わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

焼き物の原料(坏土3)

2011-04-16 21:26:12 | 焼き物の材料(原料とトラブル)
坏土(はいど)の話を、続けます。

4) 水簸(すいひ)

   粉末にした原土を、水(水簸槽)に浸し、原土中の鉄分や、石英、長石などの不純物を除去し、

   成形し易い粘土にします。この作業を「水簸する」と言います。

   勿論、水簸をせずに原土に、水を注いで練り上げて、使用する場合もあります。

  ① これは、粘土粒子が水の中で浮遊し、中々沈殿しない性質を、利用した精製方法です。

    精製を良くする為には、多量の水(原土の10倍以上)が、必要です。

    尚、水だけでは、十分でない場合は、「水ガラス」「炭酸ソーダ」を少量添加します。

  ② 細かく砕いた原土と水を、大きな容器に入れ、強く攪拌(かくはん)し、原土と水を完全に、

    混合させます。次いで、「アルカリ」を数滴垂らし再度、撹拌し放置しますと、粘土は水中に

    浮かび、粗い粒子や、長石、石英などの物質が沈みます。

  ③ 水中に浮かんだ、粘土粒子のみを、他の容器に移します。この容器に、酸(にがり=塩化

    マグネシウムや、硫酸などが、一般的です)を入れると、粘土粒子は、沈み込みます。

   (但し、酸を多く入れ過ぎると、可塑性に影響しますので、なるべく少量にします。)

  ④ 上水を捨て、沈んだ粘土を取り出し、水分を抜きます。

    素焼の鉢や石膏鉢に入れ、自然乾燥させます。

  ⑤ 原土が多い場合。上記方法は、量が比較的少ない場合の、方法です。

   a) 量が多い場合には、原土と水を攪拌した溶液を、長い樋(とい)に流し、粗い粒子を樋の

     途中で沈め、細かな粒子のみを流し、貯水槽(沈殿槽)に集め、これに凝膠剤を加えて、

     粘土質だけを、沈殿させます。

   b) 上水を取り除き、「フィルター・プレス」で絞り、水分を抜きます。

  ⑥ 水簸は、単に比重の差だけで、粘土質と他の物質を、分離すと言う事ではありません。

    粘土質も、石英、長石など他の物質も、比重は約2.65と、ほぼ同じです。

    違いは、粒子の細かさのみです。それ故、粘土質の粒子が石英や長石と、同じ大きさであれば、

    水簸による、分離は出来ない事に成ります。

   ・ 逆に、粘土粒子と同程度の微細な、石英や長石は取り除く事が出来ず、混入して仕舞う

     事に成ります。

 5) 坏土の調整 

以下次回に続きます。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする