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上橋菜穂子『流れ行く者 守り人・短編集』

2008-07-19 15:56:19 | ノンジャンル
 17日発行のフリーペーパー「R25」に、寄付に関する記事が載っていました。寄付をする家庭の割合は日米とも75%前後なのですが、金額は日本が年間3000円前後なのに対して、アメリカは約9万円と30倍以上の開きがあるそうです。私はユニセフ・マンスリーサポートで月に2000円寄付しているので、年間2万4千円になり、日本にいるにしては健闘してる方かな、と思いました。

 さて、上橋菜穂子さんの一番新しい作品「流れ行く者 守り人・短編集」を読みました。
 第一話「浮き籾(もみ)」は、幼い頃のタンダとバルサが主人公で、タンダが好きだった、祭りには必ず帰って来る「髭のおいちゃん」オンザが、山犬に憑いて里の人を襲うという事件を2人して解決するという話。
 第二話「ラフラ〈賭事師〉」は、バルサがロタで出会った老女の賭事師アズノと50年来の勝負をしている氏族長の重臣との賭博の話。
 第三話「流れ行く者」は、バルサとジグロがロタからトロガイ師の家まで護衛士を務める話。
 第四話「〈寒のふるまい〉」は、タンダがバルサの帰還を待ち望む話、です。
 この4つはちゃんと時間の順番になっていて、4つの短編というよりも、一つの話の1~4章と考えた方がいいかもしれません。一番読みごたえがあるのは、バルサの養父ジグロが病床に伏せるところから始まり、バルサが初めての殺人を経験する「流れ行く者」でしょう。冒頭のジグロの死闘ぶり、年老いた護衛士スマルの哀れさ、そしてバルサの殺人の場面、読みどころが沢山あります。そして「浮き籾」と「〈寒のふるまい〉」では、幼いタンダの人の良さ、かわいらしさが横溢しています。この本を読んでいると、守り人シリーズはまだまだ話を広げられると思いました。次の守り人シリーズの一冊が読めれば幸せなのですが、上橋さん、どうでしょう?
 ちなみに詳しいあらすじは、「Favorite Novels」の「上橋菜穂子」のコーナーにアップしておきましたので、興味のある方はぜひご覧ください。