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谷崎潤一郎全集・第三巻の短編

2011-05-18 08:31:00 | ノンジャンル
 『創造』は、自らの姿で芸術を成し遂げるほどの美しさに恵まれなかった兄の川端が、富貴な容貌と端正な肉体を持つ養子をもらい、それに理想的な妻を娶らせて、芸術として完璧な子供を産ませるという話を全て会話文で描いたもの。(1915年3月作)
 『華魁』は、大人を馬鹿にしている丁稚の由之助が、手代の傳吉に手紙を送るまでの話。(未完、1915年5月作)
 『法成寺物語』は、道長が法成寺を建立した際、仏師の定朝に本尊を、その弟子の定雲に勢至菩薩を彫らせます。前の太政大臣の娘で、道長の恋人でもある四の御方に似せて、醜い定雲に作らせた勢至菩薩の美しさに気後れした定朝は、なかなか本尊の顔を彫れませんが、ある日訪ねて来た院源に良圓という美しい若者を紹介され、一気に本尊の顔を完成させます。良圓は勢至菩薩の顔を一目見ただけで心乱され、四の御方も本尊の顔を一目見て、今まで胸に抱いていた恋人の姿だと言い募ります。それを盗み聞いた道長は、四の御方と定雲をその場で引き捕え、斬り殺させるという四幕の戯曲です。(1915年5月作)
 『獨探』は、私が仏蘭西語を習ったオーストリア人のG氏が、女性にもてはやされ、結局スパイの嫌疑でアメリカへ追放された話です。(1915年10月作)
 読みごたえのあったのはやはりこの中では一番長い『法成寺物語」で、ラスト四の御方と定雲があっさり斬殺されるところは迫力満点でした。『創造』なども、ファンタジーとしても読める短編です。

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