わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

焼き物の原料(坏土2)

2011-04-15 21:29:57 | 焼き物の材料(原料とトラブル)
坏土(はいど)の話を、続けます。

焼き物の原料に成る、粘土類は、山の岩石や、川や池、沼など川筋の崖や、川底等の他、田んぼの

地下などに存在しています。長い年月(数十万年)を掛けて、出来上がった物です。

3) 原料の処理

  上記場所で、採取された原料は粉砕し、この粉末を混合調整して、坏土を作ります。

  原料は、まず第一に粉砕します。その方法に付いて述べます。

 ① 風化(自然に放置)

   採掘した原料を、大気中に放置し、太陽や雨水で、更に、冬場には、氷らせる事により、

   自然の力で、粉砕する方法です。一番原始的な方法とも言え、昔、有田の泉山原石の精製は、

   この方法が採られたと、伝えられています。

   即ち、自然界に放置する事により、原料が膨張と収縮を繰り返し、更に雨水が浸み込み、

   自然に崩壊し、硫化鉄は酸化され、成分が変化します。更に、雨水により、可溶性の塩基類も

   流れ去ります。

 ② 仮焼

   岩石などを粉砕する際、予め高い温度で暖めて置くと、粉砕し易い原理を、応用した物です。

   即ち、石英や珪石を、900℃程度で、熱処理して置くと、粉砕し易くなります。

   又、長石では1000℃位で、仮焼します。

  ・ 仮焼の利点は、粉砕し易くするだけでなく、長石を釉に使うと、光沢の有る、良い釉に

    成ります。

 ③ 機械による粉砕

   工業用などに、大量の原料を粉砕するには、機械の力を借ります。

   大きな塊を粉砕するには、数種類の粉砕機を使い、順次細かくしていきます。

  ) ジョー・クラッシャーによる粉砕

     大きな塊を、1cm角程度の大きさのに、粗粉砕物にします。

  ) パン・ミル、ロール粉砕機

     粗粉砕物を、更に中程度に粉砕します。

    a) パン・ミルは、一枚の花崗岩の円盤上に、2個のロラーが、水平方向に回転しながら、

     石を押し潰す、構造になっています。

     (エッジ・ランナー又は、フレンド・ミルとも言います。)

    b) ロール粉砕機は、2~数個のローラーが、向かい合って回転し、この間に原料(岩石、粘土)

      を入れて、粉砕する物です。ローラー間隔は、調整できます。

  ) ボール・ミル(トロンミル、ドラム・ミル)

     中粉砕した原料を、更に微粉砕するのに、使います。

     横に倒した、円筒形の容器に、ボール(球)と原料を入れます。(場合によっては、水も

     入れる事があります。)この円筒形を回転させ、中のボールが回転して、原料を磨り潰します。

     ボールの材質は、磁器球、アルミナ球、などがあります。

    回転速度、回転時間、球の数、それに、入れる原料の量や水の量によって、粒子の細かさが

    変化します。

   ・ ボール・ミルは、固まった釉を、細かくする際にも、使用します。

以下次回に続きます。

   
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