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長岡弘樹『教場』

2014-08-08 09:36:00 | ノンジャンル
 朝日新聞の特集記事で、池上冬樹さんが推薦していた、長岡弘樹さんの'13年作品『教場』を読みました。警察学校を舞台にした6つのエピソードとエピローグからなる本です。
 「第一話 職質」では、宮坂は以前警官に命を助けてもらったことから警官になるべく、警察学校に入学する。命の恩人の息子である平田は警察学校職務質問の実習でヘマをし、宮坂は彼を庇うため、わざとそれを上回るようなヘマをする。しかし、それで自信と気力を失った平田は宮田を道連れにして毒ガス自殺しようと企てるが、担任の風間にそれを阻止されるのだった。
 「第二話 牢問」では、婚約者をひき逃げした犯人を捕まえるため、警察学校に入った楠しのぶは、事故の時に目撃していた車を持っている同級生の岸川沙織に脅迫状を出し続けるが、やがてそれを岸川に知られ、立体駐車場に足を挟まれるが、風間から岸川の車が偏光性の塗料が使われていたことを知らされ、自分の過ちを知らされるのだった。
 「第三話 蟻穴」では、水難救助の実習中、私語をしていたことから、稲辺はプールの底に潜らされ、稲辺と話していた鳥羽は、ぎりぎりまで待たされて、耳抜きをする暇なく、稲辺を助けに潜り、鼓膜を傷める。しかし白バイ勤務を希望していた鳥羽はそのことを隠し、かえって聴覚に関する記述を日記に多く書いて、風間に聴覚の異常を知られる。ある夜、自習室に稲辺がいるのを鳥羽は目撃するが、無断外出を疑われた稲辺のアリバイの証言を求められ、自分の日記の内容と矛盾することから証言を拒否し、稲辺は教師の暴力に晒される。それ以来鳥羽と口もきかず目も合わせない稲辺だったが、数日後蟻を集めているところに鳥羽が声をかけると、何もなかったように受け入れてくれた。そして射撃訓練場に稲辺と入った鳥羽は、稲辺からもらったイヤープロテクターを耳に入れると、そこには瞬間接着剤が塗ってあり、その内側には蟻が仕込まれていて、鳥羽の鼓膜を喰い破るのだった。
 「第四話 調達」では、元プロボクサーの日下部は、学科の点数ほしさに、同級生に様々なものを調達して儲けている樫村を脅して、過去の授業の情報を教えてもらい、授業中、ガス漏れの現場で発火する可能性のあるものを次々と列挙していくが、それが元で小火(ぼや)の犯人に仕立て上げられてしまう。そして樫村が先輩が覚醒剤を炙っていて小火を起こした罪を、その先輩から金をもらって日下部に押し付けたことを知るのだった。
 「第五話 異物」では、車の運転には自信があった由良が、パトカーの実習中に、過去に刺されたことのあるスズメバチがパトカーの中にいたことで動転し、風間を轢いてしまう。由良はそれが同級の安岡のせいだと考えるが、やがて風間から教わり、講師が髪につけていたヘアフォームの匂いにつられてスズメバチがパトカーの中に入ってきたことを知るのだった。
 「第六話 背水」では、学科では優秀な成績だった都築は、卒業を控えて総代になれるかどうか、気に病んでいる。風間からは「これまで自分を追い込む経験を積めなかった者は第一線では使い物にならない。卒業までに私を納得させるものを見せろ」と言われる。都築はこれから受ける拳銃検定と職質コンテストの両方で優勝することをあらかじめ卒業文集に書いて退路を断ち、それを実現することで、風間の要求に答えるのだった。
 「エピローグ」」では、警察学校の新たな生徒たちを前に、彼らの浮き足立つ気持を押さえるため、風間は、過去に職質中に千枚通しを顔に突きつけられたとして、自らの義眼を見せ、また警官にいろいろ文句があると言ってきた生徒には、頬がひとりでに緩むのを抑えきれなかったのだった。

 第四話までは後味の悪い話ばかりで、それ以降もこれと言って惹きつけられる話はありませんでした。

→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/