わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

抹茶々碗 (和物、志野2)

2010-05-04 22:15:43 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
「志野焼き」に付いての話を続けます。

志野も元禄時代頃までは、織部焼きの中に、含まれていましたが、元禄以後、織部焼きとは、区別される

様に成ります。

志野は、もっぱら、茶道具や、懐石道具として、製作されています。

1) 志野の再興

  志野の黄金時代は、桃山時代の1580年以降に、焼かれた物です。製作期間は短く、近代では、

  その技法も、途絶えていました。

  志野を再興したのは、荒川豊蔵氏(1894~1985年)で、1930年大萱古窯跡で、志野の焼いた跡を

  発見し、その場所に、窯を築いて、志野再興に向け研究し、ついに、志野の再興に成功します。

 その後、加藤唐九郎氏(1898~1985年)などが、志野茶碗を製作しています。

2) 志野茶碗を造る

   ① 土の調整

     前回お話した様に、艾(もぐさ)土は、量が少なく、一般の方は、入手困難との事です。

     勿論、もぐさ土と、称する土が、陶芸材料店で、販売されてはいますが、本来の土ではなく、

     多分、調合(ブレンド)品だと、思われます。

     それ故、もぐさ土と、称される土を、使うか、ご自分で、土を調合する必要が有ります。

     市販されている、数種類の志野土(五斗蒔き、志野荒目、細めなど)混ぜ合わせます。

    尚、もぐさ土の性質は、焼き上がりの肌が、白い事、粘りが無い事、水分を吸収し易い事、

    「サックリ」と割れや、切れが出易い事等、マイナスのイメージが強い土です。

     それ故、粒子の細かい土を、多く入れ、やや軟らかくして、使います。

   ② 茶碗の大きさ、重さ

     口径: 11.5~14.5  高さ: 8.0~10.0  高台径: 6.0~7.0cm

    ・ 一般には、口径:13.5~14.5  高さ:9~10cm程度が、多いです。

    ・ 重さ: 530~550g 程度です。

        手に取った時の、重さが、茶碗の良し悪しの、材料に成ります。

        又、豪快な感じを、削りで出すには、ある程度の、肉厚が必要です。

   ③ 作品は、轆轤挽きで、造るのが普通です。

     筒状に挽き上げてから、箆目(へらめ)や、口造りと高台削りで、特徴を出します。

    ) 箆目を入れる: 志野茶碗は、繊細と言うより、豪快な感じの茶碗です。

       それ故、筒状の腰や、口の真下などに、回転させながら、箆目を入れます。

    ) 口造り: 志野茶碗は、口が真円にはなっていません。三角や四角(台形)などに、

       (土が軟らかい内に、)手で変形させます。

       山道を作る: 口の高低を山道と言い、針を用いて、部分的に切り取り、正面が、

       低く成る様にします。切り口を指で、押さえながら、口をやや反らし(端反り)た後、

       なめし皮で、滑らかに仕上げます。最後に糸で、底を切り離し、乾燥させます。

以下次回に続きます。

       




 
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