ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

「9条があるから、海外ではこれまで、絶対に銃を撃たなかった日本。それが本当の日本の強味」中村医師

2014年05月16日 | 日本とわたし
以下は、アフガニスタンで、水源確保事業など、現地での支援活動を続ける中村医師の言葉です。
どうか、時間を見つけて読んでください!

9条があるから、海外では、これまで絶対に、銃を撃たなかった日本。
それが、ほんとうの日本の強味なんですよ。

具体的に、リアルに、何よりも物理的に、僕らを守ってくれているものを、なんで手放す必要があるんでしょうか。
危険だと言われる地域で活動していると、その9条のありがたさを、つくづく感じるんです。
日本は、その9条にのっとった行動をしてきた。
だから、アフガンでも中東でも、いまでも親近感を持たれている。
これを、
外交の基礎にするべきだと、僕は強く思います。


2008年の4月30日に掲載されたマガジン9の記事を紹介させていただきます。
ですから、中村氏の言葉は、同じ年の夏に、『ペシャワール会』のスタッフであられた伊藤さんが、拉致され、殺害されるという非常に痛ましい事件が起こる前のものです。


↓以下、転載はじめ

中村哲さんに聞いた
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アフガニスタンという国で、
9条をバックボーンに活動を続けてきた

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
久しぶりに帰国された、医師の中村哲さんにお会いしました。
もちろん、みなさんご存知のように、中村さんは「ペシャワール会」の代表として、
パキスタン、アフガニスタンで、さまざまな活動に携わっておられます。  
その中村さんに、現地での活動状況と、特に憲法9条との関連について、お伺いしました。



写真:細谷忠彦

なかむら・てつ
1946年福岡市生まれ。
九州大学医学部卒。NGO「ペシャワール会」現地代表、PMS(ペシャワール会医療サービス)総院長。
専門は神経内科(現地では内科・外科もこなす)。
国内の診療所勤務を経て、1984年パキスタン北西辺境州の州都のペシャワールに赴任。
ハンセン病を中心とした、アフガン難民の診療に携わったのをきっかけに、井戸・水路工事による水源確保事業など現地での支援活動を続ける。
著書に『医者、用水路を拓く--アフガンの大地から世界の虚構に挑む』(石風社)『アフガニスタンで考える--国際貢献と憲法九条』(岩波ブックレット)など。



アフガニスタンの人々の『生活』を取り戻すために

編集部:
中村さんがお書きになった本や、インタビューなどを読ませていただきました。
その中でも、最近出版された『医者、用水路を拓く』(石風社刊)は、ほんとうに面白い本でした。




『医者、用水路を拓く』(石風社刊)
1,890円(税込)
※アマゾンにリンクしています。



中村:
そうですか、ありがとうございます。
そう言っていただけると、とても嬉しいです。
あの本は、土木工事のかなり専門的なことを重点に書いたもので、一般の方が読んで面白いのかな、と、少し心配していたんです。


編集部:
いえいえ、いい喩えにはならないかもしれませんが、まるでハードボイルド小説を読んでいるみたいにスリリングで。

中村:
それはとても嬉しいです。
“面白い”と言われるのが、何よりの励みになりますね。


編集部:
船戸与一さんの小説みたいでしたよ。
まあ、船戸ハードボイルドには、癖のある悪人ばかりが登場しますが、この『医者、用水路を拓く』には、悪人がほとんど出てこない。
とても読後感の爽やかなハードボイルド……(笑)。
いや、中身はほんとうにハードですけれど。

中村:
そうですか、そういう読まれ方もあるんですね。
なにはともあれ、面白く読んでいただけたのは、とても嬉しいことです。


編集部:
この本では、「ペシャワール会」(編集部注・中村医師のパキスタンやアフガニスタンでの活動を支えるために、1983年に作られた組織。パキスタンのペシャワールにちなんで名付けられた)が行っている、用水路建設について詳しく触れておられますね。
現在ではむしろ、医療よりも水源確保に、より多くの力を注いでいる、という印象を受けますが。

中村:
そうですね、現在は、アフガニスタンでの灌漑事業に、主力を注いでいますので、毎日が土木作業です。
ほとんど用水路建設にかかりきりで、野外での作業ばかりなんですよ。
それで、ごらんのように真っ黒です。
ナニ人か分からない、なんてしょっちゅう言われますね。
この用水路建設事業は、僕が言い出しっぺなので、仕方なしに土木技師をやっているわけです。


編集部:
医療よりも用水路建設が優先、ということですか。
アフガニスタンは、現在、それほど水源が枯渇している状況にあるのですか。

中村:
そうです。
2000年から始まったアフガニスタンの大干ばつは、凄まじいものでした。
アフガンの人々の生活を、根底から突き崩してしまったといってもいいと思います。
我々ペシャワール会は、彼らの元の生活を、まず取り戻すことが、なによりも先決ではないかと考えたわけです。




まず「生き延びる」ための支援を

編集部:
日本政府はよく、国際貢献と言いますが、どうもそれがズレている感じがします。
中村さんたちがなさっているような事業に、もっとお金を出すべきじゃないか、なんて単純に思ってしまいますけど。

中村:
端的に言えば、人々が生存するための、生きていくための事業に対する支援
これがなんと言っても第一だと思いますけどね。
我々は、日本政府からは、一円の援助も受けていませんが、
どうも、日本政府の援助の仕方は、あまり、そういう生存への援助にはなっていないんじゃないか、と思いますね。
いや、日本政府に限ったことじゃなく、アメリカやほかの国際組織のやり方にも、僕は違和感を覚えることが多いんです。


編集部:
生存への援助になっていない?

中村:
そう。
例えば、欧米の団体などでは、男女平等を訴えるグループもあれば、情報網の完備だとか言って、通信網やネットの整備に力を注ぐ人たちもいます。
いまや、首都カーブルの一角には、インターネットカフェなんかまでできています。
 
もちろん、それが悪いとは言いませんが、そんなことよりももっと以前に、
まずみんなが生きていかなくちゃ、ということが、不思議なくらい話題にならない

どうしても、政治的な動きだけが伝えられて、それにしたがって、僕に言わせれば無駄なところへ援助資金が投下されている、そんなふうに見えるんです。
完全に、情報操作としか言いようがないですよ。
まず、生き延びることが、いちばん大切なはずでしょ?


編集部:
援助すべきところが違うんじゃないか、と。

中村:
例えば、アフガンの大干ばつにしても、それを防ぐために何をすべきか、というところをよく考えて、援助の方向を決める。
それは、みんなが納得することなんですね。
アフガンでは、ほんとうに生きていけない人たちが増大している
なにしろ、2500万人の人口のうち、1200万人がこの干ばつで被害を受け、500万人が飢餓線上、100万人が餓死寸前という状況にあるのがアフガニスタンですよ。
そこへ、男女平等だとか情報網の整備だとか言っても、それがどうだと言うんですか


編集部:
まず、命を、ですね。

中村:
アフガンに限って言いますと、生き延びることに対する支援でしょうね。
単に学校教育――自分の国の教育もきちんとできていないのに、よその国の教育がどうのこうの言ったって仕方ない。
まず、生きられるようにしてあげる協力ですよ。
これには、誰もが納得するんじゃないでしょうかね。


編集部:
それが、中村さんたちペシャワール会が目指したことなんですね。

中村:
そうです。
大干ばつの後、我々の診療所にやってくる患者は、子どもたちがほんとうに多かった
その背景には、栄養失調と水不足があるんです。
それが、子どもたちを直撃したんですよ。
水不足で農業ができなくなり、村そのものが消えてしまったところも珍しくない
それが、アフガン全土で起こった現実です。
うちのダラエルヌールの診療所の近所でも、一時、2軒を残して、完全に無人化したこともあったほどです。
全部、難民化したんですよ。


編集部:
それで、水資源確保のために、井戸掘りを始められたわけですね。

中村:
そうですね。
井戸掘りを始めたのが、2000年の7月でした。
それは、すでに1670本になりました
そのおかげで、40万人以上が村を離れずにすんだんです。


編集部:
それがさらに、用水路の建設へと発展していった…。

中村:
もちろん、診療をやめたわけではありませんが、ある意味、医療だけでは限界があると感じたんです。
水がなければ農業が続けられない
日々の糧を得ることができないんですから、生きて行きようがない
それに、きれいな水がなければ、伝染病などが蔓延するのを防ぐことだってできない
だから、我々の現在の仕事は、用水路の建設と医療の2本立てなんです。




数字だけを見ることには、何の意味もない

編集部:
用水路建設の進み具合はいかがですか。
そうとうの難工事の連続だったようですが

中村:
2003年3月から始めて、現在まで、16.5キロを完成させています。
これで、合計5000ヘクタール弱の農地を、潤せる計算になります。
漠然としたことしかいえませんが、この用水路1本で、数十万人が食えることになるのは確実です。


編集部:
ここまで来るには大変だったでしょうね。

中村:
ほんとうに、最初は手探り状態。
その中で、日本各地の取水方式が、とても参考になりました
日本方式と言っても、江戸時代や戦国時代の技術を、アフガンで再生しているんです。
ほとんど機械が使えないような状況の中では、こんな日本古来の人力に頼った技術が、思わぬ効果を発揮するんですね。


編集部:
そういう活動を、ほかの団体が、なぜもっと行わないんでしょうか

中村:
たとえば、国連の機関なんかも、すべてを数字で置き換えてしまうんですね。
ソ連軍の侵攻と撤退と、それに伴う内戦や大混乱、さらにはその後の大干ばつなどで、故郷を捨てざるを得なかった難民が大発生しました。
それに対し、国連などが、“帰還事業”を行い、「200万人のうち、130万人を1年間で帰した」なんて発表するんですよ。
そうすると、ほんとうは、難民は70万人しか残っていないはずじゃないですか
ところが実際は、300万人の難民が、現実に存在している
 
僕らは言うんです。「むしろ、難民は増えている」と。
復興帰還プロジェクトなんて、帰って、そこで人々が生活できる基盤を作らないと、成立しないんだ」と、
僕らが盛んに言うもんだから、それで反感を買ってしまう、という面もあるんでしょうね。
国際機関は、とにかく数字を示して、自分たちの活動の成果を誇示しようとします
そうすることが、次期の予算やなんかにも影響してきますからね。


編集部:
スタンスが違うわけですね。
お聞きしていると、まず、どんな事業に資金や援助をつぎ込むかを、もっと見極めなくては、という気がしますね。
優先順位を、きちんとつけて、重要なところから始めていく。

中村:
そうです。
まず生きることです。
あとは、はっきり言って、タリバンが天下を取ろうが反タリバン政権になろうが、それはアフガンの内政問題なんですね。
そのスタンスさえ崩さなければ、我々を攻撃する連中なんかいませんよ。
それどころか、政府、反政府どちらの勢力も、我々を守ってくれるわけです。




「平和国家」日本に期待されていること

編集部:
現地では、NGOとか国際機関なんかが、襲撃されるということは、かなりあるんですか?

中村:
何回も、見聞きしたことはありますよ。
でも、我々ペシャワール会が襲われたことは、一度もありません


編集部:
それだけ、ペシャワール会の活動が、現地の方々に浸透しているということでしょうか。

中村:
そうですね。
アフガンの人たちは、親日感情がとても強いですしね。
それに、我々は宗教というものを、大切にしてきましたから。

編集部:
宗教とは、やはりイスラム教…。

中村:
おおむね、狙われたのは、イスラム教というものに無理解な活動、例えば、女性の権利を主張するための女性平等プログラムだとか。
現地でそんなことをすると、まず女性が嫌がるんです。
キリスト教の宣教でやっているんじゃないか、と思われたりして。


編集部:
宗教的対立感情みたいなものですか?

中村:
いや、対立感情は、むしろ援助する側が持っているような気がしますね。
優越感を持っているわけですよ。
ああいう遅れた宗教、遅れた習慣を是正してやろうという、僕から言わせれば思い上がり、もっときつくいえば、“帝国主義的”ですけどね。
そういうところの団体が、かなり襲撃されています。
民主主義を波及させるという、お題目は正しいんでしょうけれど、やっていることは、ソ連がアフガン侵攻時に唱えていたことと五十歩百歩ですよ。


編集部:
ペシャワール会は、そういうことからは無縁であったということですね。

中村:
そうです。
それに僕はやっぱり、日本の憲法、ことに憲法9条というものの存在も大きい、と思っています。


編集部:
憲法9条、ですか

中村:
ええ、9条です
昨年、アフガニスタンの外務大臣が、日本を訪問しましたね。
そのとき、彼が、平和憲法に触れた発言をしていました
アフガンの人たちみんなが、平和憲法や、とりわけ9条について、知っているわけではありません。
でも、外相は、
日本にはそういう憲法がある。
だから、アフガニスタンとしては、日本に軍事活動を期待しているわけではない。
日本は、民生分野で、平和的な活動を通じて、我々のために素晴らしい活動をしてくれると信じている

というようなことを語っていたんですね。


編集部:
平和国家日本、ですね。

中村:
ある意味、「美しき誤解」かもしれませんが、そういうふうに、日本の平和的なイメージが非常な好印象を、アフガンの人たちに与えていることは事実です。
日本人だけは、別格なんですよ。


編集部:
日本人と、他国の人たちを区別している?

中村:
極端なことを言えば、欧米人に対しては、まったく躊躇がない。
白人をみれば、「やっちゃえ」という感覚はありますよ。
でもね、そういう日本人への見方というのも、最近はずいぶん変わってきたんです。


編集部:
それは、なぜ、いつごろから、どのように変わってきたんですか?

中村:
いちばんのキッカケは湾岸戦争
そして、もっとも身近なのは、もちろんアフガン空爆です。
アメリカが要請してもいない段階で、日本は真っ先に空爆を支持し、その行動にすすんで貢献しようとした
その態度を見て、ガッカリしたアフガン人はほんとうに多かったんじゃないでしょうかね。


編集部:
せっかくの親日感情が、そのために薄らいでしまったんですね。

中村:
それでも、いまでもほかの国に比べたら、日本への感情はとても親しいものです。
この感情を大事にしなければならないと思うんです。
湾岸戦争のときに、
日本は、血も汗も流さず、お金だけばら撒いて、しかも国際社会から、何の感謝もされなかった。
それが、トラウマになっている
」なんて、自民党の議員さんたちはよく言うようですけど、
なんでそんなことがトラウマになるんですか
「お金の使い方が間違っていた」と言うのならいいのですが、「もっと血と汗を流せ」という方向へ行って、
とうとうイラクへは、自衛隊まで派遣してしまった

僕は、これは、とても大きな転回点だったと思っています。
 
これまでは、海外に軍事力を派遣しない、ということが、日本の最大の国際貢献だったはずなのに、とうとうそれを破ってしまったんです。
これは、戦争協力ですよね。
そんなお金があるんだったら、福祉だの農業復興だの何だの、ほかに使い道はいくらでもあるというのに。


編集部:
ほんとうにそうですね。
お金をどのように使うか、国際貢献とか国際援助とかいうのなら、最初に中村さんがおっしゃったように、
まず「生存」のために使うべきですよね。

中村:
日本は、軍事力を用いない分野での、貢献や援助を果たすべきなんです。
現地で活動していると、力の虚しさ、というのが、ほんとうに身に沁みます。
銃で押さえ込めば、銃で反撃されます。
当たり前のことです。
でも、ようやく流れ始めた用水路を、誰が破壊しますか。
緑色に復活した農地に、誰が爆弾を撃ち込みたいと思いますか。
それを造ったのが日本人だと分かれば、少し失われた親日感情は、すぐに戻ってきます。
それが、ほんとうの外交じゃないかと、僕は確信しているんですが。




9条は、僕らの活動を支えてくれる、リアルで大きな力

編集部:
そう言えば、雑誌『SIGHT』(07年1月)のインタビューで、
9条が、リアルで大きな力だったという現実。これはもっと知られるべきなんじゃないか」とおっしゃっていましたね。

中村:
そうなんですよ、ほんとうにそうなんです。
僕は、憲法9条なんて、特に意識したことはなかった。
でもね、向こうに行って、9条が、バックボーンとして、僕らの活動を支えていてくれる、これが我々を守ってきてくれたんだな、という実感がありますよ。
体で感じた想いですよ。
 
武器など絶対に使用しないで、平和を具現化する
それが具体的な形として存在しているのが、日本という国の平和憲法、9条ですよ。
それを、現地の人たちも、分かってくれているんです。
だから、政府側も反政府側も、タリバンだって、我々には手を出さない。
むしろ、守ってくれているんです。
9条があるから、海外では、これまで絶対に、銃を撃たなかった日本。
それが、ほんとうの日本の強味なんですよ。


編集部:
その、体で実感した9条を手放すことには、どうしても納得できない。

中村:
具体的に、リアルに、何よりも物理的に、僕らを守ってくれているものを、なんで手放す必要があるんでしょうか。
危険だと言われる地域で活動していると、その9条のありがたさを、つくづく感じるんです。
日本は、その9条にのっとった行動をしてきた。
だから、アフガンでも中東でも、いまでも親近感を持たれている。
これを、
外交の基礎にするべきだと、僕は強く思います。


編集部:
お話を伺って、中村さんたちの活動は、それこそ「ノーベル平和賞」に十分に値するものじゃないかと、とても強く感じました。
これからも、ほんとうにお体や健康にお気をつけて、素晴らしい活動をお続けください。
本日は、長時間、ほんとうにありがとうございました。

中村:
はい、こちらこそありがとうございました。
第2期用水路建設に向けて、もっと日焼けしてきます(笑)。



※中村さん(ペシャワール会)の活動の場所を、GoogleMapでご覧ください。
(ブラウザのバージョンによっては、閲覧できません。)
●ペシャワール会
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/

●活動エリアについては、以下にもあります。
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/ayumi.html
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神の申し子たちの歌声

2014年05月16日 | 音楽とわたし
先月のカーネギーの直後から始まった伴奏バイト。
合唱のコンクールとコンサートの、ふたつの舞台のための練習をしに、週に3日、スペシャルズの高校生たちが通う学校の講堂に通っています。
今日はそのコンクールの日。

会場の高校は、うちから車で1時間弱の所にあります。
なのでわたしは、生徒と学校関係者の人たちが乗るチャーターバスのあとを、ひたすら付いていくのですが、
バスの運転手さんって、なんというか、出てくるんですよね~個性が、運転の仕方に。
今日の運転手さんは、我が道を、走りたいように走る!文句あっか?……な方で、いやもう、万が一の時のことを考えて、地図を持参しておいてよかったです、はい。

指揮者のダリルも、ダリル節を炸裂!
練習中に散々やってきたことを、コロッと変えてしまう得意技を連発してくれました。
最初の年はそりゃもう驚きましたし、慌てましたが、もう旧知の中となった今では、はいはい、今日はそういう気分なんやねと、合わせる余裕も出てくるってもんです。

わたしも彼に負けじと、外したことのない場所で音を外したりしたので、ここは一発挽回しようと、年季の入った表現で点数稼ぎ。
非常に音楽的な伴奏でした、という審査員の講評をいただきました。
そしてもちろん、混声合唱の歌い手たちの、なんとも美しいハーモニー!
人間の声の和というのは、温かで、柔らかで、心が本当に満たされますね。

最優秀賞をもらって、大歓声を上げる生徒たち。
嬉しそうな顔を見ていると、練習中のあれやこれやが吹っ飛びます。
スペシャルズというのは、神さまから特別に愛されている人たち、という意味です。
なので、人より少し、神さまに近い。
だから、人より少し多めに、苦しみや痛みを背負ってこの世に生まれ、その生き様を見せることで、苦しみや痛みを分かち合い、学び、思いやれるよう、人に教える使命を持っています。
ダリルからはじめ、そう聞いて、すごく胸にひびいたものがありました。
けれども、練習の場は時に、修羅場と化すことがあります。
心に痛みや傷を持ったティーンの子たちが、一所に大勢集まっているのですから、仕方がないことなのですが、それでもやはり、練習の妨げになるような態度には、厳しく接しなければなりません。
ダリルが怒ると、白髪のおかっぱ頭が逆立ち、大声が講堂に響き渡ります。
彼は、そういうふうに容赦なく、厳然とした態度で叱るのですが、その練習が終ったすぐ後に、叱った生徒を呼び寄せ、肩を抱いて言葉をかけるのです。
それが何人いても、同じようにします。
その緩急のうまさには、学ぶべきものがたくさんあります。
なので、演奏中にテンポがあっちこっち速くなったり遅くなったりしようが、ここでボクがサインを出すまで弾くなと言ってたくせに、そのサインを出すのをすっかり忘れようが、
ま、許してあげることにしましょう。

次の本番は来月のはじめにある、誰かさんを偲ぶ会での演奏と、中旬のサマーコンサート。
そしてそれが終ったら、やっとやっとの平常の毎日です。

外はずうっと雨。
まるで梅雨とハリケーンが一緒にやってきたような毎日が続いています。
前庭の改造も、ちょっとやり始めたところで中断。
ぼちぼちと、一日一日を大切に生きていきましょう。
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チンプンカンプンな首相や記者が押しつける『集団的自衛権』の、悲惨なまでに不可能な文言化!ど~ん!

2014年05月15日 | 日本とわたし
『集団的自衛権』
天ぷら男がまた、好き勝手な持論を、公の場で、声も高らかに述べたようですね。
いっぺん、あの男を公開討論の場に立たせ、小沢氏が読売の記者に問い質した以下の質問に、答えさせてみたいもんです。
デモも抗議行動も、署名ももちろん意味があるし、今後も続けていかなければならないことだと思っていますが、
政府与党の好き勝手のし放題に、まるで手も足も出ない状態というのは、やっぱりどこか、やり方を工夫したり変えたりしていかなければならないのではないかと思うのです。
大手のマスコミ幹部らが、カネと接待漬けでダニと化してしまっているのですし、裁判官なども然り、頼れる機関などほぼ無くなってしまいました。
これほどに、国の在り方を変えてしまうほどの大きな事柄について、個人の趣味や願望丸出しの押しつけをまかり通させてしまっては、
日本という国と、国民の質の程度を、疑われることになってしまいます。

国というものにとって市民は、ただの数であり、20年ほど世話をしてやれば、後は延々とカネを払わせることができるモノとしか捉えていません。
もとから市民の命や健康、生活の質の向上などを考慮し、協力しようなどとは考えていませんし、そのつもりもありません。
ただ、あまりに困窮させてしまうと、カネが流れてこないので、ある程度の生活力を保持できるよう、自己責任という聞こえの良い言葉を使って操っています。

民というのはもともと、目を潰され、見えなくされてしまった奴隷という意味です。
それすらも棄てた国の代表である政府に、もう振り回され、殺されるのはまっぴらだと、立ち上がって声を出してください。

↓以下、転載はじめ

集団的自衛権>
小沢一郎「何を使うの?それは武力でしょ。だから意味が分かってないんじゃないか?メディアも」
5/12定例会見(文字起こし)



集団的自衛権って言われたって、分からないんじゃないか?
法制局でさえ分からないんだから。
メディアだってわかる訳ないわな。



小沢一郎さんが、集団的自衛権の意味をちゃんと理解していない記者のみなさんに、優しく解説していらっしゃいます。
聞いていてなるほどと思い、そして、記者の方の反応も興味深かったので、文字起こししました。

小沢一郎代表 定例記者会見


文字起こし部分のoYoutube→http://youtu.be/TF9c01sCHKg?t=7m29s

読売新聞シゲマツ:
今日の朝刊なんですが、弊紙の世論調査で、集団的自衛権の行使を容認するという声が、7割を超えたんですけど、
これについての受け止めをよければ。


小沢:
いま、飛行機の中でちょっと、ちらっと見たけれども、「集団的自衛権」というふうには読売は言ってないね
「集団自衛権」って言ってるね

もう、用語からしてゴチャゴチャなんだよ、メディアも。
だから意味が分かってないんじゃないか?みんな。


集団安全保障えいきゅうらいは、国際的な安全保障、国連を中心とした事を、そう言ってきた。
集団安全保障
かたや、自衛権について、集団的自衛権と言ってきた
最近では「的」を除いて「集団自衛権」「集団自衛権」って言って、国連の安全保障と似たようなイメージになって捉えられていて
果たして、本当に国民が、「集団的自衛権」、
簡単に言えばアメリカと共同歩調で、海外で、日本と直接関係のない海外とでも武力の行使を出来ると、いう話になりますから、
ま、アメリカだけでなく、どこの国とでもいいという事に、なんか報じているのもありましたが、

いずれにしても他の国と共同して、国際紛争の解決にあたると。
そのために自衛隊派遣という話になりますから、
それを明確に聞いたうえでないと、訳わかんないんじゃないか?国民は。

集団的自衛権と集団自衛権、似たようになるものに考えたら……、
どうなってるの?
俺知らないけれど、詳しくは、読売の朝刊は。


読売:
今回設問としては「集団的自衛権」という聞き方をしておりまして、
で、見出しで「集団自衛権」と。


小沢:何で見出しで外すんだ?


読売:
設問の方ではですね、「集団的自衛権」について、あの、「あなたの考えに最も近いものを選んで下さい」と、


小沢:
「集団的自衛権」という事自体がどういうことなのか?
ま、共産党や社民党は「それですぐ戦争だ」という言い方をするけれども、それは別として、

集団的自衛権の解釈というのは、法制局でさえいい加減だし、
ましてやメディアの解釈もハッキリわかってないんじゃないかなと、俺は思うよ。

だから、「自衛権の行使」でさえ、「武力行使できる」って言う事になるだろ?
ちがう?
そうだろ?
「自衛権の行使」というのは武力行使を当然含むんだよ。
あたりまえでしょ?


当然、国連、もしくはそれに準ずる多国籍軍に参加する、と言うのは、
旧来の内閣法制局だと、あれも集団的自衛権だと、こう言っているんだよ
これは、全くの論理的な過ちだと思うけど、
ま、コロコロコロコロ変わった挙句にそう言っているんだけども、
そういう論理でやろうとしているのか、そこまでも考えているのかどうかは良く分からないけれども、
いずれにせよ、本件の事とはまったく別個に、
どこかの国と一緒に、国際紛争解決するために、海外に軍を派遣できるっていう話になっちゃうので、
そこをみんな国民が分かっているのかな?っていう。

集団的自衛権って言われたって、分からないんじゃないか?
法制局でさえ分からないんだから。
メディアだってわかる訳ないわな。


わかるか?
国連の41の42条と、集団的自衛権とはどう違うか?っていうの。
俺は何回も言っているけど、なかなか明快に説明できないでしょ?
法制局でさえ、何度も言うように、間違えているんだから。
俺から言わせれば、間違えたおかしな解釈をしている訳だから。

だから、まァ、なんとはなしに「いいんじゃないの」っていう雰囲気があるのかなぁ?
そういう事かもしれない。

それで、集団的自衛権を認めるかどうかで、武力の行使もいいか?って聞いてるの?


読売:
武力の行使については……ちょっとぼ……あの……、


小沢:
え?


読売:
集団的自衛権について、あなたの考えに最も近いものを一つ選んでほしい。ということで、
全面的に使えるようにすべきだと、


小沢:
なにを使うの?
使えるって、何を使おうっていうの?



読売:
あの、「集団的自衛権」という権利。


小沢:
それは武力でしょ。
「集団的自衛権」だなんて観念的な事、抽象論を言ったってわからんじゃないの。


「アメリカと一緒にアフガンに行くか?」って言う事でしょ。
簡単に言えば。
「イラクに行くのか?」って言う事でしょ。
「集団的自衛権」ってそういう事でしょ。
違うの?
何やるの、それじゃ?集団的自衛権で他に。


読売:
それは、限定するかどうか、あの、説明としては、
全面的に使えるように容認するべきか、それとも最小限の範囲ですべきか、もうひとつ。


小沢:
「限定的」って、どういうふうに限定するの?戦争を。


読売:
それはまァ、これから議論になって、あの……


小沢:
え?


読売:
「歯止めをどういうふうにかけていくか」っていう議論になっていくかと。


小沢:
戦争っていうのは、どういう形でどんなふうに起きるか分からないでしょ?
今問題になっている、ロシアとあれのことだって、戦争って言えば戦争だよ。
それで、アメリカが「あそこに行く」って言ったら、日本も行くのか?
集団的自衛権って言っただろ?



読売:
……。


小沢:
分かんないだろ?よく。
だって、ドンパチ、事実上バシバチやっているわけだし、これ、こじれたら本当にそうなるよ。
ロシアも、事実上は覆面なんかして、顔隠しているけど、ロシアの部隊が入っている事は事実なんだし、
それとドンパチになるかもしれないんだよ。

国連の決定ではなくて、アメリカ、もしくはNATOでもどっちでもいいけど、
決定に従って日本も行くっていう事になるか?
そういう事になるだろ?理屈上は。



読売:
……。


小沢:
それとも遠いからダメ?
近いからいいけど、遠いからダメって言うのは、それは理屈にならないだろ?



どこかの記者:
ウクライナが地球の裏側かどうか?っていうことも問題になる。


小沢:
地球の裏側!
「地球の裏側には行かない」って言ってるの?



どこかの記者:
そう。


小沢:
表だったらいいの?
そしたらどこまでの、



どこかの記者:
それが、だから分からない。


小沢:
最初から分からないで言ってるんだよ。
地球の裏って言ったら、真下に掘れば、ブラジルかあっちの辺か、


どこかの記者:
だから、チリとかアルゼンチンとかが、地球の裏側だと。


小沢:
アルゼンチンか。


どこかの記者:
3ヶ月ぐらい前に、防衛大臣が


小沢:
「そこへは行かない」って言うのか。
ハハハッ・・・ほう。

じゃあ、それ以内じゃないか、ウクライナは。
アフガンなんて、それに比べりゃすぐ傍じゃない。

ま、少し、諸君も議論してみたら?
なんか、言葉の遊びみたいになっちゃってるね。


軍を動かすっていうのは、政治の最終の手段なんだよ。
人を殺すことができるわけでしょ。
政治の最終の手段を、そういういい加減なことで決定してはいけないと俺は思うよ。

だから、戦前の昭和史の悲劇が出来たんでしょ。
そうよね。
だから、軍の武力で兵を生み出す人間に対して、武力をもって鎮圧できるっていうのは、国連の憲章に書かれてあるから、
国連で決定してやるという事に、日本が参加するという事については、私は、おおいに、積極的に考えるべきだと思っているけれど、
国連ではなくて、アメリカなり、どこでもいいけど、オーストラリアでもカナダでも、どこでもいいけど、
その一国が、「けしからんと、武力を使ってでもやる」って言ったら、それに同調するっていう事になるよね。
集団的自衛権、違うの?



読売:
……。


小沢:
読売のは違うのか?


読売:
……。


小沢:
そうだろ?論理的には。
違うか?


読売:
「どこまで出ていくか?」っていうのが、今議論になっていて


小沢:
だから、「どこまで」なんていう事を限定できるか?っていうんだよ。
戦争っていうのは、どうやって起きるのか分からないだろ?
例えば、「朝鮮半島有事だっていうのはいい」って言ってるんだろ、読売やその他は、なんとなく。
アバウトでいうと。
朝鮮半島で、どういう事件が起きたら、集団的自衛権を行使するの?


読売:
……。


小沢:
わからないだろ?
わからないんだよ。
前もって戦争がどういう格好で起こるかなんてわかりゃせんだよ。

だから、…最終的には政府の判断なんだよ。
あの…、どういう事態で自衛権の発動をするか?っていうのはね。

だけども、「集団的自衛権」で、一般的にそれを認めて、
簡単に言うと日米安保、あるいはその他でもいいけど、同盟国と協調の歩調を取る、という理屈になる
だろ?

そうすると、アメリカはそうじゃなくたって、日本に「参加しろ参加しろ」っていう訳だから、
アフガンの時もイラクの時もそうだった。
前のクエートの、イラク戦争の時はそうじゃないけどね、
これは、国連が、ソ連と中国は棄権したけれども、安保理で決定したことだからね。
これは、国連の決定事項だったけれども、この間もそうじゃないし、アフガンもそうじゃないでしょ。
アメリカは、米軍は、アフガンはアメリカの戦争だと。
「とやかく、他のやからに言われる筋合いはない」と言って、戦争をおっぱじめた
訳だ。

「それに協力する」っていう話になっちゃうよな?
だろ?
ちがうのか?



読売:
……。


小沢:
「分かんない」じゃ困るんだよ。
ちゃんと社内で議論してだな、
「集団的自衛権というのはどういう事だ?」と
あるいは、「的」を落としたらどういう話なんだ?という事をやっぱり議論しないと、
間違えちゃうよな、世論形成を


地理的に制限する、と言う事も事実上不可能だし、
あるいは、戦争の形態で持って限定する、という事も不可能だし、
予め戦争について、これが日本の自衛権の発動として妥当かどうか?ということを、文章で決めておくっていうのは不可能
じゃないか?


読売:
……。


小沢:
と思うけどな。
俺は、集団的自衛権は否定していないんだよ。
もうずーーっと何十年も前から。
知ってるだろ?それは。
ただ、日本とまるっきり関係のない所に行って、紛争解決のために、自衛権の発動と軍を派遣するという事は、9条がある以上出来ませんよ、と。
だから、やるんなら、9条を改正せなあかんよと。
やりたいんならね。

僕は、9条のあの基本を、改正する必要はない
それは、国連の平和活動に積極的に参加する事で、紛争解決に努力するという議論だから、ちがうけれども、
真っ向から、とにかく「日本がやりたいんだ」という事になれば、9条を改正する以外にはないわな。

と、俺は思うよ。

~23:20


集団的自衛権、行使容認71%…読売世論調査
【読売新聞】2014年05月12日



政府が目指す集団的自衛権の行使に関して、
「必要最小限の範囲で使えるようにすべきだ」とした「限定容認論」を支持する人は63%に上ることが、読売新聞社の全国世論調査で分かった。

「全面的に使えるようにすべきだ」と答えた8%と合わせて、計71%が、行使を容認する考えを示した。
行使容認論の国民への広がりが鮮明となり、近く本格化する、集団的自衛権を巡る与党協議にも、影響を与えそうだ。

9~11日に実施した世論調査では、限定容認論を選んだ人が、前回調査(4月11~13日)より4ポイント上昇した。
一方、「使えるようにする必要はない」と答えた人は25%で、前回より2ポイント下がった。

支持政党別にみると、限定容認論への支持は、自民支持層で7割を超えた。
公明党は、集団的自衛権の行使容認に慎重だが、限定容認論を選んだ同党支持層は7割近くに上り、党と支持者の間で考え方に隔たりがあった。
民主支持層と無党派層でも、限定容認論は、いずれも6割近くに上った。





↑以上、転載おわり
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「逃げても地獄、突っ込んでも地獄。これが特攻ですよ」元特攻隊員の証言

2014年05月14日 | 日本とわたし


歴史を直視しない、ヒトラーさながらの男

トチ狂った安倍は、『カミカゼ特攻』を、ユネスコの世界記憶遺産に登録することにも、前のめりだという。
安倍がご執心なのは、鹿児島の知覧特攻平和会館が保存する、特攻隊員の遺書などの資料だ。

信じられない発想だが、こんな安倍ベッタリのメディアのせいか、最近の若者は、特攻隊員の遺書を読むと、
「国を守ろうとする使命感を感じた」
「自分にはできないことをしたすごい人たち」
などと言い、時には涙を流すという。

こうした『特攻美化』を、元隊員たちはどう思っているか。
4月30日付の朝日新聞で、ある特攻の生き残り隊員が、「志願じゃない。強制ですよ」と証言していた。
特攻隊員に選ばれて、失神する仲間もいれば、逃げ出して憲兵に捕まり、自殺した人もいたという。

当事者の元特攻隊員が、
「逃げても地獄、突っ込んでも地獄。これが特攻ですよ」と訴えているのに、

安倍たちは「お国への忠誠心」をでっち上げ、暗黒の戦前・戦中を美化しようとする


「この確信犯的発想は、ナチスの手法そのもので……(以下、略)」

↑以上、書き起こしおわり


以前、元特攻隊員の方が、いろいろと当時の話をしておられたビデオを観たことがあります。

その番組の、元特攻隊員の方々の証言を、文字起こししてくださっていた方がいらっしゃいました。
そこから少し抜粋して、ここに載せさせていただきます。

「振武寮」に隔離された元陸軍 特攻隊員の証言など
http://d.hatena.ne.jp/dj19/20090420/p1

陸軍では、特攻隊員として出撃したが、何らかの要因により、攻撃に至らずに帰還した特攻隊員を、
死んだはずの軍神が生きていてはおかしい、ということで、人目につかないよう秘密裏に、『振武寮(しんぶりょう)』(福岡市薬院)に隔離した。


「お前たち命が惜しくて帰ってきたのか。
そんな死ぬの嫌か。
卑怯者だとか、死んだ連中に申し訳ないと思わないかとか、そういことを毎日毎日言う訳です。
おまえら人間のクズだと」

「お前ら1人帰ってきたために、何人もの(アメリカ軍の)兵隊が助かっとる、言うんです。
なんで死んでこなかったのかと言われた。
理由のいかんを問わず、お前ら国賊だ、言うて」

「振武寮に入ったらビックリしましたね。
周り見たらもう、出撃して死んだと思っていた奴らが、ごろごろしとったんですね。
ここは、特別攻撃隊の収容所かと思いましたね。
そのときの参謀の態度も、非常に腹が立ちましてね。
腕組みして、長靴履いた足をバーンと、こういう(机の上に足をのせる)格好でだしましてね。
ふんぞり返って、貴様らなんで帰ってきた。
飛行機が具合悪かったんでございます。
悪かったのはお前らの腕前だろ」



紙が配られ、特攻隊員になることを『熱望する』『希望する』『希望せず』の、3つの文字のいづれかに○を付けて、提出するよう言われたという。

「『希望せず』に○を付けた者でも、特攻隊になってるの者がおりましたから。
そんなもん、形式的なものだけであって、希望するもしないも全部ひっくるめて、特攻隊を指名したんじゃないでしょうかね。
こんなんがおりました。
オレは希望せずなんだよなぁ~、言うて、しかしやっぱり指名されてしまったわ、というのがおりました」

「軍としては、飛行機の良いのができたら、まず戦闘部隊ですよ。
特攻隊じゃなくて戦闘部隊。
飛行団というのがいっぱいありまして、飛行戦隊、そういうところに良いのがある。
戦闘部隊というのが、天皇直結の部隊だからね。
同じ死ぬのでも、天皇直結に死ぬのだから。まさか、天皇直結の部隊に、ボロクソの飛行機やれないですよ」

「私の立場はね、特攻隊がみんな行って、みんな突っ込んでくれるという前提で、仕事をしてたんですよ。
だから私の方では、そんなにたくさん帰ってくるとはね、夢にも考えなかったです。
帰ってきて、みんなに言わないほうがいいわけですよね。
おれは途中で帰ってきた、なんてね。
結果的に(振武寮は)、隔離所になるわけですよ」

「多くの隊員を出撃させたので、恨みに思われるのは仕方ないし、遺族からも反感を買っているので、
いつ報復されるかわからないと、夜も安心して寝ることができなかった。
80歳までは、自己防衛のために、ピストルに実弾を込めて持ち歩き、家では軍刀を手離さなかったんです」


↑以上、引用おわり




心も思想もなくした予科練

無職 加藤 敦美(京都府 85)

祖父と父は戦前、旧満州(中国東北部)への権益拡大の国策でつくられた、南満州鉄道(満鉄)の社員だった。
私は、旧満州国と関東軍と満鉄が、中国侵略を進める中で成長した。
日本の子どもは、天皇の命令一つで死ぬように育てられ、命は自分のものではなく、死ねば靖国神社の神と化すと教えられた。
命令されて死ぬより、命令される前に命を捧げる忠義が美しいと感じた私は、中学生の時、海軍飛行予科練習生(予科練)に志願した。
それは、特攻隊への道だった。

郷里の神社であった、入隊者を送る神事を覚えている。
私たちは、既に靖国の神になったかのように扱われ、周りから隔離された。
入隊すると、上官に散々なぐられ罵倒され、心も思想もなくし、私は人間ではなくなった。
消耗品だった。
2等兵は「犬にも劣る」とされた。

訓練中に敗戦を迎えた。

最近、映画化もされた『永遠の0』という本を読んだ。
消耗品だった私たちを、立派とほめていると思った。
かつての国家神道の中心施設で、A級戦犯を合祀する靖国を参拝し、英霊に哀悼の誠を捧げると言った、安倍晋三首相の倫理と同じと感じた。

私は、予科練時代を呼び覚まされ、ぞっとした。
老いた私たちに代わり、また若い人たちが、戦場に連れ込まれようとしている。

私は必死で願う。
行くな、行ってはならぬ、地獄だぞ!

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とめよう再稼働!二度と原発を動かさないために今、あなたの声が必要です!

2014年05月14日 | 日本とわたし
ぜひ、このグリーンピースの呼びかけページを開き、署名や記事の拡散に協力してください!



#とめよう再稼働
二度と原発を動かさないために今、あなたの声が必要です。


今、全国各地で、市民個人個人や、原発に反対するグループが、各地の原発の再稼働を止めようと行動を起こしています。

ぜひ、あなたも声をあげてください。
ぜひ、安倍首相、再稼働申請された原発立地県知事に、再稼働しないことを求める署名にご協力ください。





原発は「安い」どころか、私たちに、そして未来の世代にも、重い負担を押しつけています。
原発事故のコストの多くは、税金で肩代わりされ、電気料金に上乗せされています。
つまり、私たちの負担となっていきます。





             


                         


                                     






グリーンピースが
再稼働すべきでないと考える5つの理由


【1】いま、日本は地震の活動期



いくら巨額なお金をかけて防災対策をしても、「想定外」の自然災害は起こりえます。
予防策は、「原発をなくす」ことしかありません。
暴走した福島第一原発は、人間の手でコントロールできず、その場所に近づくことすらできませんでした。
事故は、いまだに収束していません。



【2】原発なしでも電気は足りている



原発がなくても、国内には、必要な電気をつくれる発電所がすでにあります。
実際、2013年9月16日以降、原発は一基も動いていません。



【3】電気代問題は自然エネルギーで解決



「原発をなくすと電気代アップする」と言われています。
今後しばらく、電気代が高くなる可能性はありますが、これは、原発にも火力発電にも、自然エネルギーにも言えること。
でも、将来的に電気代が安くなるのは、燃料代がかからない太陽光や、風力などの自然エネルギーだけです。


【4】行き場のない核のゴミ



原発から出る核のゴミ(使用済み核燃料)は、処分の方法も場所も決まっていません。
東電福島原発事故の後、除染作業で出た放射性廃棄物の詰められた袋も、あちこちに山積みされています。
(写真: ©Noriko Hayashi / Greenpeace)



【5】本当に大丈夫? 原発事故の避難計画



アメリカでは、原発事故に対して、有効な防災計画がなければ、原子力規制委員会が、原発の運転を止めさせることができます。
しかし、日本の原子力規制委員会は、自治体がつくる原子力防災計画が、有効かどうかも見てくれません。

実際、メルトダウンまで20分(※)しかないのに、避難指示が出るのは「全面緊急事態」がおこってから。避難計画は「絵に描いた餅」のような状態です。


【関連ブログ】原発メルトダウンまで20分 ―避難時間は2日半!?

※関西電力による解析(美浜の会配布資料より)


みんなの声で、今、すべての原発が止まっています。
今度はあなたの声で、再稼働を止めてください。


■ 署名に参加してあなたのメッセージを伝えましょう
お名前とお住まいの都道府県を、再稼働申請の出ている原発のある県・道の知事と、安倍首相に提出します。

また、原発はもうやめてという意見、原発事故で失いたくない大切なものへの思い、事故からの教訓など、
あなたの脱原発へのメッセージを、100字程度で書いてください。

お名前とメッセージは、再稼働の申請の出ている原発のある県・道の知事と首相に、提出します。

※メッセージをお書き添えくださいました場合は、印刷して提出します。
※メッセージは抜粋になる場合があります。



原発事故で被害を受けた福島の方々に
「私たちにできることは?」とお聞きしたところ、
返ってきたのは「忘れないでほしい」という言葉でした。


東京電力福島第一原発事から3年。
いまだ約14万人の方々が、避難生活を余儀なくされています。
グリーンピースは、生まれ故郷を奪われて避難している方、原発を止める活動に一生をかけていくと決意をした5人の方に、
「福島の証言者」として「いま感じていること」や、「多くの人に訴えたいこと」をお聞きしました。

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四方山話

2014年05月14日 | ひとりごと
リビング側の窓とつながっているお隣さんの庭が、こんなふうになってきました。


この窓の近くに、生徒や生徒の親御さんたちが座るソファがあり、夏になるといつも、この窓から見える大きなプールを眺めるのが、楽しみのひとつだったのですが……。
あの大きさのプールを維持するために、どれだけの大変な作業と費用が要ったか、それを目の前で見てきたわたしには、プール除去の意味ももちろん分かります。
でもやはり、5年間とはいえ、慣れ親しんできた景色が無くなってしまうのは寂しいものです。


さて、話はくるりと変わり、
これは、最近の、わたしのおやつです。


右の深緑色の粉は、たくさんの野菜を粉末にしたもの。左の薄いオレンジ色の粉は、ビタミン補給のための粉です。
どちらも、直接にはとてもではありませんが食べられません。



なので、良い環境で暮らす牛さんたちのミルクから作られたヨーグルトと、手作りジャムをちょいと混ぜて、


さらにナッツもちょいと乗っけて、


まぜまぜしたのが、冒頭のブツです。
見た目はあまり良くないし、味もまあ、美味しいとは言えませんけれども、良いものを食べている、という満足感は得られます、はい。


さて、さらに話は全く関係の無いものに移ります。

これは、多尿症の猫ちゃんを家族に持った方々に、とても良いニュースだと思います。

うちの家猫は15才半。
ずっとずっと病気知らず(というか、飼い主が気づかずだったかもしれません)で、安い餌を好んで食べてきたショーティ。
多分その、安いドライフードが原因だったと思うのですが、重い糖尿病を患ってしまいました。
一時、かなり危ないところまでいってしまいましたが、5日の入院を経て、今はとても落ち着いています。
インシュリンの注射を毎朝一回ずつ打ち、彼女の大っ嫌いな、ちょっとお高い猫缶を、あの手この手で誤摩化しながら与えているのですが、多尿の症状は一向に良くなりません。
薬を餌に混ぜて、2ヵ月様子を看ましたが、全く効果無し。
彼女のトイレの猫砂は、それはもう本当に、悲惨な状態なのでした。
いろんな種類を単独で、あるいは混ぜたりしながら、ありとあらゆる方法を試してみましたが……。
おしっこ玉にすらならない、箱の半分が濡れた状態の所を歩いた後の肉球……ご想像にお任せいたします……。

拭いても拭いても、またすぐ汚れる床、しかもだんだんと暖かくなって、臭うようになってきました。
そしてなによりも、取り除いたおしっこ玉もどきを入れたビニール袋が、重いのなんのって!
これをゴミの日に出すのが、とても気が引けます。

というわけで、いろいろと情報を集めていました。
そして見つけたのがこれです。


大きな粒状の砂?の底は、編み目になっていて、その下の引き出しに、おしっこパッドを敷きます。


パッケージには、通常3日に1回、パッドを取り替えると書いてありますが、ショーティの場合、1日しかもちません。
もう染みる所などどこにも無い!というくらいに、ボテボテになってしまいます。
で、そんなに毎日取り替えていたら、費用が高くつくのではないか?と思ったのですが、
インターネットで注文できる会社に定期購買を申し込むと、格安で配達してもらえることを知り、それを活用することにしました。
結局、猫砂をせっせと買い求めていた時と比べると、それより少し安くなることが分かり、心身ともに本当に助かっています。

以前は、すぐに汚れてしまったここも、


ここも、


そしてここも、


彼女の通り道を見ながら、ため息をつくことは無くなりましたし、朝起きてすぐに、トイレの横に座り込んで、掃除をする必要もなくなりました。
あとは、彼女の多尿の症状を緩和できるよう、漢方やレメディなどを、もっとよく調べようと思っています。

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『被害者を加害者に仕立て、加害者が被害者面をする方法』by高岡滋氏

2014年05月13日 | 日本とわたし
高岡 滋さんのツィートを紹介させていただきます。

高岡 滋
水俣協立病院⇒神経内科リハビリテーション協立クリニック(民医連)勤務。
山口県出身。
医師/臨床心理士。
水俣病/神経内科/リハ科/精神科。
ノーモア・ミナマタ訴訟原告側証人。
身体/心理/社会の相関を実践的に探究。
熊本県水俣市在住。
協立クリニック
kyouritsu-cl.com


【被害者を加害者に仕立て、加害者が被害者面をする方法】 

美味しんぼの描写、「残念で悲しい」と、浮島環境政務官 - MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140508/dst14050820080008-n1.htm

小学館の「週刊ビッグコミックスピリッツ」掲載の漫画「美味しんぼ」で、
東京電力福島第1原発を訪れた主人公らが、原因不明の鼻血を出すなどの描写があった問題で、
環境省の浮島智子政務官は、8日の定例記者会見で、「非常に残念で悲しいことだ」と述べた。

浮島氏は、
「言論の自由はあると思うが、福島の人たちが復興を頑張っている中、風評被害の影響を考えてもらいたい」と指摘した。

第1原発がある福島県双葉町は7日、小学館に対し、「町民だけでなく、福島県民への差別を助長させる」との抗議文を出した。


わたしたち国民は、現実からしっかりと学ぶことで、賢明に行動することが出来るようになる。


この環境省の見解は白々しい。
心情を鑑みる前に、すべき仕事をしてない。


放射性物質対策に関する不安の声について 平成26年5月8日
http://www.env.go.jp/chemi/rhm/info_1405-1.html

環境省のいう福島県調査は、被曝量の調査。
健康指標の調査でなければ、結論は出せない。

以下参照
http://kyouritsu-cl.com/pdf/clinic_dayori.pdf

水俣病に続く犯罪継続中の環境省。


1970年代、私の先輩医師が、水俣市内の学童の健康被害を調査をした際、
地元住民だけでなく、行政や医師なども、「差別になる」と批判。
環境被害についての正当な懸念、調査・研究を、当の責任者までが、住民を巻き込み、
「風評被害」や差別にかこつけて「阻止」しようとするのは、昔からのこと。

もし、私の先輩達が、このような圧力に屈服していたならば、万をはるかに超える水俣病患者は、この世に存在しないものとなっていた。
権力者の意図は、「木を見せて、森を見せない」こと。
お上の思うツボに嵌らならないためには、鼻血問題を利用した扇動に乗せられず、正当な調査をしない政府を批判する事。

環境省は、水俣病の教訓を、逆に生かしている。
彼らには、過去の蓄積のみならず、新たな戦術を考える能力もある。
国民やメディアが、そう覚悟をしなれば、国民は騙され続けることになる。
少なくとも、水銀と放射線について言えば、あれは環境省ではない。
環境健康破壊省、環境犯罪省。
決して言い過ぎではない。

原発事故後の原発派ブレーンの獲得目標は、国民が、放射線リスクを語らなくすることにあったようだが、
いまや、放射線リスクを語れなくすることにあるようである。
鼻血の件も、原発擁護派学者や官僚、政治家が、民意をいかに誘導し、彼らがどういう結果を得ようとしているかという観点で、見ていくことである。



「科学的にありえない」美味しんぼ鼻血描写で遠藤啓吾・京都医療科学大学長
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140512/dst14051222400016-n1.htm

この学長の説明は非科学的。
鼻出血の発生機序を、血小板減少に限定。
統計学的考察を前提とせずに、放射線技師や宇宙飛行士の被曝を例示し、原発事故被曝との被曝様態の違いを無視。



環境省は、8日付けの記事、「放射性物質対策に関する不安の声について」http://www.env.go.jp/chemi/rhm/info_1405-1.html を、本日差し替えています。
ただし、広域処理、除染等の項目の追加が主で、私のツイートを変更する必要は全くありません。


↑以上、転載おわり


追記で、記事をひとつ、ここに転載させていただきます。

↓以下、転載はじめ

「美味しんぼ」登場の医師 「すべて事実。抗議は被災者に失礼」
【中日新聞】2014年5月13日

「綿密な取材を受けた」と、松井英介医師
 
小学館の「週刊ビッグコミックスピリッツ」の漫画「美味(おい)しんぼ」に、「岐阜環境医学研究所長」として実名で登場し、
原発事故や震災がれきと、鼻血の関連性を指摘している、元岐阜大助教授の松井英介医師(76)=岐阜市=は12日、
本紙の取材に、「すべて事実。実際に異変を感じている人たちがいる」と主張した。
福島県や大阪市などの抗議には「〝事実無根〟というのは、その人たちに失礼だ」と反論した。
 
放射線診療が専門。
福島県双葉町に依頼されて、2012年度から、町の放射線アドバイザーとして、年間数十日、町内に滞在し、
多くの被災者から、「鼻血が突然出る」「せきが止まらない」「体がだるい」などの症状を聞き取った、という。

「美味しんぼ」の原作者の雁屋哲さんと昨年末に出会い、4カ月にわたり「綿密な取材を受けた」と強調。
問題の漫画を、「子どもたちが読んで、自分の体の仕組みや放射線に、関心を持ってほしい」と話した。
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原発には例外なく、嘘と出鱈目と無責任と差別が蔓延し、対処の仕様がない無期限の危険と被害が存在する

2014年05月12日 | 日本とわたし
原発のウソと誤摩化しと恫喝については、これまでも散々ここに書いてきました。
まさに、キリが無いというのはこのことです。
よくもこんなデタラメなものが、いまだに堂々と、みなさんの電気代や税金を湯水のように使いながら存在し得ているもんです。
バカらしいと思いませんか?

原発はウソとデタラメの権化です。
だって、こんな地理条件の国に、原発などというものを建てるには、ウソをつき、デララメを言い、言動ともに暴力を駆使するしかありませんから。
もう、建ってしまったのはどうしようもありません。
だから、二度と稼働させない!と、反対の意を強く表明し、行動していくしかありません。
相手は、これまで通り、堂々と、ゴリ押しする気でいるのですから。

↓以下、『ニュースサイト ハンター(HUNTER)』の、4月と5月の記事をふたつ、続けて転載させていただきます。
文字色の変更と強調は、わたしの一存で行いました。

川内原発安全審査の茶番 九電が「活断層調査」の誤り否定
2014年4月8日



「原発の安全審査は茶番」――そうした声が聞こえてきそうな、電力会社と原子力規制委員会との馴れ合い審査の実態が、浮き彫りとなった。

原発再稼働第一号になることが確実視される、九州電力川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)の安全審査をめぐり、
国の地震調査研究推進本部(推本)が否定したはずの、九電による「活断層調査」を、九電側が「間違っていない」と認識していることが、明らかとなった。
 
九電が提出した安全審査のための書類には、推本の指摘を反映させた、基準値振動の値を明記した九電だが、これ自体、形ばかりのものだったことになる。


否定された九電の活断層調査
 
HUNTERは昨年1月、推本が実施した活断層再評価のうち、川内原発に近接する「市来断層帯」に関する議事録を、文部科学省に情報公開請求
平成24年5月17日、同6月25日、同7月26日にそれぞれ行われた第16回、第17回、第18回の、地質調査委員会長期評価部会の、分科会議事録を入手した。



議事録によれば、平成24年に行われた会議で、
九電の地質調査結果(平成21年『川内原子力発電所敷地周辺・敷地近傍の地質・地質構造(補足説明:その2)』。右が表紙)である。上記がその表紙)を酷評、
川内原発にもっとも近接する「市来断層帯」を、大幅に海側に延ばすなど、川内原発の安全性に疑問符を付けた形となっていた。
 
市来断層帯に関する議論では、同年5月17日の第16回分科会で、九州電力の資料を基に議論することで一致
6月25日には、川内原発沖の甑海峡にある甑断層が、北に延びる可能性と、内陸を走る市来断層の海域部分が、さらに延びることなどが確認されていた。

詳細な検討については、「原子力保安院の会議で行うべき作業」と指摘し、再評価結果が、川内原発の安全性評価に影響を与えることを示唆している。

下は、この時の議事録の一部だ。
(赤いアンダーラインはHUNTER編集部)



同年7月26日に行われた第18回分科会では、さらに踏み込んで、
九電作成の資料について、「参考資料3-1-2の解釈はとにかくひどいものである」と酷評。
最もひどいのは、地表面(海底面)にまで断層変位が及んでいるにも関わらず、断層の存在を全く無視していることである」として、未公表の断層があることも示唆していた。
(下はその議事録。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)




この推本の再評価結果を受けて、原子力規制委員会は、九電が出した川内原発の安全審査に対し、次のような指示を行っている。

《検討用地震の震源としている断層について、地震調査研究推進本部が、平成25年2月に公表した「九州地域の活断層の長期評価(第一版)」(以下、「推本評価」という。)による、
断層の長さより短く評価したものなどについては、少なくとも、推本評価を反映して評価し直すこと》――下の文書、アンダーラインの部分が、活断層評価に関する指示である。

(まうみ注・この表を転記できませんので、ここに書き写させていただきます)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
九州電力(株)川内原子力発電所1-2号機の真性内容に関わる主要な論点

新規性基準に対して提出された原子炉設置変更許可申請等に関し、これまでの審査会合やヒアリングを通じて確認した結果、主要な論点を以下の通り指摘する。
これらについては、特に今後詳細な説明を求める。
なお、これらは、現時点におけるものであり、今後の審査の進捗により変更が有り得る。

(地盤・地震関係)
● 評価の対象としている破砕帯の代表性の適切性を判断するため、全ての破砕帯の調査・評価に関わるテータを提示すること。

● 検討用地震の震源としている断層について、地震調査研究推進本部が、平成25年2月に公表した「九州地域の活断層の長期評価(第一版)」(以下、「推本評価」という。)による断層長さより短く評価したものなどについては、少なくとも推本評価を反映して、評価し直すこと

● 「震源を特定せず策定する地震動」に関して、基準地震動評価ガイドにある地震観測記録収集対象事例の16地震について、観測記録等の分析・評価を実施すること。

● 敷地地下構造を把握するために実施している地震観測記録の分析について、特異な傾向の有無を確認するため、全ての評価結果を提示すること。

(津波関係)
● 海域の活断層による津波については、推本評価を反映した震源断層の連動等を考慮した場合の検討を行うこと。

● 海域の活断層以外の波源による津波の評価の全体を示すこと。

(火山関係)
● モニタリングの対象となる全ての火山について、大規模火山活動の予兆を捉え
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


規制委の指示を受けた九電が提出した、最終的な資料が、次のものだ。





地震動評価や津波影響評価において、推本の再評価を反映させた形とはなっているが、
九電がかつて国に提示し、推本から酷評された活断層調査については、間違いだったのかどうかさえ明示されていない
《一部の活断層については、当社より長く評価》と表現、自社調査の結果について、大した間違いはないと言わんばかりだ。

しかし、推本は、九電調査の『一部』について酷評したのではなく、前述の「市来断層帯」を含めて、川内原発周辺すべての九電調査について評価し直していた

九電資料は、川内原発周辺の活断層を、F-A、F-B、F-C、F-D、五反田川断層、F-E、F-Fの7つに分けて評価しているが、
推本ではF-C断層、F-D断層、五反田川断層を、それぞれ甑海峡中央区間、吹上浜西方沖区間、市来区間と呼んで再評価。
残るF-A、F-B、F-E、F-Fの活断層は、上甑島北東沖区間、辻の堂断層を含む区間、および甑区間の三つに区分され、「甑断層帯」として再評価していた。
下記の上が九電の資料、下が推進本部の、公表資料にある図面である。

九電資料


推進本部の資料


それぞれの断層についての九電側の評価と、推本による再評価結果は、大きく違っている。

まず、九電の言い分。
【F-A断層】
F-A断層については、活動性を考慮し、北東部は断層が認められないs14測線まで、南西部は後期更新世以降の地層に、変位・変形が認められないNo21m測線まで延長した、長さ約18kmとして評価する。

【F-B断層】
F-B断層については、活動性を考慮し、北東部は後期更新世以降の地層に変位・変形が認められないs24測線まで、南西部は断層が認められないs30測線まで延長した、長さ約15kmとして評価する。

【F-A断層とF-B断層の連続性について】
F-A断層、及びF-B断層は、それぞれ累積的な変位・変形構造が認められ、F-B断層の北東側の伏在断層については、後期更新世以降の活動は認められない。
 
ブーゲー異常においては、F-A断層、及びF-B断層周辺では、連続する構造が認められるものの、
前期更新世の地層であるC層の層厚分布の形態等からは、両断層が連続する構造は認められない。
 
後期更新世以降の活動が認められる両断層の離隔は、5km以上である。

以上のことから、F-A断層及びF-B断層は、\連続しないものと判断した

 
一方、地震調査研究推進本部の再評価ではこうなる。

【地震調査研究推進本部の再評価】
甑区間の北東端の位置、及び南西端の位置については、九州電力株式会社(2009)に示されている。
九州電力株式会社(2009)は、本評価の甑断層が、上甑島の南方海域において途切れ、これより北東側をF-A 断層、南西側をF-B 断層とした。
九州電力株式会社(2009)は、この活断層が途切れるとした区間における構造について、地下でF-A 断層とF-B 断層をつなぐように伏在するものの、
海底に近い部分にみられる、反射面の不連続は不整合面であり、活断層ではないとした。

ところで、甑断層は、重力異常の勾配の大きい領域に一致し、この領域は、九州電力株式会社(2009)が活断層ではないとした区間でも認められる
また、この不整合面とされた区間を含む、甑断層の南西部分の音波探査断面には、海底に窪地状の地形が存在し、
さらに、九州電力株式会社が不整合面とした、反射面の不連続の上盤側では、地層に引きずり状の変形が認められることから、甑区間の活動を示している可能性がある。
 
以上のことから、甑区間は上記の北東端から南西端にかけて、途切れることなく断層が連続して分布しているものと推定した。


そして推本の結論――
《甑断層帯においては、過去の断層活動に関する調査研究が行われておらず、現状では、地震後経過率等の評価を行うことができない
今後、最新活動時期や平均活動間隔など、過去の断層活動を明らかにするための調査が必要である。
甑区間は、推定される活動時の地震規模が、M7.5 程度と大きいうえ、上下方向のずれを伴う沿岸海域の活断層であることから、津波の発生を検討する必要がある


「M7.5」、「津波の発生」― 政府機関が、甑断層帯について、大きな危険性があることを指摘した形だが、
これは、川内原発の安全性に、警鐘を鳴らしたも同然だ。
 
右上の写真は、川内原発の現在の状況である。川内原発の温排水を放出する「放水口」近くの砂浜から撮影した一枚だが、
一帯に樹木が生い茂るだけで、防潮堤などの整備は行なわれていない
これで、本当に安全と言えるのだろうか。


九電―「間違っていない」

推本の活断層再評価結果を反映させ、基準値振動を「620ガル」に引き上げたという九電だが、
想定されるマグニチュードがどの程度のものか、資料には明示されていない
そもそも九電は、自社の活断層評価をどう見ているのか――、九電に取材した。

驚いたことに、九電広報の答えは、「当社の活断層評価は間違っていません」。
推本の再評価で酷評されている調査結果を、「間違いではない」と主張する。
何度聞いても同じ答えで、それが九電の正式見解なのだという。
それでは、なぜ、基準値振動の策定に、推本の再評価を反映させたのか?
これに対しては、明確な回答はなかった。
要は、川内原発再稼働を急ぐため、とりあえず、規制委の言う通りにやったということだ。
ために、「620ガル」の根拠があやふやで、なぜこの数字に落ち着いたのかの、科学的裏付けが出されていない


「再稼働ありき」が規制委の姿勢

これを良しとした規制委も、随分と無責任だ。
前述したように、推本の再評価における議論の中では、市来断層帯についての詳細な検討については、「原子力保安院の会議で行うべき作業」と指摘している。
これは、再評価そのものが不完全だったことを示している
しかし、保安院を引き継いだ形の規制委は、この検討作業を行っていない
不完全だった推本の再評価結果を、九電に丸投げし、審査が通るように配慮した、としか思えない対応なのだ。
つまりは茶番。
再稼働ありきの審査」、ということになる。
フクシマの教訓は、何も生かされていない


知事もグル
 
「再稼働ありき」は、川内原発を抱える鹿児島県知事も同じ。
つい先日も、規制委が、川内原発を優先審査する方針であることについて、「ありがたい」と明言
もともと、再稼働への同意は県と立地自治体だけで十分、と公言するほどの知事だけに、わが意を得たりの心境なのだろう。
周辺自治体でも説明会を開くというが、どうせ形だけ。
この知事は、アリバイだけ作れば何をやってもいいと考えている独裁主義者
原子力ムラとグルになって、再稼働に向けてがむしゃらに進んでいくものと見られている。
原発がらみは、どれも茶番だ。
 

原発温排水 画像があばく九電と佐賀県の「嘘」
2014年5月12日

原発をめぐる、電力会社や立地自治体の「嘘」が、また一つ明らかになった。
 
九州電力や佐賀県は、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)から排出される「温排水」の影響評価について、「変化なし」と公表してきたが、
佐賀県在住のダイバーが潜水調査した結果、原発停止後、海中の生態系が、劇的に変化している状況が確認された
 
原発停止の数年前、温排水の放水口そばは、海藻類がまったくない状態
これに対し、福島第一原発の事故を受けて、玄海原発が停止された後は、「クロメ」などの植物が繁茂し、豊かな自然を感じさせる情景に変わっていた。
 
原発をめぐる原子力ムラの嘘やごまかしが、フクシマ以後も続いていることを証明する事実だ。


(写真は玄海3、4号機)

温排水影響調査
 
玄海原発を抱える佐賀県と、事業者である九電は、年度ごとに、原発の運転状況や、周辺環境放射能の調査結果に加え、
「温排水」がもたらす影響調査の結果を公表してきた。

「温排水」とは、原発から放出される海水のこと
原発の炉内を循環した冷却水は、高温となるため、パイプに通して、周りを海水で冷やす。
この海水を吸い込むのが「取水口」で、役目を終えた海水を、再び海に出すのが「放水口」。
海水は温められて放出されるため、「温排水」と呼ばれる。

温排水は、取水したときから、7度を超えて上がらないよう定められているが、国や電力会社の公表資料には、「7度」の根拠など皆無
原発特有の、裏づけのない一方的な基準で、温排水が垂れ流されてきた、というの実情だ。

HUNTERは、佐賀県が公表した、平成24年度の「温排水影響調査結果(佐賀県実施分)」と「温排水影響調査結果(九州電力実施分)」に注目し、その内容を確認した。
九電の調査は、季節ごとに実施されており、下は、平成22年度と24年度の、冬季における「潮間帯生物出現一覧表」である。

22年度冬季
 

24年度冬季


動植物の順番や種類、出現数などに若干の違いが認められるが、じつはその内容大に大きな変化はなく、
24年度の九電調査結果の「要約」には、そのことが明記されている(下がその「要約」の一部。赤いアンダーラインはHUNTER編集部)。



九電は、水質、底質、プランクトン、潮間帯生物ともに、「過去の調査結果と同程度」だとしており、佐賀県も、この調査結果を追認した形。
が、残念ながら、これは周辺海中の実情を正確に反映しておらず、調査結果は「嘘」だと言っても過言ではない


画像は語る
 
下は、佐賀県在住のダイバーが撮影した、平成22年頃の、放水口そばの海中の状況
魚類はいるが、海藻などの植物は視認できない。
もちろん、玄海原発は運転中。
取水された海水が「7度」上昇することで、植物の生育を妨げていたことが分かる。


平成20年頃の放水口そばの状況。画像の奥に放水口が見える。

この、まるで死の海のような様子が、劇的に変化したのが、原発の停止後。
下の写真は、今年の春、前掲の写真とほぼ同一の場所で撮影された一枚だが、「クロメ」と呼ばれるカジメ属の褐藻が繁茂しているのが分かる。
原発周辺の海に詳しい関係者の話によれば、平成24年には、すでに同じような状況が現出していたという。


今年春の同じ場所付近。クロメでいっぱいの海の中の状況。写真奥に放水口。


九電や佐賀県は、調査地点や調査方法の違いを、言い訳の材料に持ち出してくるのだろうが、画像はなによりも正直。
違いは歴然としており、「過去の調査結果と同程度」という報告を、信じる者はいないだろう。
原発停止前と後の、同じ位置でのワンショットが、温排水についての九電や佐賀県の「嘘」を証明している


放射能まみれの廃液垂れ流し
 
温排水は、ただ海水の温度を上げるだけのものではない
九電は、原発内で発生した、放射能まみれの「液体廃棄物」を、温排水に混ぜてたれ流し続けてきた

下の文書は、九電が国に提出した、玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)に関する「原子炉設置変更許可申請書」の添付文書だが、そのことが明記してある。
(赤いアンダーラインと矢印は、HUNTER編集部)




川内原発の温排水めぐる「嘘」
 
温排水絡みの「嘘」やごまかしは、枚挙にいとまがない
電力各社で組織された、電気事業連合会(電事連)のホームページには、温排水対策として、
取水口は温排水が再循環しないような位置に設ける”と明記しているが、これが真っ赤な嘘
九電の川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)の取水口と放水口は、下の図のような位置関係にあるため、
再循環が起きており、このことは、『反原発・かごしまネット』の海水温調査によって明らかとなっている。



反原発・かごしまネットの調査によれば、『温排水の水温上昇は7度以下』のはずなのに、
川内原発では、周辺環境より平均8.5度、最高10度も、高温化した温排水を放出していたという。


データ捏造も
 
九電の体質を示す、「捏造」の事実も存在する。
電力各社は、温排水によって温度が上昇する海域の実態を調査し、原発立地県に報告する義務があるのだが、
平成22年、温排水の危険性を独自に追跡していた『反原発・かごしまネット』のメンバーが、
九電の海域モニタリングの調査結果に、虚偽があったことを見つけていた。

九電の調査結果には、温度データと等温線が書いてあり、いずれも1度上昇を示す等温線が、"2km"以内となっていた。
だが、反原発・かごしまネットのメンバーが精査したところ、等温線の外側にも、海水温上昇を示す数字があることに気付いたという。
次の2枚の資料を見れば、一目瞭然だ。
(注:色づけ部分が広がった高温域)





九電は、温排水の拡散範囲を、意図的に小さく見せかけ
かねがね公表していた『温排水の1度上昇範囲は2km内外』に、無理やり当てはめようとしていたのである。
確認された平成12年以降、なんと、17枚もの捏造があったという。

九電や原発立地県は、こうした嘘やごまかしが露見するたび、都合のいい言い訳をして、原発の安全性だけを強調してきた。
しかし、玄海原発放水口付近の画像や、川内原発に関する調査結果が、原子力ムラの「嘘」を証明している。
これは、「神話」などという、きれいな言葉で括れるような話ではない。

それでも再稼働が許されるのか――?

↑以上、転載おわり
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本当に責められるべき者たちが、ここまで悠々と生きられる『犯罪者天国日本』!

2014年05月12日 | 日本とわたし
今から半年前の昨年11月に、『Peace Philosophy Centre』に掲載された記事を紹介します。
文字の強調は、わたしの一存で行いました。

一般焼却施設排ガスの放射性セシウムは、国が定めた方法では検出できない-東京都は技術者の実験提案を断った。
11.22.2013
元電機メーカーの技術者、樗木博一(ちしゃき・ひろかず)さんからの投稿を掲載します。

日本では、放射性セシウムに汚染された廃棄物を、一般の焼却施設(放射性セシウムを閉じ込める仕組みを持たない焼却施設)で焼却していますが、
日本国の環境省は、焼却施設の煙突から大気中に排出されるガス中に、放射性セシウムが含まれていても検出しない方法で、ガス測定を実施することを法律で定めています

私は、この問題を解決するため、ガス中の放射性セシウムを検出できる装置を製作し、東京都に実験を提案しましたが、認められませんでした
この状況を知っていただきたく、お知らせするものです。


放射性セシウムが焼却施設から大気中に放出されている可能性等について

- 技術者からの問題提起 -


平成25年11月19日
樗木博一

1.放射性セシウムが、焼却施設から大気中に放出されている可能性


日本では、放射性セシウムに汚染された廃棄物が、焼却施設で焼却されていますが、
焼却炉で、800℃を超える温度で加熱された放射性セシウムの一部は、
排ガス中に空気のような気体やミストといった、ナノメーターレベルのサイズの微粒子形態で、存在する
ことが考えられます。
しかしながら、焼却施設には、バグフィルターやHEPAフィルターといった、サイズの比較的大きいダストを捕捉するためのフィルター設備(空気を通す)しかありません
このことから、焼却施設の煙突から、放射性セシウムが大気中に放出されている可能性が、極めて高いと考えます。


2.排ガス中の放射性セシウムの測定法における問題点

排ガス中の放射性セシウムの測定は、環境省告示第百十一号に基づいた測定法(具体的な実施方法は放射能濃度等測定方法ガイドラインに示されています)で行われています。
この測定法では、ダストに付着した放射性セシウムは捕捉し、検出できますが、
気体やミストといったナノメーターレベルのサイズの、微粒子形態で存在する放射性セシウムは捕捉されず、検出できません(実験で確認済み)。


3.新しい測定法の提案

従来より、原子力発電所の焼却施設では、環境省告示、第百十一号に基づいた測定法とは全く異なる方式、
即ち、シンチレーション方式の検出器を用いた、排ガス中の放射性物質の監視が行われてきました。 
また、今年度(平成25年度)に、福島第一原子力発電所に建設される予定の焼却施設(雑固体廃棄物焼却設備)でも、シンチレーション方式の検出器が採用される計画になっています。

シンチレーションとは、放射性物質が発するガンマ線が、NaI、CsIなどの結晶に照射されると、これらの結晶が発光(フォトンを放出)する現象で、
シンチレーション方式の検出器は、この現象を利用して、排ガス中の放射性物質を検出します。
シンチレーション方式の検出器であれば、排ガス中の放射性セシウムが、気体やミストといった微粒子形態であっても、検出することが可能です。

しかしながら、原子力発電所の焼却施設に設置されているシンチレーション方式の検出器は、据付タイプであり、
自治体が管理・運営する焼却施設まで、持っていくことができません

そこで、市販のシンチレーション方式の空間線量計を用いて、持ち運び可能な、排ガス検査用放射性物質検出装置を製作しました。
この装置を使って、排ガス中の放射性セシウムの有無を調べる実験を、行うことを提案します。



[注記]

(1)上記の内容を、より詳しく説明したビデオを、ユーチューブにアップロードしました。

表題
「一般焼却施設における排ガス中の放射性物質測定方法の問題点および新しい測定法の提案」
「排ガス中の放射性セシウムの測定法」

で検索すれば出てきます。

YouTubeに掲載された動画です。
(まうみ注・この画面に転載できませんので、下記の青文字をクリックしてください)

『排ガス中の放射性セシウムの測定法』
http://www.youtube.com/watch?v=up-tKf9MlPw&feature=youtu.be



(2) 
下記は、私が製作した排ガス検査用放射性物質検出装置を使った実験を、東京都に提案したときの、東京都の回答です。
東京都でも、環境省告示第百十一号に基づいた測定法で、排ガス中の放射性セシウムを測定していることがわかります。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

樗木 博一様

平成25年10月17日
東京都下水道局総務部
広報サービス課長



お問い合わせに対するご回答について

日頃より下水道事業にご理解、ご協力いただきまして、誠にありがとうございます。

平成25年10月15日にいただきましたお問い合わせについて、下記のとおりお答えします。



排ガス中の放射性物質の測定は、環境省告示(H23年第百十一号)に基づき、実施することが定められています。
このため、東京都下水道局は、今後とも、これに基づき、測定を行っていきます。

今後とも、下水道事業にご理解とご協力のほど、よろしくお願い致します。

〒163-8001  東京都新宿区西新宿2-8-1
東京都下水道局総務部広報サービス課お客さまの声係
電話03-5320-6511

以上

(以上の都からの回答は、以下の、樗木氏からの「焼却施設から放射性セシウムが放出される事象に係る実験提案」(10月15日にメールで都に問い合わせ)に対してものでした。)


東京都知事 猪瀬 直樹 様

はじめまして、樗木博一と申します。
 
焼却施設から、放射性セシウムが放出される事象に係る、実際の焼却施設での実験をl下記の通り提案します。
ご検討の上、実験の可否を回答いただければ幸いです。

なお、本実験については、自費で行いますので、東京都で予算を取っていただく必要はありません。


1.焼却施設から、放射性セシウムが放出される事象について
 
放射性セシウムを含む廃棄物を、焼却している施設において、
排ガス中に、気体やミストといった微粒子形態で、放射性セシウムが存在し、煙突から大気中に放出されている可能性があります。 
しかしながら、特措法に基づいて、環境省が定めた測定法(環境省告示第百十一号、放射能濃度等測定方法ガイドライン)では、
気体やミストといった微粒子形態の放射性セシウムを、捕捉できないため
放射性セシウムが、排ガス中に含まれていても、不検出となってしまいます(実験で確認済み)


2.実際の焼却施設での実験の提案
 
焼却施設が、東京都・葛西水再生センター(江戸川区臨海町)において、
排ガス検査用放射性物質検出装置(下記)を用いて、排ガス中の放射性物質の有無を調べる実験を、行うことを提案します。

*排ガス検査用放射性物質検出装置
 
従来より、原子力発電所の焼却施設では、特措法に基づいて、環境省が定めた測定法とは全く異なる方式、
即ち、シンチレーション方式の検出器を用いて、排ガス中の放射性物質の監視が行われてきました。
 
また、今年度(平成25年度)に、福島第一原子力発電所に建設される予定の焼却施設でも、シンチレーション方式の検出器が採用される計画になっています。
(シンチレーションとは、放射性物質が発するガンマ線が、NaI、CsIなどの結晶に照射されると、これらの結晶が発光する現象で、シンチレーション方式の検出器は、この現象を利用して、排ガス中の放射性物質を検出する装置です。)
 
シンチレーション方式の検出器であれば、排ガス中の放射性セシウムが、気体やミストといった微粒子形態であっても、検出することが可能です。
しかしながら、原子力発電所の焼却施設に設置されているシンチレーション方式の検出器は、据付タイプであり、
自治体が管理、運営する焼却施設まで持っていくことができません。
そこで、市販のシンチレーション方式の空間線量計を用いて、持ち運び可能な排ガス検査用放射性物質検出装置を、製作しました。

*特措法に基づいて、環境省が定めた測定法では、気体やミストといった微粒子形態の放射性セシウムを捕捉できないことを確認した実験、
および、排ガス検査用放射性物質検出装置の基本構成、外観を、ビデオにしてユーチューブに投稿したので、
「排ガス中の放射性セシウムの測定法」で検索すれば、見ることができます。

*平成25年10月4日付けで、東京都・下水道局から発表された、各水再生センター・スラッジプラントにおける、汚泥焼却灰の放射能濃度データ、
および、平成25年10月7日付けで、東京二十三区清掃一部事務組合から発表された、各清掃センターにおける飛灰の放射能濃度データにおいて、
葛西水再生センター(江戸川区臨海町)の、汚泥焼却灰の放射能濃度が最も高く、高い放射能濃度の排ガスが、大気中に放出されていることが考えられることから、
葛西水再生センターを、実験を行う焼却施設として選定しました


(参考)
葛西水再生センター(江戸川区臨海町)汚泥焼却灰放射能濃度
放射性セシウム134: 1,100Bq/kg
放射性セシウム137:2,600Bq/kg


3.提案する実験を実施した結果、放射性物質が検出された場合
仮に2020年の東京オリンピックまでに解決することを目指すならば、7年間の対策を検討し、実施する時間があります。
排ガス中に、放射性物質が検出されなかった場合は、放射能に対する安心材料のひとつになります。


4.私について
 
私は、電機メーカに勤めていた技術者です。
J-GLOBAL科学技術総合リンクセンターのサイトで、「樗木博一」で検索すれば、在職中に、電気学会に投稿した論文や特許などがわかります。
 
平成10年に、日本電機工業会より、発達賞をいただきました。

以上

参考資料:「放射能濃度等測定方法ガイドライン」はここです。
http://www.env.go.jp/jishin/rmp/attach/haikibutsu-gl05_ver2.pdf#search='haikibutsugl05_ver2.pdf'

これは「環境省告示第百十一号」に基づいて具体的な測定方法を環境省が示したものです。(P.5-29、P.5-30参照)。

[樗木博一(ちしゃき・ひろかず)経歴]
九州大学工学部電気工学科卒業(1977年3月)
九州大学大学院エネルギー変換工学専攻修士課程修了(1979年3月)、工学修士
三菱電機株式会社入社(1979-04)三菱電機株式会社退職(2009年5月)
平成10年財団法人日本電機工業会功績者表彰において「500kV高電圧大容量サイリスタバルブの開発」にて発達賞を受賞

↑以上、転載おわり


そして下記↓の記事は、上記の記事に関連していると思えましたので、こちらも紹介させていただきます。

【注意】東京のセシウム降下量が僅か1ヶ月で2.8倍に激増!3月4.4MBq/km2⇒4月12.5MBq/km2!



原子力規制委員会が、毎月公開している全国のセシウム降下量によると、
2014年3月に東京で降ったセシウムの総量が、4.4MBq/km2なのに対して、
4月は、12.5MBq/km2に増加したとのことです。
増加幅は実に2.8倍で、僅か一ヶ月間の間に、ここまで線量が急激に上昇するのは、非常に珍しいと言えるでしょう。

原因についてはよく分かっていませんが、福島のセシウム降下量が増えていないことから、
都内の放射性物質が、風で巻き上がった影響がある、と考えられます。
また、焼却炉等から放出されている、放射性物質の影響もあるのかもしれません。
東京は、世界で最も人が密集している都市なので、出て来るゴミの量も桁違いに多いです。
そうなると、一つ一つの線量は低くても、総合してみると、膨大な量の線量となる恐れがあります。

現に、焼却炉のフィルターでは、放射能を完全に防ぐことは出来ません
もう少し具体的な調査が必要ですが、東京で外出するときには、ちょっと注意したほうが良いです。


☆原子力規制委員会 定時降下物のモニタリング 
URL http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/list/195/list-1.html
↓2014年3月


↓2014年4月



☆大気拡散予測
URL http://www.meteocentrale.ch/index.php?id=2379&L=10



↑以上、転載おわり


原子力というものに常にまとわりついている『無責任体質』と『安全神話』。
人任せ、運任せでずっとやってこられた連中は、骨の髄までこの体質と考え方が染み付いています。
そのために生じた障害、その障害を処置するための苦労、そして費用までもを、押し付けられ、苦しんでいるのはいったい誰ですか?
わたしたち市民なのではないですか?

これこそが『ザ・ゲンパツ』!
賛成と反対。
天才パカボンのパパの口癖のような、バカバカしい世界。
真っ二つに分かれた(分けられた)市民同士が、感情的に、あるいは理性的を装って、ひたすら歪み合うように仕向けられた、堂々巡りの地獄。
そうやって歪み合わせておけばおくほど、その歪み合いが大きければ大きいほど、本当に非難されるべきの電力会社や国は蚊帳の外に逃げられるのです。
なんと楽しいことでしょう。
なんと可笑しいことでしょう。
騙し除染も焼却も、それから積み上げられては破れてきた袋の山も、堂々と、引き続きオッケー!

本当に責められるべき者たちが、ここまで悠々と生きられる天国日本。
これは優しさですか?絆ですか?
これが日本の姿ですか?



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米国『JAPAN DAY @ Central Park 2014』事情 その2

2014年05月11日 | 米国○○事情
この日が終らないと、家中が落ち着かない。
それほどに、まなっちゃんは一所懸命でした。

「Japan Day、来てくれますか?」
「もっちろんっしょ!」
スタッフ用のプログラムを渡してくれながら、これとこれとこれは、どうしても観て欲しいと熱く語るまなっちゃん。
行かいでかぁ~!

というわけで、当初、雨かもしれないと心配していた空も、ほれこの通り、大快晴!


セントラルパーク名物、巨大岩石(というか岩盤)の上でくつろぐ人たち。


お昼からのプログラムに間に合いました。
COBU(鼓舞)の演技。


ものすごいエネルギーがビンビンと伝わってきます。


三味線だって弾く♪


鼓舞に教えてもらってるちっちゃな子たち。


おかあさん、おとうさんと一緒に。


さらにパワーアップ。


わたしも絶対いつかやる!


ソニンの歌声が澄み渡り……。






司会のSandra Endoさん。めっちゃパワフル!


コズプレアメリカンのみなさん。


歌舞伎のお化粧お試しコーナー。




気持ちが良過ぎるお天気ですが、花粉がその分すごかった……。


トイレの数もハンパではなく。


あまりに暑いので、木陰の丘から和太鼓(Taiko Masala)を見学。


また違う岩盤。


馬車を引く馬たちも暑そうです。


この列は?


浴衣の試着コーナーでした。


コスプレさんをまたまた発見。


そうこうしているうちに、第三部が始まりました。
ストリートダンスのNumbersの演技。


ジェロくん登場!


久々のド演歌を聞かせていただきました。


大盛況!


あ、まなっちゃん発見!


がんばってるなあ。


フォーチュンクッキーのダンスの練習に励むスタッフの方々。


ニューヨーク音頭の出番を待つ方々。


フォーチュンクッキーのダンス指導をする方々も、舞台袖で打ち合わせ中。


どんどん人の輪が広がって、真ん中では『ニューヨーク音頭』を踊る人たちがほんとに楽しそうに踊ってはります。


もちろん、歌はジェロくんが♪


プログラムの〆はフォーチュンクッキー♪
見守るまなっちゃん。


大盛況に終わり、喜ぶ出演者のみなさんと、充分に楽しんだ観客の方々。


え?


『母の日』のストロベリー・フィールド。






ここまで歩いて、ベンチでちょっと一休み……そこでハッと気づきました。
ショールが無い!
22才の、田舎に嫁ぐ直前に、父が着物と一緒に買ってくれた絹のショールですが、ずっと愛用していたのでした。
大事に大事にしてたのに。もう35年も使っていたけれども、とてもきれいなオレンジ色で、見た人は誰もかれも、すてきだねと褒めてくれていたのに……。
呆然としながら撮った目の前の池。


花。




この楽器はなんという名前なのかなあ。


晴れていると、なにを見ても撮りたくなってしまいます。


自転車こぎ屋さん。


ストロベリー・フィールドから出たすぐの所にある、ダコタハウスと旦那の両親のアパートメント。


その近くの、大好きなパン屋さん。


マンハッタンには、古いビルがいっぱい。




もみじがあんなとこに?


藤がこんなふうに?


セントラルパークの両側にも、緑が戻ってきました。


すうっと真っ直ぐ。


会場で、久しぶりに会った友人家族と一緒に、日本食レストランで夕食を食べ、一番空いてそうなジョージ・ワシントン・ブリッジでニュージャージーへ。





たった今、今朝の3時からずっと、立ちっ放しで仕事をしていたまなっちゃんが、家に戻ってきました。
今は23時半です。

今日のスタッフ、そして練習をいっぱいして舞台に臨んだダンサーの人たちは、プログラム最後のダンスをしている時から目がウルウルしていたそうです。
彼女も、疲れを全く感じなかった、本当に感動した、嬉しかったと、元気に話してくれました。

よかったね。よく頑張ったね。本当にお疲れさま。
コメント
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