わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

抹茶々碗 (井戸茶碗4)

2010-05-01 21:57:31 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
前回に続き、井戸茶碗の話をします。

 2) 井戸茶碗を造る。

  ⑥ 井戸茶碗の釉付いて

   ) 釉の色は、枇杷(びわ)色を最上としますが、その色にも、赤、黄色、青、白味掛かった

      物まで、幅が有ります。

      これは、釉で発色させた、と言うより、土の色(鉄分の含有量)に左右された面が、多いです。

      その為、作品に白化粧をし、鉄分と反応させて、枇杷色を出す方法も有ります。

    ・ 薄く掛かった灰釉(透明釉)が、土と相まって、色を出しているのです。

   ) 釉は、灰系(灰釉)の透明釉を使います。

      腰や胴の部分の全面に、枇杷色の肌に、貫入が入っている物が、多いです。

   ) 「梅花皮(かいらぎ)」は、削り作業を行った、高台周辺に出る様にします。

      高台脇に、釉を厚く掛ける事により、釉薬が、細かい玉の様な、模様に成ります。

   ) 釉は、作品全体に掛ける、総釉で土見(土の地肌を見せる)はありません。

   ) 釉掛けは、薄い釉を、高台を持ち、「ガバ漬け」で全体に施釉し、直ぐに、口を上にします。

      こうする事により、口周辺の釉が、自然に下に流れ落ち、釉に濃淡が出来て、井戸茶碗の、

      自然な景色と成ります。

      更に見込みに、再度施釉します これを、「突っ込み掛け」と言います。  

 ⑦ 焼成について

  ) 枇杷色を出すには、酸化焼成が良いと、言われています。

     還元焼成では、グレーや青黒くなり、青井戸茶碗の感じに成ります。

  ) 焼成温度は、土味(ザックリ感など)を出す為、1230~1240℃程度が良いと言われ、

     1250℃以上では、土味が出ないとの事です。

     梅花皮が強く出過ぎると、作品が割れる事が有ります。

  ) 李氏朝鮮(1392~1910年)で製作された、井戸茶碗は、当然、薪による焼成で、

     現在我が国でも、「登り窯」や「あな窯」で、焼成している方も多いです。

     (薪以外でも、井戸茶碗を焼く事は、可能です。)

     又、4~6個の、目跡が 付いています。 これは、重ね焼きした為に、付いた物で、

     この目跡も、鑑賞の対象になっています。(現代物には、目跡は、ほとんどありません)   

3) 参考資料: 井戸茶碗の名品と、言われる作品

  ① 大井戸茶碗(名物手)

   「喜左右衛門」、「筒井筒」、「「加賀」、「細川」、「有楽」、「越後」、「松永」、「福島」、「坂部」、

   「美濃」、「燕庵」、「金地院」、「立華」、「竜光院」、「九重」、「本阿弥」、「対馬」などの

   銘のある、名品があります。

  ② 小井戸(古井戸)

   大井戸に対して、小作りであるので、小井戸と呼ばれるが、美称として、古井戸と表記されます。

   「老僧」、「六地蔵」、「忘水」、「小塩」、「上林」、「小笠原」、「宇治」、「金沢」、「利休」、

   「須弥」など です。

  ③ 青井戸

   胴の色が青みを帯びていて、大井戸より、小振りで浅めです。胴に轆轤のうねりが、有ります。

   代表的な青井戸は、「柴田井戸」、「春日野」、「宝珠庵」など です。

  ④ 小貫入(古井戸の脇): 細かい貫入が一面に表れています。

    高台は大きめで、井戸と比べると単純で、竹の節ではありません。「雄蔵山」など。

  ⑤ 井戸脇(青井戸の脇): 作風、肌合い、釉調とも古井戸と、良く似ています。

    高台は、単純な削りになっています。「長崎」などです。

以上で、井戸茶碗の話を、終わります。 次回は、和物の茶碗に付いて、述べる予定です。

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