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成瀬巳喜男監督『鶴八鶴次郎』

2009-03-16 18:18:00 | ノンジャンル
 スカパーの707チャンネル「日本映画専門チャンネル」で、成瀬巳喜男監督の'38年作品「鶴八鶴次郎」を再見しました。
 新内語りの鶴次郎と三味線弾きの鶴八ことお豊は、高座がある時は他の小屋が空になるほどの人気ですが、鶴次郎は二人を育てた先代の鶴八を引き合いに出して、度々鶴八の三味線にケチをつけ、ケンカが絶えません。もう別れるという二人を周囲が説得し、名人会を成功させると、二人は後見人の竹野から温泉に招待されますが、そこでお豊は自分に贔屓筋の松崎との縁談があることを鶴次郎に告げます。鶴次郎はずっとお豊のことを思っていたことを告白し、お豊も将来の夫は鶴次郎だと決めていましたが、ケンカばかりで心細くなっていたのだと言い、二人は仲直りします。そして鶴次郎が自分たちの小屋を持ちたいと言うと、お豊は先代の遺産から資金を調達すると答え、小屋を買いますが、実は松崎が資金を出していたことが鶴次郎に分かり、激昂した鶴次郎はお豊を松崎の妾呼ばわりし、二人は周囲の説得に耳も貸さず決別します。鶴次郎は付き人の佐平とも別れ、一人で舞台に立つことにしますが、人気は下がり、一方お豊は松崎に嫁入りします。お豊は幸せな結婚生活を送りますが、鶴次郎はすっかり落ちぶれ、酒に酔うすさんだ毎日を過ごします。それを見かねた佐平はお豊を訪れ、次の名人会に鶴次郎と一緒に出てくれと頼み、お豊は承知します。佐平にそのことを伝えられた鶴次郎もお豊との共演を承知し、名人会は大成功を博し、帝劇への出演依頼まで来ます。が、名人会の最後の高座を務めた後、鶴次郎は鶴八の芸がなってないと苦言を呈し、怒った鶴八はもう二度と鶴次郎とは組まないと言って去ります。その夜、鶴次郎は、盛りを過ぎた芸人のみじめさをもう十分知ったので、夫と離縁してまでも芸人に復帰したいと言うお豊を芸人にさせないために、嘘をついたのだと佐平に告白し、二人は酒を大いに飲み合うのでした。
 まだ若い長谷川一夫と山田五十鈴のみずみずしい演技が素晴らしく、またラストシーンもほのぼのとしていて、記憶に残る映画でした。成瀬巳喜男監督の代表作の一つだと思います。文句無しにオススメです。