わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

抹茶々碗 (黒織部2)

2010-05-09 22:00:42 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
前回に続き、織部の茶碗に付いて、お話します。

 3) 沓形茶碗を造る

   一般に、電動轆轤を使いますが、回し棒で、盤面の孔に差込み、回転させる、手回し轆轤に、

   こだわる人も、多いです。

   利点は、回転に「むら」が有り、歪みがや、轆轤目が付け易い事や、回転がゆっくり出来る事です。

   (電動轆轤が無い時代には、我が国で、一般的に使われていた、轆轤です。)

  造る要点のみを述べます。

  ① 轆轤の回転は、「ゆっくり」させる。見込みに、渦巻き状の茶溜りを、付けたり、轆轤目を

    付ける際には、回転を遅くした方が、良い結果が出ます。

  ② 胴をやや薄く挽き、口は厚めに残します。口縁にカンナの先で、しっかりした、筋を一周

    入れます。筋を入れる理由は、判りませんが、一つの約束事に、なっています。

    筋の下部に、粗い轆轤目を、着ける場合も有ります。

  ③ 口縁の下を、少し狭め、口をやや広げます。そうすると、力強い形に成ります。

  ④ 底を糸(シッピキ)で切り離し、胴や腰を手で押して、思い切って、変形させます。

    (例、底は三角、口は四角形など)、この時、器の正面と、飲み口が決まります。

  ⑤ 木べラで、高台際、高台脇、高台内を削ります。更に、持ち易い様に、手に当る部分を、

    削り込み(又は、そぎ落す)ます。

  ⑥ 手やコテで、器を叩き、更に変形を加えます。高台脇や胴の部分を、横方から軽く叩いたり、

    押したりして、形を見ながら、凹ませたり、変形させたりします。

  ⑦ 最後に口縁を削り、呑み易い形に仕上げます。

    口に山道(凹凸)を付け、飲み口部分を、丁寧に仕上げます。

    但し、力強い感じが大事ですので、ダイナミックな形にする、必要が有ります。

 4) 釉を掛ける

   ① 絵を付ける。 鬼板で描いた部分に、長石の入った、透明釉を掛けます。

   ② 絵を描いた所を除いて、鉄釉を掛けます。

     まず、内側の見込みに、流し込んで掛けます。次に、絵の部分と、高台及び高台脇以外に、

     柄杓で施釉します。

   ・ 鉄釉を施釉した所と、しない所の境は、釉が流れたままや、一部が高台内まで、掛かり、

     一見雑な感じがします。しかしこれが、黒織部の豪快さを表し、見所とも成っています。

   ③ 鉄釉薬は、長石と土灰、それに鬼板を、混ぜ合わせて造ります。

     (瀬戸黒も、鉄釉を使いますが、瀬戸黒は、長石分が、入っていないそうです。)

   ④ 他の方法に、器全体を「どぶ漬け」し、乾燥後、剣先などで、釉を搔き落として、模様を

     描きます。その模様の上に、透明釉を、筆や柄杓で掛けます。

 5) 茶碗の大きさ

    黒織部: 口径:12~14 高さ:8.2~9.5 高台径:5.5~6.8cm程度です。

        形は、筒茶碗又は、半筒茶碗が多いです。

    沓茶碗: 口径:14~14.5(長径)、11~11.5(短径) 高さ:8.5~9.0cm

    (6cm程度の低い物も有ります) 高台径:6cm程度です。

以上で、織部の茶碗の話を終わります。

次回は、「京焼きの茶碗」に付いて、述べる予定です。
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