"13年に刊行された6人の作家によるアンソロジーです。
飛鳥井千砂『神様たちのいるところ』では、私は今の旅行会社に入ってから7年になり、2年前までは、ヨーロッパ各地を飛び回っていました。和真は私の大学時代の恋人で、ギリシャへの興味が共通の話題となって親しくなり、私が30歳の誕生日を迎えた時、二人とも独身で恋人もいなかったら、フィロパポスの丘で会い、一緒にパルテノン神殿を眺めようと約束します。その後、私たちの仲は自然消滅しましたが、2年前の友人の結婚式で再会し、2人とも恋人がいると分かったのに、私はまだギリシャに行っていないと話し、その後も日常的にメールを交換するようになり、1ヵ月前には和真がパスポートを作っていることを伝え聞き、今晩も飲み会を欠席していると知ります。私は30歳の誕生日の日、フィロパポスの丘に行きますが、そこへ和真が妊娠中の彼女と結婚するというメールが飛び込んできます。新婚旅行のためのパスポートだったのです。私はパルテノン神殿から神々が私たちの行く先をずっと見守ってくれるはずだと思うのでした。
彩瀬まる『かなしい食べもの』では、高嶋は同棲相手の灯から枝豆パンを作ってくれと頼まれますが、やがて父が浮気をする騒動でイトコの徹夫の家に寝泊まりしていた際、彼女が徹夫に作ってもらっていたことが分かります。今後は2度と作らないと言う高嶋に泣く灯。しかし灯は「あなたほど、まじめに誰かの話を聞く人に、会ったことがない」と言われ、高嶋は「俺の人生で俺を待っていてくれたのが彼女だったのだ」と確信します。そして灯がパンを作って欲しいと言うことはだんだん少なくなり、高嶋が設計したメリーゴーランドに2人で乗った帰り、灯は今後はさっきのメリーゴーランドみたいなパンが食べたいと冗談を言うのでした。
瀬尾まいこ『運命の湯』では、ジュリエットという名前を持つ私は、大学生となり、運命の人であるはずのロミオという名前を持つ人を探し始めます。ネットのコミュニティサイトからはうさん臭い返事しか来ず、ミニコミ誌にロミオを探している記事と、行きつけの銭湯の宣伝記事を投稿すると、ロミオに対する反応はありませんでしたが、銭湯の客は増えます。そしてある日、銭湯を一人で経営している馴染みのおじいさんの名前が、風呂屋の三男坊だったことから呂三男(ろみお)であることを知り、驚いた私は、縁あるおじいさんのために何かしてあげようと思い、ネットに銭湯の柚湯に入ろうと言うメッセージを沢山残します。当日、いつもより多い客に喜ぶ私とおじいさんでしたが、おじいさんは今年一杯で銭湯を取り壊すことを私に告げ、それでも私はおじいさんと知り合えたことに幸福感を感じるのでした。
西加奈子『宇田川のマリア』では、小説家志望の私はバイトからの帰り、殺されます。私は故郷の大きい書店によく出入りしていましたが、そこで軽蔑すべき女性作家がサイン会を行っているのを見て憤激し、3年前に上京したのでした。死んだ私は人が多い渋谷に現れ、そこで例の女性作家を見つけます。彼女に付いてバーに入った私は、自分が殺されたことを話しますが、女性作家は私と乾杯します。散々酔っ払った私はトイレで吐き、大暴れし、1人店に残され、他の客や店の人は帰っていきます。翌朝目覚めた私は、自分が殺された現場に向かいますが、死体はありませんでした。私はバーのトイレに飛び込んだ時に私を受け止めてくれた男に会うために上京したのだと分かり、彼をゲットすると心に誓うのでした。
南綾子『インドはむりめ』は、契約社員で30歳を迎えるわたしは、上司から見合い相手を紹介され、彼の申し出を受け入れます。上司は正社員になって中国に行ってほしいと言いますが、その直後に見合い相手からインド勤務になると知らされ、それは無理と答えると、怒った見合い相手はわたしを噴水に突き落とします。わたしはだらだらと付き合っていて、たまたまそこを通った彼氏に助けられるのでした。
柚木麻子『残業バケーション』では、歩はそれまで口をきいたことのなかった種田と以前熱狂的に好きだったテレビドラマのことで話が会います。歩は種田の勧めでフェイスブックを使い、以前の友人からドラマのビデオを送ってもらうことに成功し、種田を自宅に呼ぶことで一歩人生を踏み出した気になるのでした。
やはり瀬尾さんの作品が断トツで面白く、その後は飛鳥井千砂さんのが良かったと思いました。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
飛鳥井千砂『神様たちのいるところ』では、私は今の旅行会社に入ってから7年になり、2年前までは、ヨーロッパ各地を飛び回っていました。和真は私の大学時代の恋人で、ギリシャへの興味が共通の話題となって親しくなり、私が30歳の誕生日を迎えた時、二人とも独身で恋人もいなかったら、フィロパポスの丘で会い、一緒にパルテノン神殿を眺めようと約束します。その後、私たちの仲は自然消滅しましたが、2年前の友人の結婚式で再会し、2人とも恋人がいると分かったのに、私はまだギリシャに行っていないと話し、その後も日常的にメールを交換するようになり、1ヵ月前には和真がパスポートを作っていることを伝え聞き、今晩も飲み会を欠席していると知ります。私は30歳の誕生日の日、フィロパポスの丘に行きますが、そこへ和真が妊娠中の彼女と結婚するというメールが飛び込んできます。新婚旅行のためのパスポートだったのです。私はパルテノン神殿から神々が私たちの行く先をずっと見守ってくれるはずだと思うのでした。
彩瀬まる『かなしい食べもの』では、高嶋は同棲相手の灯から枝豆パンを作ってくれと頼まれますが、やがて父が浮気をする騒動でイトコの徹夫の家に寝泊まりしていた際、彼女が徹夫に作ってもらっていたことが分かります。今後は2度と作らないと言う高嶋に泣く灯。しかし灯は「あなたほど、まじめに誰かの話を聞く人に、会ったことがない」と言われ、高嶋は「俺の人生で俺を待っていてくれたのが彼女だったのだ」と確信します。そして灯がパンを作って欲しいと言うことはだんだん少なくなり、高嶋が設計したメリーゴーランドに2人で乗った帰り、灯は今後はさっきのメリーゴーランドみたいなパンが食べたいと冗談を言うのでした。
瀬尾まいこ『運命の湯』では、ジュリエットという名前を持つ私は、大学生となり、運命の人であるはずのロミオという名前を持つ人を探し始めます。ネットのコミュニティサイトからはうさん臭い返事しか来ず、ミニコミ誌にロミオを探している記事と、行きつけの銭湯の宣伝記事を投稿すると、ロミオに対する反応はありませんでしたが、銭湯の客は増えます。そしてある日、銭湯を一人で経営している馴染みのおじいさんの名前が、風呂屋の三男坊だったことから呂三男(ろみお)であることを知り、驚いた私は、縁あるおじいさんのために何かしてあげようと思い、ネットに銭湯の柚湯に入ろうと言うメッセージを沢山残します。当日、いつもより多い客に喜ぶ私とおじいさんでしたが、おじいさんは今年一杯で銭湯を取り壊すことを私に告げ、それでも私はおじいさんと知り合えたことに幸福感を感じるのでした。
西加奈子『宇田川のマリア』では、小説家志望の私はバイトからの帰り、殺されます。私は故郷の大きい書店によく出入りしていましたが、そこで軽蔑すべき女性作家がサイン会を行っているのを見て憤激し、3年前に上京したのでした。死んだ私は人が多い渋谷に現れ、そこで例の女性作家を見つけます。彼女に付いてバーに入った私は、自分が殺されたことを話しますが、女性作家は私と乾杯します。散々酔っ払った私はトイレで吐き、大暴れし、1人店に残され、他の客や店の人は帰っていきます。翌朝目覚めた私は、自分が殺された現場に向かいますが、死体はありませんでした。私はバーのトイレに飛び込んだ時に私を受け止めてくれた男に会うために上京したのだと分かり、彼をゲットすると心に誓うのでした。
南綾子『インドはむりめ』は、契約社員で30歳を迎えるわたしは、上司から見合い相手を紹介され、彼の申し出を受け入れます。上司は正社員になって中国に行ってほしいと言いますが、その直後に見合い相手からインド勤務になると知らされ、それは無理と答えると、怒った見合い相手はわたしを噴水に突き落とします。わたしはだらだらと付き合っていて、たまたまそこを通った彼氏に助けられるのでした。
柚木麻子『残業バケーション』では、歩はそれまで口をきいたことのなかった種田と以前熱狂的に好きだったテレビドラマのことで話が会います。歩は種田の勧めでフェイスブックを使い、以前の友人からドラマのビデオを送ってもらうことに成功し、種田を自宅に呼ぶことで一歩人生を踏み出した気になるのでした。
やはり瀬尾さんの作品が断トツで面白く、その後は飛鳥井千砂さんのが良かったと思いました。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)