わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

釉の原料1(始めに)

2011-04-24 22:19:31 | 焼き物の材料(原料とトラブル)
釉の成分は、基本的には、素地土と同種の成分から出来ています。

素地との違いは、熔ける温度に差がある事です。その差は、少なくとも、100℃以上が必要で、

当然、釉の方が低く成ります。

1) 釉と成る為の基本的要件

  釉として、使用出来る為には、幾つかの要件が必要です。

  ① 原料は、ガラスと成る成分が基本になりなす。

    釉は一種のガラス質ですので、ガラスに成り易い成分、即ち、珪酸(シリカ、SiO2)、硼酸

    (B2O3)、酸化鉛(PbO)、リン酸(P2O3)等が原料に成ります。

  ② 所定の温度で、良く熔ける事。

    ガラス質成分を、溶け易くする物質を、熔剤と言い、主にアルカリ成分が入ります。

    陶芸では、楽焼釉の800~900℃程度から、磁器釉の焼成で1300℃以上で、良く

    熔ける釉が必要です。熔融温度は、釉の原料の値(分量)によって、変化します。

  ③ ガラス質を安定に保つ事。

    冷えて固まったガラスを、安定な状態に、保つ必要が有ります。

    安定とは、素地の表面に皮膜として密着し、剥がれ無い事と、硬度を持ち、機械的強度が

    ある事や、気体や液体を透過せず、強い酸やアルカリなどに対しても、耐久性がある事です。

   ・ 石灰成分(CaO)、アルミナ成分(Al2O3)、マグネシア(MgO)、リン酸などを、加える必要が

     あります。

  ④ 釉に色を付ける成分。

    釉には、色々な色が付いています。着色剤として、主に酸化金属(酸化鉄、酸化銅、酸化錫、

    酸化コバルト、酸化チタン等です。)を調合する事で、発色させています。

  以上の様に、原料を上手く調合(配合)して、釉を作る事に成ります。

 ・ これら原料を、細かく粉砕し、水に入れ良く攪拌してから、使う事に成ります。

2) ガラス化反応(熔ける状態)

   釉の原料が熔けるのには、単に温度だけでなく、焼成時間の長さも、大きく関係します。

   昇温と共に、原料は、化学的反応を受けて、質的変化(鉱物の組成変化)が起こります。

  ① 熔け易い原料より、順次熔解します。

    釉はある一定の温度で、いっせいに、熔ける(ガラス化する)訳ではありません。

    反応し易い物質から、順次ガラス化し、熔け難い物質を、熔かし込んで行き、やがて

    全体を、均一のガラス質に、変化させます。

  ② 素地に融着する理由

    熔けたガラスは、素地の隙間(気孔)に流れ込み、楔(くさび)の様に食い込みます。

    それ故、気孔が少ない場合や、施釉する前の素焼を、綺麗に磨き過ぎるのは、「釉はげ」の

    原因に成ります。 尚、釉と素地との化学的結合部分を、中間層と呼びます。

以下次回に続きます。
 
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