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須田郡司『日本石巡礼』

2013-04-04 08:52:00 | ノンジャンル
 フランシス・フォード・コッポラ監督の'09年作品『テトロ 過去を殺した男』をWOWOWシネマで見ました。ストーリーらしいストーリーがなく、兄だと思っていた男に父だと告白され、最後にはその2人が和解するという物語で、現実のシーンは白黒、回想シーンや想像上のシーンはカラーという映画でした。

 さて、宮田珠己さんが著書『はるか南の海のかなたに愉快な本の大陸がある』の中で紹介していた、須田郡司さんの'08年作品『日本石巡礼』を読みました。著者が軽のワンボックスカーで日本を3年かけて旅して回り、約千ケ所の石を訪ねて書いた本です。
 実際に紹介されている石や岩は全部で58。どれもが写真でも紹介されていて、そこを訪れた時のルポルタージュとその石や岩にまつわる話、信仰の対象であればどういう信仰なのかなどが、事細かく書かれています。
 そうした中でも、特に私が興味を引かれた石や岩は、茨城県日立市の太刀割石(球体状の巨岩がスパッと断ち切られたような形で2つになったものが、寄り添うように置かれているもの)、和歌山県古座川町の一枚岩(高さ約100メートル、幅500メートルの大きさの巨岩で、古座川に沿ってあり、川岸からほぼ垂直に巨大な屏風のような岩がそそり立っている)、和歌山県串本町の橋杭岩(海岸から紀伊大島に向かって一直線に約850メートル、大小40あまりの奇岩が連続して立っている)岐阜県高山市の三つ岩(ガムをクチャクチャ食べた後、吐き出した形のように、黒光りした岩が流線形の凸凹した輪郭で、突起部分や凹み部分が幾つもあり、現代美術の作品か、もしくはウルトラマンシリーズに出て来る宇宙からの飛来物のような形をしている)、北海道せたな町の親子熊岩(海岸沿いに波による浸食でできた岩で、親の熊(これは猿のようにも見える)に、子供の熊が後ろ足で立ち上がってすがっているように見える(これは人為的な彫刻であるかのように、まさにそのものズバリの形をしている)もの)、三重県菰野村の地蔵岩(直方体の三つの立石の上に、サイコロ状の立方体の岩が傾きながら乗っている)、如来の首・五百羅漢・一ツ仏・親子岩・十三仏観音岩・天竜岩・蓮華岩・地獄堂・極楽浜などの奇岩が見られる青森県佐井村の仏ヶ浦(写真では一ツ仏と如来の首だけが紹介されています。如来の首は、よくツアーの宣伝でも写真を見ることがあります)、万治の石仏(その昔、諏訪大社(春宮)に石の鳥居を造る時、この石を材料にしようとして、ノミを入れたところ傷口から血が流れ出したので、石工たちは恐れをなし仕事をやめたという逸話が残っていて、その時のノミの跡は現在でも残っている、三角おむすびのような自然石の上に、ぽつんと首がはめ込まれているもの)、兵庫県の六甲山麓にある越木岩神社の岩(これも、豊臣秀吉が大阪城築造の際、石工たちにこの霊石を切り出せと命じたところ、今にも割れんとする石の間から鶏鳴が轟き、真白な煙が立ち昇り、その霊気に石工たちは恐れおののき石から転げ落ちたため、太閤はこの岩を運び出すことをついに断念したという逸話があり、その時の割れ目は今も痛々しく残っている)、足摺半島の唐人駄場周辺にある唐人岩(5~10メートルもの岩がニョキニョキと地面から生えてきて、お互いに積み木のように絡み合いながら、重なっているように見える)、福岡県黒木町の男岩(高さ12メートルもの勃然と起立した岩で、別名“珍宝岩(ちんぽういわ)”。形は勃起したペニスそのもの)などでした。
 写真だけ見ていても結構楽しめる本であり、この本の続編とも言える『世界石巡礼』を読む(見る)のが楽しみになりました。巡っているのは観光地化されていないところばかりで(仏ヶ浦は例外)、巻末には丁寧にもアクセス方法まで掲載されていました。公共図書館には置いていないかもしれませんが、アマゾンで古書が割安で手に入れることができます。

 →Nature LIfe(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto