わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

焼き物の原料(坏土5)

2011-04-20 22:17:43 | 焼き物の材料(原料とトラブル)
坏土(はいど)の話を、続けます。

 5) 坏土の調整

 ② 配合調整

    成形がし易い土や、「ゆがみ」「割れ」「ひび」などの発生を、予防する土の調合を、

    どの様にしたら良いかを、述べます。

    以前述べた、失敗と対策のカテゴリーと、一部重複しますが、ご了承下さい。

    但し、本題に入る前に、一言説明を加えます。

   ) 失敗作とは

     工業的な量産する作品と、陶芸に於ける失敗の、概念に大きな差がある様です。

     即ち、「ゆがみ」「割れ」「ひび」などは、量産品では、失敗作品ですから、世に出る事は、

     決してありません。又、失敗作に成らない様に、きっちり調合し坏土を作る必要があります。

    a) 陶芸家等の作る焼き物では、上記欠点は、必ずしも欠点ではなく、場合によっては、

      珍重される事も、珍しくありません。例をいくつか挙げたいと思います。

    b) 「ゆがみ」について

       特に茶陶(茶道で使われる焼き物類)では、この「ゆがみ」が重要な役割を持ちます。

       勿論、故意(人為的)な「ゆがみ」ではなく、自然と「ゆがみ」が発生した場合です。

    c) 「割れ」や「ひび」について

     イ) 有名な割れた水指として、伊賀水指 銘:破袋(やぶれぶくろ)重文 があります。

       窯の中で破裂した際に、大きく割れたと思われる、割れ筋が何本も付いています。

       勿論、割れた為だけでなく、その形と、何よりもビードロ釉の美しさで、後世まで

       伝来している水指です。

     ロ) 現代作家の作品でも、「ひび」や「割れ」の入った作品が、堂々と売られています。

       これらは、使用中に「割れ」や「ひび」が入った物ではなく、窯出しの際からこの状態

       のままです。(勿論、金継ぎ等の補修は、しておりません。)

     ハ) 作品の表面に、わざと「割れ」や「ひび」を入れる技法もあります。

       例えば、袋物の作品を轆轤で作り、ある程度乾燥後に、内側から「柄こて」を使い、

       無理に径を広げると、乾燥した表面に、「亀裂」や「ひび」が入り、表面に一種の

       模様と成ります。荒々しさを、表現できる技法とも言えます。

       同様に、板皿の場合ですと、厚く作った作品の、縁から内側に、割れを故意に入れる

       場合があります。(勿論、作品全体を見渡し、効果的に計算して、入れています。)

   c) 以上の様に、土に起こる欠点を、むしろ有利に、利用する場合も有りますので、一概に

     欠点として、その性質を、否定する必要はありませんが、一般的には、欠点として認識し

     坏土を調整する必要があります。

  前置きが長くなりましたが、本題に入りたいと思いま。

以下次回に続きます。
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焼き物の原料(坏土4)

2011-04-19 17:17:38 | 焼き物の材料(原料とトラブル)
坏土(はいど)の話を、続けます。

 5) 坏土の調整

   採掘した原料を、細かく砕き、必要に応じて精製を行った後は、これらを混合します。

   成形し易い土にする為や、乾燥、焼成などに於いて、必要な性質を満たす為に、各種の原料を

   混合調整する必要があります。(単一の土で、全てを賄える物は、近年少なくなっています。)

  ① 原料を混ぜ合わせる方法は、以下の三方法が考えられます。
 
   ) 粘土が可塑性を持ったまま、混練する方法です。

      この方が、一番簡単な方法です。混練する全ての原料が、そのまま使える程度の

      軟らかさで、練り合わせます。その際に水を加えたり、脱水(乾燥)させる必要が

      無いからです。少ない量では、手練で調合が可能ですが、やや量が多い時には、土練機を

      使います。(真空土練機は、土中の空気も抜いてくれます。但し高価な機械です。)

   ) 粘土を乾燥状態の粉にして、混ぜ合わせ後に、水を加えます。(乾式方法)

      上記の方法に比べ、粘土をより均密に、混合する事が可能です。

      )では、練り土に成っている為、ねばねばして、張り付き易く、一つ一つの粒子が、

      他の土と粘着する事が、出来ない為です。

    ・ 但し、この方法では、出来るだけ、粒子を細かくする必要があり、又、混合後、余分な

      水を取り除く為、十分乾燥させる必要があります。しかも、急激な乾燥を避け、湿度の

      高い場所で行わないと、十分な成形性が、得られないとの指摘もあります。

   ) 泥漿による方法(湿式方法)

      泥漿(でいしょう)とは、水を大量に入れ、粘土が「どろどろ」に成っ状態です。

      微粉砕した、粘土を泥漿の状態で、攪拌させながら、混ぜる方法が、最も良い混合方法と、

      言われています。攪拌が十分でないと、比重の大きい(重い)粒子が、沈殿して仕舞い、

      十分に、混ざり会えない場合があります。

      磁器土の様に、素地の組織が、緻密で完全に混合する場合に、良く行う方法です。

    いずれの方法を取るにしても、大切な事は、水分を充分に、粘土に吸収させる為(水幕を作る

    為)に、「ねかし」を行う事が、成形し易くし、割れや傷を防止するには、必要です。

   更に、実際に使用する際には、菊練や土練機で、良く練ってから使う事です。

  ② 配合調整

    以前お話した(坏土1)の記事で、

    1) 磁器や精陶器(白色陶器)等では、化学的処理された土を、目的に合った土にする為、

      計算調整して、配合を決めますが、その他の焼き物では、試行錯誤的に、配合調整を

      行います。と記述しましたが、なるべく試行錯誤ではなく、ある問題に対して、どの様に

     対応したら良いかを、述べたいと思います。

以下次回に続きます。
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焼き物の原料(坏土3)

2011-04-16 21:26:12 | 焼き物の材料(原料とトラブル)
坏土(はいど)の話を、続けます。

4) 水簸(すいひ)

   粉末にした原土を、水(水簸槽)に浸し、原土中の鉄分や、石英、長石などの不純物を除去し、

   成形し易い粘土にします。この作業を「水簸する」と言います。

   勿論、水簸をせずに原土に、水を注いで練り上げて、使用する場合もあります。

  ① これは、粘土粒子が水の中で浮遊し、中々沈殿しない性質を、利用した精製方法です。

    精製を良くする為には、多量の水(原土の10倍以上)が、必要です。

    尚、水だけでは、十分でない場合は、「水ガラス」「炭酸ソーダ」を少量添加します。

  ② 細かく砕いた原土と水を、大きな容器に入れ、強く攪拌(かくはん)し、原土と水を完全に、

    混合させます。次いで、「アルカリ」を数滴垂らし再度、撹拌し放置しますと、粘土は水中に

    浮かび、粗い粒子や、長石、石英などの物質が沈みます。

  ③ 水中に浮かんだ、粘土粒子のみを、他の容器に移します。この容器に、酸(にがり=塩化

    マグネシウムや、硫酸などが、一般的です)を入れると、粘土粒子は、沈み込みます。

   (但し、酸を多く入れ過ぎると、可塑性に影響しますので、なるべく少量にします。)

  ④ 上水を捨て、沈んだ粘土を取り出し、水分を抜きます。

    素焼の鉢や石膏鉢に入れ、自然乾燥させます。

  ⑤ 原土が多い場合。上記方法は、量が比較的少ない場合の、方法です。

   a) 量が多い場合には、原土と水を攪拌した溶液を、長い樋(とい)に流し、粗い粒子を樋の

     途中で沈め、細かな粒子のみを流し、貯水槽(沈殿槽)に集め、これに凝膠剤を加えて、

     粘土質だけを、沈殿させます。

   b) 上水を取り除き、「フィルター・プレス」で絞り、水分を抜きます。

  ⑥ 水簸は、単に比重の差だけで、粘土質と他の物質を、分離すと言う事ではありません。

    粘土質も、石英、長石など他の物質も、比重は約2.65と、ほぼ同じです。

    違いは、粒子の細かさのみです。それ故、粘土質の粒子が石英や長石と、同じ大きさであれば、

    水簸による、分離は出来ない事に成ります。

   ・ 逆に、粘土粒子と同程度の微細な、石英や長石は取り除く事が出来ず、混入して仕舞う

     事に成ります。

 5) 坏土の調整 

以下次回に続きます。
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焼き物の原料(坏土2)

2011-04-15 21:29:57 | 焼き物の材料(原料とトラブル)
坏土(はいど)の話を、続けます。

焼き物の原料に成る、粘土類は、山の岩石や、川や池、沼など川筋の崖や、川底等の他、田んぼの

地下などに存在しています。長い年月(数十万年)を掛けて、出来上がった物です。

3) 原料の処理

  上記場所で、採取された原料は粉砕し、この粉末を混合調整して、坏土を作ります。

  原料は、まず第一に粉砕します。その方法に付いて述べます。

 ① 風化(自然に放置)

   採掘した原料を、大気中に放置し、太陽や雨水で、更に、冬場には、氷らせる事により、

   自然の力で、粉砕する方法です。一番原始的な方法とも言え、昔、有田の泉山原石の精製は、

   この方法が採られたと、伝えられています。

   即ち、自然界に放置する事により、原料が膨張と収縮を繰り返し、更に雨水が浸み込み、

   自然に崩壊し、硫化鉄は酸化され、成分が変化します。更に、雨水により、可溶性の塩基類も

   流れ去ります。

 ② 仮焼

   岩石などを粉砕する際、予め高い温度で暖めて置くと、粉砕し易い原理を、応用した物です。

   即ち、石英や珪石を、900℃程度で、熱処理して置くと、粉砕し易くなります。

   又、長石では1000℃位で、仮焼します。

  ・ 仮焼の利点は、粉砕し易くするだけでなく、長石を釉に使うと、光沢の有る、良い釉に

    成ります。

 ③ 機械による粉砕

   工業用などに、大量の原料を粉砕するには、機械の力を借ります。

   大きな塊を粉砕するには、数種類の粉砕機を使い、順次細かくしていきます。

  ) ジョー・クラッシャーによる粉砕

     大きな塊を、1cm角程度の大きさのに、粗粉砕物にします。

  ) パン・ミル、ロール粉砕機

     粗粉砕物を、更に中程度に粉砕します。

    a) パン・ミルは、一枚の花崗岩の円盤上に、2個のロラーが、水平方向に回転しながら、

     石を押し潰す、構造になっています。

     (エッジ・ランナー又は、フレンド・ミルとも言います。)

    b) ロール粉砕機は、2~数個のローラーが、向かい合って回転し、この間に原料(岩石、粘土)

      を入れて、粉砕する物です。ローラー間隔は、調整できます。

  ) ボール・ミル(トロンミル、ドラム・ミル)

     中粉砕した原料を、更に微粉砕するのに、使います。

     横に倒した、円筒形の容器に、ボール(球)と原料を入れます。(場合によっては、水も

     入れる事があります。)この円筒形を回転させ、中のボールが回転して、原料を磨り潰します。

     ボールの材質は、磁器球、アルミナ球、などがあります。

    回転速度、回転時間、球の数、それに、入れる原料の量や水の量によって、粒子の細かさが

    変化します。

   ・ ボール・ミルは、固まった釉を、細かくする際にも、使用します。

以下次回に続きます。

   
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焼き物の原料(坏土1)

2011-04-14 21:45:54 | 焼き物の材料(原料とトラブル)
坏土(はいど)とは、陶磁器用の素地土(きじど)の事で、作品を作り易い様に、調整した土です。

坏土は単一の粘土で、調整する場合も有りますが、各種の粘土を、配合し調整した物が、多いです。

特に、市販されている粘土類は、ほとんどが、色々の粘土を配合し、作陶に向く様に調整した土です。

1) 磁器や精陶器(白色陶器)等では、化学的処理された土を、目的に合った土にする為、

   計算調整して、配合を決めますが、その他の焼き物では、試行錯誤的に、配合調整を行います。

   即ち、作り易さ(可塑性)と、試し焼きの結果から、焼成温度、焼き縮率、破損(割、ひび)の

   有無、釉との相性などを見極め、不都合な点があれば、その対策として、他の粘土を加えたり

   他の粘土に替えたりして、良い土が出来るまで、試し焼きを繰り返します。

2) 坏土の条件

  ① 可塑性(プラスッティック性): 作り易い為には、この性質が必要です。

    即ち、成形に際して、「伸び」が良い事と、「腰」が強い事が必要です。

   a) 可塑性の大小は、絶対的なものではなく、個人によって違いがあります、ある人は作り

     難くても、他の人には、作り易いと、感じる事もあります。

   b) 可塑性は、練り土の水分量によっても左右されます。又、前記の「寝かし」の日数に

     よっても、変化します。

   c) 簡単な可塑性の試験

     練り土を引っ張り、伸ばした時、鉛筆程度の細さと、長さに成れば、非常に可塑性が

     大きいと言えます。長さが短い場合や、途中で切れてしまう様では、可塑性は小さいと

     言えます。

  ② 「ひび割れ」が起き難い事

    可塑性が良く、粘り気があっても、乾燥と共に、「ひび割れ」を起こす土は、使えません。

    例えば、ベンナイトは幾ら注意していても、「ひび割れ」を起こします。

    又、砂が多く含まれた土は、形は出来ても、粘りが無く、直ぐに形が、崩れて仕舞ます。

  ③ 焼く温度範囲が、比較的広い粘土である事

    多少の温度差が有っても、焼き不足や焼き過ぎが、起こらない事です。

   a) 焼成の最適温度とは、焼成した時、変形や「たれ」が起こらず、最高の、硬さと密度が

    得られる温度の事です。

   b) 土によっては、焼成温度範囲が、極端に狭い物や、器 (せっき)粘土の様に、SK-1~SK-10
    
     (1100~1300℃)まで、可能な物もあります。

  ④ 良く焼き締まる事

    一定温度の幅内で、十分焼き締まり強度が強く、水を透さない性質に成る、土である事です。

   a) 焼き締まりの、簡単な試験方法に、作品を叩いて、その音で判断する場合が有ります。

    澄んだ高い音は、良く焼き締まっている事の、証拠です。

  ⑤ 釉が良く熔け、素地に適合し表面を覆い、その色調が綺麗に仕上がる事。

  ⑥ 気孔がある事

   乾燥の際、粘土から水分が、蒸発して行きます。その為には、土に隙間(気孔)が必要に

   成ります。この気孔が少ない(粒子は細か過ぎる)場合には、乾燥時や焼成時に、内部に水分が

   残り、作品が変形したり、「ねじれ」を生じます。

   その対策として、シャモットや珪砂を、混ぜる場合も有ります。

   この様な処置を施すと、当然、可塑性が悪くなります。

以下次回に続きます。 
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焼き物の原料(粘土3)

2011-04-13 22:24:08 | 焼き物の材料(原料とトラブル)
引き続き、焼き物の原料について、お話します。

 3) 粘土について

  ⑥ 代表的な、粘土の種類

   a) カオリン(高嶺土): 中国揚子江沿岸に産する、白色粘土で中国陶磁器の代表的な粘土

     です。磁土又は白絵土とも言い、英語で「チャイナクレー」と呼びます。

     その後世界各地で、同じ様な粘土が見つかりますが、全てカオリンと呼びます。

    イ) 生成母岩の種類や、風化分解の程度、結晶の違いによって、その性質は変化します。

      カオリンの原土は、粘土物質、石英と、未分解の長石が主な構成物質ですが、その他に

      大なり小なり、砂、雲母、その他の不純物を、含んでいます。

    ロ) 付着水や吸着ガスは、100℃以下で放出されますが、結晶水の脱水は、カオリンの

      種類により、分解温度が異なります。

      カオリンは、600℃付近で結晶構造が崩れ、「メタカオリン」という状態に成ります。

      更に加熱すると、結晶配列が、再構成され「ムライト」と言う、物質に変わります。

      純粋なカオリンの融点は、1785℃ですが、不純物を含んでいる為、やや下がります。

    ハ) 色が白く、粒子が比較的大きく、可塑性は少ない物で、朝鮮カオリン、河東カオリン、

       わが国では、滑(ぬめり)鉱山(山口県)の物があります。

  b) 木節粘土

    木節粘土は、二次粘土の漂積粘土で、主成分は微細なカオリンですが、有機物や腐食物を

    含み、一見、木の節の様な外観を呈し、実際に木の節が、混入している場合もあります。

    色は、暗褐色や淡い黒色、稀に黄色、灰白色(白木節)、赤っぽい色をしています。

    焼成すれば、これら有機物は焼失し、比較的白くなります。

   ・ 耐火性が高く、可塑性も大きく、この粘土を配合すると、成形が容易に成ります。
 
     但し、収縮率は大きくなります。童仙房、本山木節土が、有名です。

  c) 蛙目粘土

    カオリンの中に、粗い粒子の石英を、含んだ粘土で、石英が蛙の目玉の様に、見える所から、

    名付けられたと、言われています。 一次粘土と二次粘土の、中間的粘土で伊賀土、瀬戸土、

    信楽土、その他多くの粘土があります。

   ・ 尚、石英分は、水簸(すいひ)をして、分離する事が出来ます。石英を取り除いた土は、

     前記木節粘土と同様に、可塑性が大きく、成形を容易にしますが、色は白色に成ります。

   ・ 分離した石英分は、わが国ではガラスの原料に成ります。

  d) セリサイト(絹雲母質粘土)

    絹雲母とは、雲母鉱物の一種で、アルカリを多量に含み、長石と粘土を、合わせた様な性質を

    持ちます。白雲母よりも粒子が、遥かに微細で、可塑性に富みます。

   ・ 新潟県産の村上粘土が有名です。又、福島県会津の冑(かぶと)土も、古くから磁器材料

    として、使用されていますが、可塑性は少ない様です。

  e) 耐火粘土

    耐火度がSK-32(1710℃)以上の粘土を、耐火粘土と呼んでいます。

    作品として使用するよりも、匣鉢(さやばち、こうばち)等の道具土として、使用したり、

    耐火レンガ用に、使われる事が多いです。

以下次回に続きます。
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焼き物の原料(粘土2)

2011-04-12 22:56:33 | 焼き物の材料(原料とトラブル)
引き続き、焼き物の原料について、お話します。

3) 粘土について

  粘土は数種類の鉱物から、出来ています。主な成分は、前回述べた様に、シリカとアルミナ、

  それに水です。その割合の組成は、シリカ:アルミナ:水 = 1:0.3~8: 0.5~ 19です。

  同じ組成を持っていても、結晶の違い等で、粘土の性質に違いがあります。

 ③ その他の成分

   粘土は、熱水等により風化した物ですので、上記主成分以外に、他の鉱物を含んでいます。

   陶器に使う場合には、ほとんど問題に成りませんが、真っ白い磁器の作品を作る為には、

   邪魔に成る不純物で、除去出来なければ、使い物に成りません。

  ) 主な不純物 : 石英、長石(正長石、曹長石、灰長石など)、雲母類、鉄化合物(赤鉄鉱、

     磁鉄鉱、褐鉄鉱、硫化鉄)、チタン化合物、石灰石、ドロマイト、マグネサイト等です。

    これら不純物を、精製しても、鉄化合物はどうしても、取り切れない場合が有ります。

  ) 不純物の影響: 少量の鉄化合物は、還元焼成で、酸化第一鉄(FeO)の形にして、長石に

     熔け込ませますが、素地がいくらか、青みを帯びます。

     白色の酸化チタンは、焼成で灰色に成ってしまいますので、鉄とチタンは出来るだけ少ない

    材料が必要となります。

 ④ 粘土の構造

   シリカとアルミナ、水から成る粘土は、わりあい、規則的に配列、結合された構造に

   成っています。即ち、シリカとアルミナが積層に重なり、その間に水が結晶水として存在して

   います。それ故、横方向(層方向)には自由に移動でき、可塑性を持つ事が出来ます。

   縦方向には、水がシリカとアルミナを結合させる、働きをします。

   (二枚のガラス板の間に、水を入れると、ピッタリくっつきますが、横(面)方向には自由に

    滑り動きます、縦方向(二枚のガラスを離す方向)では、引き離す事が出来ないのと

    同じ原理です。)

 ⑤ 粘土の粒子の大きさ

   粘土は非常に小さな粒子から、出来ています。大きさ(粒度と言う)は、0.1~ 10μ(ミクロン)

   が、混在しています。これら粒子も、粘土鉱物の巨大分子の集合体です。

   この粒子の大きさによって、粘土性質も変化します。

   a) 可塑性(かそせい)について

     可塑性とは、一定の力を加え変形させた場合、その形を保持し続ける性質で、成形能とも

     言いす。粒子の粗さは、可塑性に影響を与えます。 

    ・ 粒子が細かいと、可塑性が増します。

    ・ 可塑性の大きな粘土は、保水性が大きいので、乾燥すると、水分が抜け、縮み率が

      大きく成ります。又、粒子が細い程、乾燥すると、強度が増します。

    ・ 「ねかし」: 粘土に莚(むしろ)を掛けて、乾かない状態で、室などに保管すると、

      粘土中の有機物に、微生物が発生し、腐食酸(フミン酸)を作りだします。

      この酸が、粒子と水分の分散を良くします。この作用を「ねかし」と言い、長い場合には

      数年間寝かす事が有ります。「ねかし」は可塑性が増し、切れや割れを、防いでくれます。

    ・ 可塑性を増す方法に、ベンナイトと言う粘土を、混入する方法があります。

     この粘土は、水で膨らむ(膨潤性)がある為、可塑性が増します。

次回に続きます。
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焼き物の原料(粘土1)

2011-04-11 11:45:50 | 焼き物の材料(原料とトラブル)
焼き物として成り立つ為には、素地と釉(釉薬)、そして火(熱)の三要素が、必要です。

但し、釉は絶対必要な物とは、言えません。即ち、釉薬が発明される前から、縄文土器や弥生式土器

などが存在し、これらも、れっきとした、焼き物と見なされています。

現在でも、焼締めとして、備前焼などは、釉は使いません。

更に、電気の窯の登場により、火が必要ではなく、高温の熱が有れば、十分です。

それ故、素地と熱が焼き物の、重要な要素と言えます。

又、釉は必ずしも、必要ではないのですが、現在の焼き物では、大きな意味を持っています。

釉には、多くの無機質の原料(酸化物)が、使われています。

「今回のテーマ」として、しばらくの間、素地や釉の材料(原料)について、述べたいと思います。

1) 焼き物の素地と岩石

   素地には、磁土(陶石)と粘土に分けられますが、その大元は、天然の岩石です。

   岩石は大きく分けると、火成岩、水成岩、変成岩に、分類されます。

 ① 火成岩: 地球内部の溶岩が、地表や地表近くに現れ、冷えて固まった岩石です。

   代表的な火成岩は、花崗岩(御影石)や、石英粗面岩です。

   これは、焼き物が焼き上がった状態の、化学成分と似ています。

   特に、磁器の成分と、非常に似た成分だそうです。

   (それ故。焼き物とは、基の岩の状態に、戻した物とも言えます。)

 ② 水成岩(堆積岩): 地上にある岩石が、大気や熱水や風などによって、砕かれ分解、風化し、

   水などと共に流され運ばれ、堆積して出来た物です。

  ・ 粘土や黄土は、この部類(砕屑水成岩)に入ります。

 ③ 変成岩:  一度出来た火成岩(花崗岩など)が、周囲の環境によって、その成分などが

   変化した岩石です。

  ) 強い熱の影響の物が、熱接触変成岩(熱変成岩)で、陶石はこの部類です。

  ) 強い力や重力の影響を受けた物が、重力変成岩と呼ばれ、滑石などは、この部類です。

2) 岩石の成分

   岩石の出来方は、色々有りますが、その構成の化学的成分は、ほぼ同じ様な物質で、大部分は、

   珪酸(シリカ、石英、SiO2)とアルミナ(Al2O3)で、少量の石灰(CaO)、マグネサイト(MgO)、

   酸化鉄(FeO、Fe2O3)等が、混ざっています。

3) 粘土について

  ① 粘土とは、「ねばねばした物質」の意味で、英語で「クレー、Clay」と言います。

  ・ 粘土の定義は:)粘着性を有する事 )微細な粒子の集合体で有る事 )主として、

    珪素、アルミニウム、鉄、アルカリ土金属、アルカリ金属、水分を等の化学成分を持っている

    天然物と成っています。

  ② 一次粘土と二次粘土

    岩石から粘土になるには、約40~50万年程度の長い年月が、必要との事です。

   ) 一次粘土(残留粘土): 基に成った岩石(母岩)の側で、そのまま生成した物で

     熱水などで、風化しやや土っぽい石になります。 この石が陶石で、砕いて磁器の原料に

     します。カオリンは代表的な物質で、不純物の少ない、真っ白い粘土になります。

   ) 二次粘土(漂積粘土): 粉砕され、遠くに運ばれて、堆積した物です。

     二次粘土には、木節粘土や赤土など、色の付いた土が多いです。

以下次回に続きます。
  
   
   
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陶芸の本について(作品集11)

2011-04-09 22:42:17 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
引き続き、陶芸に関する本について、お話します。

 ② 特定の場所で、販売されている本(作品集)

  ) 個展の本(カタログ)

    著名な作家は、毎年(又は数年おき)個展を開いている事も多いです。

   a) 都会のデパートなどで、開催される事が多く、作品紹介と作品の即売会を目的とした、

    展示会が多いです。その際本と言うより、カタロク的な物が、印刷される場合も有ります。

    作家の経歴と共に、作品が収録されています。

   b)他の展示会では、決して作品に触れる事は出来ません。しかしこの様に、即売会を兼ねて

    いる場合には、作品に触れなければ、購入できませんので、触る事が認められます。

    但し、無断でやたらに触る事は出来ません。当然主催者側の係員の許可を取る必要が有ります。

    (作品の値段が、作品前面に表示される事は稀で、作品の裏側など、作品を持った時に、

     見える所に表示されている事が、多い様です。但し、売約済みの表示は、前面に表示され

     ます。)

   c) 著名な作家の作品は、開催と同時にどんどん、売約済みに成って行きます。単に愛好家や

     コレクターだけで無く、美術関係者なども、買い手と成りますので、開催日に全部売れて

     仕舞う事も有るようです。

  ) 自費出版の本

     大きな陶芸教室などでは、毎年又は、数年に1度、会員たちの展示会が行われます。

     教室の10周年記念と言うように、記念企画の場合には、展示会と同時に、会員達の

     作品集を、出版する事も、必ずしも珍しくありません。

     発行部数は当然、数百部(千部以下)程度ですし、購入者も当事者に限られています。

     それ故、自費出版の形と成ります。

     自分の作品が、本に成って載せられる事は、大変嬉しい事です。

     (一般には、ほとんど、可能性が無い事でしょう。)

  ) その他の本

     今まで述べて来ませんでした、焼き物の本は、沢山有ります。

     例えば、骨董的な焼き物の本や、特殊の焼き物(焼かない陶器、キッチン陶芸、七宝焼き、

     指輪などの銀粘土、ドールハウスなど)や、その他「ニューセラミック」の分野の本等です。

     これらは、必ずしも、陶芸の分野とは言えませんが、陶芸とは親戚関係の様な気がします。

以上で、陶芸の本の話を終わりますが、ご自分に合った本と出会える事は、色々勉強にも成ります。

是非、良い本と出合って下さい。

次回は、新たなテーマでお話したいと思います。
     
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陶芸の本について(作品集10)

2011-04-08 22:13:51 | 陶芸四方山話 (民藝、盆栽鉢、その他)
引き続き、陶芸に関する本について、お話します。

 ② 特定の場所で、販売されている本(作品集)

  ) 博物館、美術舘等の企画展

    国立の博物館や美術館或いは、私立の美術舘では、定期的に、企画展を行っています。

   a) 国立の場合は、正倉院展、国宝展等の様に、我が国の美術品の展示会も行っています。

     国宝などは、法律で一定期間内に、公開展示する事が、義務付けられているそうです。

     その他、海外の美術品を紹介する展示会が、催されます。相手国の貴重な美術品を、

     借り受けるには、国家間の取り決めが必要で、私立の美術舘では、困難なのかも、

     知れません。当然、焼き物以外の展示も多いですが、焼き物を中心にした企画も、

     かなりあります。

    ・ 即ち、中国の名品と言われる焼き物の展示、例えば、秦の始皇帝の陵墓の周辺に 埋納

     された兵馬俑(へいばよう)や、朝鮮(韓国)の歴史的美術品展(韓国美術五千年展)

     及び、古いペルシャ陶器の焼き物の展示会も、数度催されています。

     これらの展示会には、必ず出品の作品集が、出版され会場で、販売されています。

  b) 著名な私立の美術舘でも、定期的に企画展を行っています。

    大体は、その美術舘が収蔵している作品の内、テーマを絞って、展示する場合が多いです。 

    この様な企画展は、ある程度、宣伝広告を載せている為、一般の開館日よりも、多くの

    人が訪れます。又テーマが、絞られている為、目的意識を持って、見る事が出来ます。

  c) 新聞社などが、企画している展示会も有ります。

    一寸古い話に成りますが、「珠玉の香合」展を、日本橋高島屋に、見に行った事が有ります。

    カナダのモントリオール美術舘で、明治時代に渡った、クレマンソー・コレクションの中に、

    我が国で、蒐集した「香合」約3,500点が、未整理の状態で、倉庫から発見されました。

    その「香合」を里帰りさせて、展示会を開いたのが、朝日新聞社です。

    その他、焼き物とは限りませんが、里帰り展の企画を、良く耳にします。これらは、公立の

    美術舘や、新聞社などが、企画する事が多い様です。

   ・ これら企画展でも、作品集やカタログを、販売している事が多いです。

     会場では、一度に多くの作品を見る為、見落としや、印象に残らない作品も多く、本に

     記載されていれば、繰り返し見る事が出来ますので、金銭的余裕があれば、購入しする事

     を薦めます。    

   ・ 一箇所に有る作品群であれば、その国に行けば見る事が、可能でしょうが、全世界に

     別々に存在している作品ですと、ほとんど不可能です。それ故この様な企画展は、貴重な

     事と思われます。

  これらの企画展は、あくまでも、見て貰う事を、前提にした展示会です。

  それに対して、著名な作家の個展は、作品紹介と作品の販売を目的とした、展示会が多いです。

以下次回に続きます。
    
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