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斎藤美奈子さんのコラム・その2

2016-05-11 11:57:00 | ノンジャンル
 水曜日の東京新聞に掲載されている、斎藤美奈子さんのコラム「本音のコラム」を以前にも紹介させていただきましたが、今後も転載させていただきたいと思います。今回はその第二弾。
 2月17日に掲載された、「泥沼化の背景」と題されたコラム。
「日朝関係の泥沼化が止まらない。北朝鮮が『事実上の長距離弾道ミサイル』を発射(7日)。日本政府は独自の制裁を行うと決定し(10日)、北朝鮮は日本人不明者の調査の全面中止と『特別調査委員会』の解体を発表した(12日)。
 日朝関係や拉致問題には釈然としない思いを抱きつつも、解決への妙案も浮かばず、深くかかわりたくないと考えている人が多いのではないか。各紙の社説も奥歯に物が挟まった感じである。
だが、拉致問題をこじらせたのは安倍政権の明らかな失策だ。昨年12月に出版された『拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々』(講談社)を読めば、それがはっきりわかる。著者は2002年に帰国した蓮池薫さんの兄さんで、かつて『家族会』の事務局長だった蓮池透さん。
 本書で彼は拉致問題が右翼的な政治家に利用された過去を反省し、小泉政権下で当時の安倍官房副長官や中山恭子内閣参謀参与がいかに不誠実だったかを暴き、ステレオタイプな北朝鮮批判報道を垂れ流すマスコミを批判する。『蓮池兄』のイメージが逆転すると同時に、解決への道筋が見える良書。事態が悪化した原因が、はじめてクリアに理解できた。
 各国がロケットと呼ぶ物体を『事実上の長距離弾道ミサイル』と表現する理由は何か。日本のメディアも少しは反省してほしい」
 また2月24日に掲載された、「国歌の包囲網」と題されたコラム。
「卒業式や入学式で国歌を斉唱しない国立大学が意外に多いことを本紙20日の特報面が報じていた。文部科学省の調べでは、全86の国立大学中、2013年度の卒業式で国歌を斉唱または演奏したのは13校。単純計算では15%である。
 一方、小中高校の国家斉唱率はほぼ100%である。文科省が『国旗及び国歌に関する適切な指導』の周知徹底を図ってきた結果だろう。ただ歌わせろというだけではない。『式次第に“国歌斉唱”と記載する』『司会者が“国歌斉唱”と発声し、起立を促す』などの細かい実施指針を文科省は示す。改定教育基本法に基づく学習指導要領も周到で、小学校の学習指導要領では『いずれの学年においても歌えるよう指導すること』を求め、音楽の授業で徹底指導。低学年では親しみをもたせ、高学年では国歌の大切さも教えろという。
 まるで教育勅語だ。ジミ・ヘンドリックスはアメリカ合衆国国歌『星条旗』をロックギターで演奏してみせたけど、ロック調にアレンジした『君が代』を式で歌うのはペケでしょうね。右翼の街宣車が流す『君が代行進曲』はOKなの?
 大学は自主判断に任されているものの、自民党の改憲草案には『日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない』という順守義務が新設された。拒否したら憲法違反 !? ろくでもない時代である」
 また3月3日に掲載された、「ひな人形の教訓」と題されたコラム。
「保守派が『ジェンダーフリー教育』を激しく中傷していた時期がある。2002年から3年にかけてのころだ。彼らがいうには『男らしさ、女らしさを否定するジェンダーフリー教育は、桃の節句のひな人形も、端午の節句の鯉のぼりも排斥しろといっている』
 調べてみると『ひな人形と鯉のぼり』は文部科学省の委嘱事業として発行された薄い冊子に載っていた事例だった。男女差を強調する教育への疑問が過剰で、的外れな反発を招いたらしい。
 そんな騒動の中、評論家の樋口恵子さんがテレビで語っていた話が忘れられない。ひな人形が私は大好きと樋口さんはおっしゃった。最上段のお内裏様は男女が対等に並び、二段目は働く女性、三段目は音楽を奏でる少年、成人男性の大臣はその下。男女平等かつ民主的で大変よろしい。いわれれば、たしかに!
 今日、立派なひな人形は家庭から消え、全国の古い町々に結集。この時期には『町屋のひなめぐり』などの形で公開される。娘たちが独立し、古い人形をもてあました家庭から寄贈された結果だろう。背景にあるのは住宅事情に加えて、少子化、過疎化の波。五月になると川面にはためく鯉のぼりの集団も同じ構図だ。
 時代が変われば行事も変わる。桃の節句は女の子の人権を考える日にしたらどうだろう。三月八日の国際女性デーとセットで」

 どれも読みごたえのあるコラムでした。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/