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谷川俊太郎『シャガールと木の葉』

2010-05-02 11:30:00 | ノンジャンル
 以前に買ってあった「文學界」5月号に掲載されている山田詠美さんの4つの短編を遅ればせながら読みました。『微分積分』『ガラスはわれるものです』『LOVE 4 SALE』はステロタイプの生き方に対するいらだちと快感、『GIと遊んだ話(三)』は、山田さん得意のほろにがラブストーリーでした。やっぱり詠美さんの小説は面白い!

 さて、谷川俊太郎さんの'05年作品『シャガールと木の葉』を読みました。谷川さんの42編に及ぶ詩が収録されています。
 この詩集を読むきっかけとなったのは、たまたま近くの公民館の中にある図書館の分館に本を返しに行った時、なにげなく本棚を見ていて、なにげなく手に取り、なにげなく読んだ最初の詩『シャガールと木の葉』の素晴らしさに感動し、また現在私がピアノで練習しているバッハのゴールドベルグ変奏曲のことを詠んでいると思われる『ゴールドベルグ讃歌』という詩も収録されているのを知ったからです。『シャガールと木の葉』は、「貯金はたいて買ったシャガールのリトの横に 道で拾ったクヌギの葉を並べてみた」という一節から始まり、シャガールのリト(金属を使った版画のこと)とクヌギの葉の違い、そしてどちらも美しいということ、その美しさの異なり、どちらもかけがえのないものであることが歌われ、最後は「窓のむこうの青空にこころとからだが溶けていく ‥‥この涙はどこからきたのだろう」で終わる詩でした。著作権の問題がなければ全文をここでお読みいただきたいのですが、これはもう実際に本を手に取ってお読みいただくしかありません。この一編の詩は、一般的に詩を苦手とする私でも常に手許に置いておきたいと思うほどの素晴らしさでした。ということでこの一編の詩を読むだけのためにも、文句無しにオススメです。