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黒沢清監督『予兆・散歩する侵略者』第一話

2018-06-01 07:00:00 | ノンジャンル
 WOWOWプライムで、黒沢清監督、高橋洋・黒沢清共同脚本の’17年作品『予兆・散歩する侵略者』第一話を見ました。
 帰宅するエツコ。玄関にタツオの靴。エツコ「もう帰ってたんだ」タツオ「うん」。タツオはベランダで何かをじっと見ている。エツコ「洗濯物を取り込んどいて」タツオ「うん」。キッチンに立つエツコ。「何を見てたの?」「風に当たっていただけ」。エツコの独白「それは、ほんのちょっとの違和感から始まった」。
 エツコの働く梱包作業所。エツコの同僚「エツコ、どうしたの?」「え?」「ずっと何かを見つめていたみたいだけど」「ちょっと気になって」「気になるんなら、もうしばらくそうしてれば」。(中略)カメラ、ゆるゆるとパンをし始める。遠くに見えるドアに女の影が現れる。エツコ「ミユキ、どうしたの? 今日は非番じゃないの?」ミユキ「今日、エツコさんちに泊まらせてくれない?」「どうしたの?」「怖いの。幽霊が。これまでそんなもの見たことなかった」「どんな感じなの?」「見た目は普通の人。でも私、どっかで会ったことがあるようで怖いの。その人、普通に私のそばにいるし」。
 エツコの家。ミユキが来ている。タツオ帰宅。「俺、外で食べて来たから夕食はいい」。タツオを見て目を見開いて恐怖に震えるミユキ。エツコ「……ここに泊まるなら、ミユキの家に電話しとこうか?」「電話なんかしないで。今の男の人みたいなの、ここにもいるんですね」。エツコ「……」。
 翌日、ミユキとエツコはミユキの家へ。エツコ「じゃあ、私が見てくる」。(中略)チャイムを鳴らすエツコ。出てくるミユキの父。エツコ「はじめまして。ミユキさんの同僚の者ですが(中略)」。隠れていたミユキを父が見つけると、ミユキは「ヒッ!」と言って逃げ出す。
 ミユキの家の中。父「もう一週間になりますか。ずっとあんな感じで。最初はよそよそしく、今では化け物を見たかのように無視するようになって」。隣の部屋と今ミユキの父とエツコがいる部屋を仕切っているカーテンを、エツコが開ける。隣の部屋にいたミユキ、父を見てまた「ヒッ!」と言って逃げ出す。父「あの子に手を上げたことは一度もない。母親が死んで10年。大切に育ててきたのに……」。
 病院の待合室に一人座っているエツコ。そこにタツオが来る。エツコ「こないだの子、心療内科の小堀先生に診せに来たの」(中略)。タツオが去り、一人になり、ソファに座るエツコ。カメラはエツコの前にある鏡に映るエツコの姿からゆるゆると360度パンして、また鏡の中のエツコの姿を捕える。ドン、と鏡が揺れる。そしてドン、ドン、ドンと揺れ始め、「これなんなの?」とエツコが言うと鏡が止まる。おそるおそる鏡を触るエツコ。またゆるゆるとカメラが左へパン。遠くの自動ドアが誰もいないのに開く。そこに現われた若い医師は、エツコの前に来て止まる。再びタツオが現れる。タツオ「あっ、これ俺の奥さん」エツコ「はじめまして。山際エツコです」若い医師「第一外科の真壁です」(中略)真壁去る。
 小堀医師、エツコに「問診をしましたが、お父さんが分からなくなっています。お母さんも。妹さんも。つまり家族それ自体が分からなくなっています。健忘症の一種なのかもしれませんが、家族という概念というかイメージというか、そういうものが抜け落ちてしまっている。何か心当たりはありませんか?」。そこにミユキの父が現れる。小堀医師「症状を確認しておきたかったので、お呼びしました。まもなくお目覚めです」。父、ミユキの枕元に坐り、「ミユキ、ミユキ」と声をかける。目が覚めたミユキは父の姿を見ると、ベッドから飛び起きて、部屋の隅まで逃げ、「こっちに来ないで!」と叫ぶ。
 エツコの職場。エツコ「ミユキ、入院したわ。家族の概念が抜け落ちてしまっているんだって」同僚「それってパソコンが急に文字化けするような?」。
 タツオ帰宅。「オペが早く終わってね。大変だったね。今日」「手の施しようがないみたい。一つ聞いてもいい?」「うん」「真壁さんてどんな人?」「まだ病院に慣れていないから、俺がいろいろ教えてあげてるんだ」「あの人、なんかおかしい」「ミユキさんのことで気が立っているだけだよ」「お皿一枚取って」「ああ」。タツオ、サラを落として割る。左手だけで皿のカケラを拾うタツオ。「右手どうしたの?」「別に。じゃあ捨ててくるよ」と割れた皿の入ったレジ袋を持って出かける。
 ダブルベッドで眠るタツオ。エツコは一人起きだしてタツオの右手を触ろうとするが、タツオは右手を固く握っていて、エツコが触るとビクッと動く。
「世界中が豪雨に襲われています」。ハッとして夢から目覚めるエツコ。タツオはベッドにいない。ベランダに立つタツオ。エツコ「何?」タツオ「もうすぐ世界が終わるとしたら、どうする?」「え?」。(第二話に続きます……)

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