始まり、いろんな記号の名前や意味、歌うこと、それから鍵盤をどんなふうに押し込んだり叩いたりするか、そんなこんなを毎週一回ずつ習ていく。
泣いたり笑たり、それからたまには、わたしの言うことに怒ったり、おっきなってきたら、人生相談なんかもしたりして、1年2年と、あっという間に5年ぐらいが過ぎていく。
けども、みんな、「これは真ん中のド」から始まった子ばかり。
よう育ってくれた。
家族の人達も協力してくれた。
いろんなことを話し合うて、アメリカ風、アジア風、ヨーロッパ風の文化や観念を、日本人のわたしのんとうまくミックスしながら、子ども達がなんとか続けられるように工夫する。
お互いが納得できるまで、少なくとも妥協できるまで、メールや電話でとことん話し合う。
それぞれに違う思いや文化を抱えてることは、皆重々承知やから、きっぱりとした答が出んでも大丈夫。
同じ方を向いてるってことが確認できたら、後は成り行きに任せる時もある。

子ども達それぞれに見合た成果と成長が見られる発表会。
その頑張りを、心のこもった拍手で讃えられる発表会。
良い気がいっぱいの部屋。
幸せがいっぱいの時間。

ありがとうみんな!
また明日から頑張ろね!
コメント (4)
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