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斎藤美奈子さんのコラム・その3

2016-05-22 13:29:00 | ノンジャンル
 ウィリアム・ケントリッジ演出、メトロポリタン・オペラによるショスタコーヴィッチの『鼻』をWOWOWライブで見ました。不協和音をそらで歌えること自体に驚きましたし、ケントリッジのドローイング・アニメーションは戦後のチェコのアニメやロシア・アヴァンギャルドを想起させ、大変楽しませてくれました。

 さて、水曜日の東京新聞に掲載されている、斎藤美奈子さんのコラム「本音のコラム」の第三弾。
 まず、3月30日に掲載された、「泥沼化の背景」と題されたコラム。
「29日、安保関連法が施行された。これで日本も米国を中心とした西側軍事同盟の一員。テロの標的にされる条件が整ったわけである。
 同じ29日の紙面は、伊勢志摩サミットを控え、警視庁がテロに備えた大々的な訓練を行ったとも報じられたけど、一方で燃料を投下しておいて、一方で消火訓練をやっているようなむなしさを感じる。
 今年、防衛大学校では卒業生419人のうち1割以上の47人が任官を拒否した。25人だった昨年の約2倍。高校新卒者を中心とした一般候補生の応募者数も前年度比で2割減の約2万5千人。5万人超の応募があった2011年度に比べると半減という。
 安保関連法とは関係ない? んなわけないでしょ。仮に本人が入隊を希望しても、私が家族か恋人だったら全力で止めるよ。『今までとは状況が違うんだから』と。
 『週刊女性』最新号が『息子よ! 死にたもうことなかれ』と題して、自衛官の父に取材している。『息子が、同意もしていない海外での交戦に参加するのか。冗談ではないと思いました』
 こうして政府は自衛隊員の家族を敵に回す。防衛大の卒業式で首相がその使命を懸命にアピールしても、壇蜜さんを『リクルート隊長』に任命しても、自衛官の応募者は増えないだろう。自分で自分の首を絞めたんだからね。」
 次に、4月13日に掲載された、「一発逆転の秘策」と題されたコラム。
「7月に想定される参院選。野党共闘への模索が続くが、実際のところ安倍自民党に勝てる見込みはあるのだろうか。
 憂鬱になりそうな気分のなかで、起死回生ともいうべき本を見つけた。松尾匡『この経済政策が民主主義を救う』(大月書店)。副題は『安倍政権に勝てる対案』だ。
 安保法制も改憲も問題だけど、人々が求めているのは景気と福祉だ。対抗勢力はそこがわかってない。個別の案件では反対者が多いのに安倍政権の支持率が落ちないのはなぜか。人々が不況に戻るのを恐れているからだと松尾さんはいう。
 金融緩和と財政出動を含むアベノミクスがクルーグマン氏、スティグリッツ氏、ピケティ氏といった世界的に著名な左派の経済学者に評価されたのは、(意外にも)それが左派的な政策だったからである。よって野党が勝つには『こんなものでは足りない』『もっと好景気を実現します』『日銀マネーを福祉・医療・教育・子育て支援にどんどんつぎこみます』というスローガンを掲げる以外に方法はない!
 英労働党の党首選でコービン氏が勝ったのも、米大統領選の民主党候補者指名争いでサンダース氏が躍進したのも、庶民に手厚い政策ゆえだった。『祈るような気持ちでこの本を出します』と松尾さん。私も祈るような気持ちで野党議員に本書を読んでほしいと願う。」
 3番目に、4月20日に掲載された、「止めない理由」と題されたコラム。
「川内原発、なぜ止めないの? 熊本地震の震源域は拡大しており、気象庁は『先は見通せない』と、日本地震学会の会長は『断層帯の南西にも注意が必要』と述べているのだ。『念のため』でも『点検のため』でも、原発に賛成でも反対でも、ふつう止めない?
 14日の前震は熊本県益城町で最大加速度1580ガルを記録しており、川内原発の基準地震動820ガルを上回っている。政府、原子力規制委員会、九州電力、地元の薩摩川内市か鹿児島県、どこかが『万一に備えて川内原発は1日運転を停止したい』と要請すれば事態は動くのではないか。
 そうしないのは、よほど停止してはいけない理由があるのだろう。
 規制委の田中俊一委員長は『不確実性があることも踏まえて評価しており』『懸念がある場合は止めることができるが、今のところ科学的根拠がない』と述べた。が、背後には関係者のさまざまな思惑を感じる。
 やっと再稼働にこぎ着けたのに、そう簡単に止められるかという意地。ここで止めたら二度と稼働できなくなるという不安。危機を乗り切れば日本の原発の安全性が立証できるという期待。停止を求める声に屈したら負けだという面子。停止に伴うリスクを負いたくないという自己保身。先の戦争を止められなかった理由と同じだ。こうして人災は繰り返されるのである。」

 夏の参院選が近づいている今、特に2番目のコラムには教えられることが多かったと思います。野党のマニフェストの第一に経済政策を掲げてくれることを私も祈りたいと思います。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto/