坏土(はいど)の話を、続けます。
5) 坏土の調整
② 配合調整
) 「ゆがみ」の予防
作品の「ゆがみ」は、製作過程や乾燥過程、更には、焼成過程でも、発生する現象です。
ここでは、土が原因の場合の対処法に、限ってお話しますが、一応他の事項についても
お話します。(以前お話しした事柄です。)
・ 製作過程: ロクロ作業での「振れ」。成形時や削り作業での、肉厚の不均一。
土の締めが弱い。
・ 乾燥過程: 乾燥が早過ぎる。作品の一部のみが、先に乾燥する。
・ 焼成過程: 温度上昇が急。 一部分のみに、火が当たる。温度が高過ぎる。
a) 成形した作品が、「ねじれ」や「ゆがみ」などの、歪(ひずみ)が発生する、主な原因は、
やり方(作業方法)が悪い為ではなく、素地の組成が悪い時に、起こり易いです。
イ) 第一の原因は、乾燥時の収縮率が大きい事、及び可塑性の大きい土を、使った為です。
・ 乾燥とは、粘土の粒子同士が、引っ張り合いながら、接近して行く現象です。
それ故、弱い所は、引っ張られて、「ゆがみ」を生じます。
・ 収縮率と収縮量: 率は一定でも、作品の大きさによって、量は変化します。
例えば、収縮率が10%とすれば、10cmの作品で、縮は1cmですが、30cmの
作品ならば、3cmと成ります。(市販されている土は、12~13%が多いです)
更に、作品は立体ですので、縦、横、高さで3乗に比例して、小さくなります。
・ 粒子が細かい程、可塑性が大きく、土の締りが弱くなります。
例えば、信楽の「特漉し」は、「並漉し」よりも、粒子が細かく、大きく縮みます。
・ 赤土は、酸化鉄を含み、白い土より、収縮率が大きいです。
それ故、粒子の粗い土と併用すると、良いでしょう。
・ 対処法は、珪砂、長石、シャモット、素地の焼き粉(セルベン)などの、非可塑性
原料(除粘剤)を、加える事です。
ロ) 上記除粘剤の、何を使うかは、品物の種類や欠点の大きさで、決めます。
・ 一番簡単な方法は、珪砂や可塑性の少ない土を、混入させる事です。
・ 調理用素地には、珪砂とシャモットを同時に入れます。
シャモットは、比較的低温で、素地土と結合し、熱や力の衝撃に対し、強くします。
・ 粘着力の強過ぎる土には、同一組成の焼成粉砕物を入れます。
ハ) 上手に調整出来れば、乾燥時に「ゆがみ」や「そり返る」事もなく、焼成後も硬さや
強さを保つ事が出来ます。
b) 乾燥時の「切れ」
イ) 原因は上記事項と同じ、乾燥収縮が大き過ぎる時です。
・ 又、可塑性が強過ぎても、弱過ぎても、発生します。素地中の水分が、不均一に
存在する場合にも起こります。即ち乾燥が均一に成らない為に、水分の多い所は弱く
この所から「切れ」が発生します。
・ 素地の粘性が低い場合には、成形時その場所に、強い力が掛かり易く、乾燥時に
力のバランスが崩れ、「切れ」が発生し易いです。
・ 「ねかし」が短い時も、「切れ」が出易いです。
「ねかし」をする事は、粘土粒子間の結合力が増し、成形性も良くしてくれます。
以下次回に続きます。
5) 坏土の調整
② 配合調整
) 「ゆがみ」の予防
作品の「ゆがみ」は、製作過程や乾燥過程、更には、焼成過程でも、発生する現象です。
ここでは、土が原因の場合の対処法に、限ってお話しますが、一応他の事項についても
お話します。(以前お話しした事柄です。)
・ 製作過程: ロクロ作業での「振れ」。成形時や削り作業での、肉厚の不均一。
土の締めが弱い。
・ 乾燥過程: 乾燥が早過ぎる。作品の一部のみが、先に乾燥する。
・ 焼成過程: 温度上昇が急。 一部分のみに、火が当たる。温度が高過ぎる。
a) 成形した作品が、「ねじれ」や「ゆがみ」などの、歪(ひずみ)が発生する、主な原因は、
やり方(作業方法)が悪い為ではなく、素地の組成が悪い時に、起こり易いです。
イ) 第一の原因は、乾燥時の収縮率が大きい事、及び可塑性の大きい土を、使った為です。
・ 乾燥とは、粘土の粒子同士が、引っ張り合いながら、接近して行く現象です。
それ故、弱い所は、引っ張られて、「ゆがみ」を生じます。
・ 収縮率と収縮量: 率は一定でも、作品の大きさによって、量は変化します。
例えば、収縮率が10%とすれば、10cmの作品で、縮は1cmですが、30cmの
作品ならば、3cmと成ります。(市販されている土は、12~13%が多いです)
更に、作品は立体ですので、縦、横、高さで3乗に比例して、小さくなります。
・ 粒子が細かい程、可塑性が大きく、土の締りが弱くなります。
例えば、信楽の「特漉し」は、「並漉し」よりも、粒子が細かく、大きく縮みます。
・ 赤土は、酸化鉄を含み、白い土より、収縮率が大きいです。
それ故、粒子の粗い土と併用すると、良いでしょう。
・ 対処法は、珪砂、長石、シャモット、素地の焼き粉(セルベン)などの、非可塑性
原料(除粘剤)を、加える事です。
ロ) 上記除粘剤の、何を使うかは、品物の種類や欠点の大きさで、決めます。
・ 一番簡単な方法は、珪砂や可塑性の少ない土を、混入させる事です。
・ 調理用素地には、珪砂とシャモットを同時に入れます。
シャモットは、比較的低温で、素地土と結合し、熱や力の衝撃に対し、強くします。
・ 粘着力の強過ぎる土には、同一組成の焼成粉砕物を入れます。
ハ) 上手に調整出来れば、乾燥時に「ゆがみ」や「そり返る」事もなく、焼成後も硬さや
強さを保つ事が出来ます。
b) 乾燥時の「切れ」
イ) 原因は上記事項と同じ、乾燥収縮が大き過ぎる時です。
・ 又、可塑性が強過ぎても、弱過ぎても、発生します。素地中の水分が、不均一に
存在する場合にも起こります。即ち乾燥が均一に成らない為に、水分の多い所は弱く
この所から「切れ」が発生します。
・ 素地の粘性が低い場合には、成形時その場所に、強い力が掛かり易く、乾燥時に
力のバランスが崩れ、「切れ」が発生し易いです。
・ 「ねかし」が短い時も、「切れ」が出易いです。
「ねかし」をする事は、粘土粒子間の結合力が増し、成形性も良くしてくれます。
以下次回に続きます。