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森崎東監督『ロケーション』

2013-12-21 11:28:00 | ノンジャンル
 森崎東監督・共同脚本の'84年作品『ロケーション』をスカパーの日本映画専門チャンネルで見ました。
 シャワーを浴び寝ようとして紺野(柄本明)から電話を受けるべーやん(西田敏行)は、奈津子の様子が変だったと聞き、奈津子(大楠道代)がまた自殺未遂をしているのに気付き、病院に担ぎこみます。紺野はべーやんが映画の仕事を辞めて奈津子とホカ弁の仕事をするという約束を破ったとべーやんを責めていたと言い、奈津子が涙を流すのを見て約束を守ることにします。ロケ隊が待っているところへやって来たベーヤンは前金を返し、仕事を抜けると言いますが、スタッフの冷たい目に耐えられず、ロケ隊に戻ります。海の岩場で撮影していた奈津子は空腹から倒れ、紺野は無理を言って彼女を連れて来たことを後悔します。
 銭湯のボイラー室で殺しのシーンを撮ろうとロケハンしていた監督たちは、半裸の若い女性・笑子(美保純)が床に寝ているのに驚きます。彼女は銭湯の使用人でした。撮影中、笑子は消火器のレバーを押してしまい、若い女優は怒って帰ってしまいます。べーやんは笑子に「人殺ししたい?」と持ちかけ、彼女が男を絞殺し、町を逃げ回るシーンを撮りますが、それを追っていた監督(加藤武)は倒れ、入院してしまい、あと3日でべーやんに傑作を撮って欲しいと言います。べーやんは銭湯をクビになった笑子を主役にします。
 お盆だから福島に墓参りに行くと言い出す笑子。ベーヤンは彼女を福島へ送りながら、ロケ撮影をしていくことにします。奈津子と残る紺野。
 笑子は母校の教師・赤石(佐藤B作)と再会し、当時笑子が人殺しをしたという噂があったことをべーやんらは知ります。プールの水中で男を絞殺するシーンを撮るベーヤンと、今のが真実だったのだという赤石。
 シナリオ上では残る仇は一人となります。べーやんは笑子がいなくなっているのに気付き、盆踊りと墓を探そうと言います。笑子の祖母の店で紙風船で遊んでいた笑子は、“みそら”という娼家に入り、すぐ出てきます。“みそら”に入ったべーやんは、テル子(大楠道代、二役)から、父が坑内で四肢を失い、その後博打で多額の借金を背負い、一家心中の結果女の子が生き残った話をします。笑子の祖母は明日は灯籠流しなので、皆流すがいいと言います。テル子は亭主が不憫で妻が殺し、妻が子供に殺され、子供がそのことを言いふらしたのだと言います。
 自分が笑子と奈津子とテル子に突き落とされる夢を見るベーヤン。最後の1人の敵討ちをする撮影を夜に始めると、雨が降り始め、笑子は男を突き飛ばし、ハサミで髪をザクザク切り始め、ベーヤンが「笑子、お前は誰だ?」と聞くと、笑子は「知りたいなら仏ケ浦に行け」と言います。仏ケ浦に行くと、そこは絶壁で、ロケ車があやうく落ちそうになります。ここなら誰にも邪魔されず撮れると砂浜に降りて意気込むスタッフでしたが、遠足に来た幼稚園児らに囲まれ、しらばくは空フィフムを回すことになります。砂浜近くのボロ屋は以前の笑子とテル子の家で、そこに水を運んできた笑子は湯を沸かし、笑子が帰宅した時、テル子が夫の上に乗って最後のセックスをしているのを見て、テル子が夫を殺しているのと勘違いし、自分を殺そうとしたとテル子は言いますが、笑子は現にテル子が生きていることから最初から心中する気などなかったはずだと反論し、激しく言い合います。人殺しと言われ辛かったと言う笑子は、今までの自分は死んでたと言い、あの頃に戻りゃいいんだろうと言って、父役の俳優の手を取り崖の上に登ると、テル子は笑子を木に縛り、「お前の目の前で飛べっか?」と言い、「飛ぶのが怖かった」とも言い、笑子は「分かった」と言うのでした。その夜灯籠流しをする母子。べーやんは無数の灯籠を流させます。仏ケ浦からここまでの一部始終を撮影するベーヤン。
 試写室では監督は傑作だと誉めますが、配給会社はこんな映画は受け取れないと言い、べーやんは自分が費用を負担すると言います。トリュフォーのいう“呪われた傑作”だと言って、悪酔いするべーやん。帰宅しフィルムを持ち帰ると、大家(愛川欽也)はベーヤンがいつも歌っている「エイトマン」の歌で迎え、力なくフィルムを床に置いたベーやんも奈津子の眠る姿を見ると、やがて「エイトマン」の歌を歌い出すのでした。

 雑多なエネルギ-が登場人物から感じられる、いつもの魅力的な“森崎映画”でした。

→「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/