わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

焼き物の原料(坏土6)

2011-04-21 22:41:25 | 焼き物の材料(原料とトラブル)
坏土(はいど)の話を、続けます。

 5) 坏土の調整

 ② 配合調整

   ) 「ゆがみ」の予防

     作品の「ゆがみ」は、製作過程や乾燥過程、更には、焼成過程でも、発生する現象です。

     ここでは、土が原因の場合の対処法に、限ってお話しますが、一応他の事項についても

     お話します。(以前お話しした事柄です。)

     ・ 製作過程: ロクロ作業での「振れ」。成形時や削り作業での、肉厚の不均一。

       土の締めが弱い。

     ・ 乾燥過程: 乾燥が早過ぎる。作品の一部のみが、先に乾燥する。

     ・ 焼成過程: 温度上昇が急。 一部分のみに、火が当たる。温度が高過ぎる。

    a) 成形した作品が、「ねじれ」や「ゆがみ」などの、歪(ひずみ)が発生する、主な原因は、

      やり方(作業方法)が悪い為ではなく、素地の組成が悪い時に、起こり易いです。

     イ) 第一の原因は、乾燥時の収縮率が大きい事、及び可塑性の大きい土を、使った為です。
 
      ・ 乾燥とは、粘土の粒子同士が、引っ張り合いながら、接近して行く現象です。

        それ故、弱い所は、引っ張られて、「ゆがみ」を生じます。

      ・ 収縮率と収縮量: 率は一定でも、作品の大きさによって、量は変化します。

        例えば、収縮率が10%とすれば、10cmの作品で、縮は1cmですが、30cmの

        作品ならば、3cmと成ります。(市販されている土は、12~13%が多いです)

        更に、作品は立体ですので、縦、横、高さで3乗に比例して、小さくなります。

      ・ 粒子が細かい程、可塑性が大きく、土の締りが弱くなります。

        例えば、信楽の「特漉し」は、「並漉し」よりも、粒子が細かく、大きく縮みます。

      ・ 赤土は、酸化鉄を含み、白い土より、収縮率が大きいです。

        それ故、粒子の粗い土と併用すると、良いでしょう。

      ・ 対処法は、珪砂、長石、シャモット、素地の焼き粉(セルベン)などの、非可塑性

        原料(除粘剤)を、加える事です。

     ロ) 上記除粘剤の、何を使うかは、品物の種類や欠点の大きさで、決めます。

      ・ 一番簡単な方法は、珪砂や可塑性の少ない土を、混入させる事です。

      ・ 調理用素地には、珪砂とシャモットを同時に入れます。

        シャモットは、比較的低温で、素地土と結合し、熱や力の衝撃に対し、強くします。

      ・ 粘着力の強過ぎる土には、同一組成の焼成粉砕物を入れます。

     ハ) 上手に調整出来れば、乾燥時に「ゆがみ」や「そり返る」事もなく、焼成後も硬さや
   
       強さを保つ事が出来ます。

    b) 乾燥時の「切れ」

     イ) 原因は上記事項と同じ、乾燥収縮が大き過ぎる時です。

      ・ 又、可塑性が強過ぎても、弱過ぎても、発生します。素地中の水分が、不均一に

        存在する場合にも起こります。即ち乾燥が均一に成らない為に、水分の多い所は弱く

        この所から「切れ」が発生します。

      ・ 素地の粘性が低い場合には、成形時その場所に、強い力が掛かり易く、乾燥時に

        力のバランスが崩れ、「切れ」が発生し易いです。

      ・ 「ねかし」が短い時も、「切れ」が出易いです。

        「ねかし」をする事は、粘土粒子間の結合力が増し、成形性も良くしてくれます。

以下次回に続きます。
            
        
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする