恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。
まず12月4日に掲載された「桜の新語・流行語」と題された斎藤さんのコラム。その全文を転載させていただくと、
「【前夜祭】公職選挙法または政治資金規正法のどちらかに抵触する可能性のある危険な宴会
【ニューオータニ】お一人様五千円の格安価格でパーティを請け負うこともできる都内の一流ホテル。主催者にかわって領収書を出す等の特異なサービスも話題。
【首相枠】税金を用いた宴席などで首相(夫人を含む)が差配できる招待客の数。伸縮性に優れ一千のキャパシティーを三千や五千に拡張することも可能。別名「60」。
【反社会的勢力のみな様】税金を用いた宴席などで「出席は把握していなかったが結果的には入った」人々が指す敬称。
【招待状】マルチ商法のツールとしても利用できる便利グッズ。
【招待者名簿】絶対に漏らしてはならない第一級の国家機密。
【シュレッダー】書類の廃棄処分または証拠隠滅の際に用いられる細断機。内閣府では順番待ちの人気機種だが、野党からの資料請求があった直後は優先的に使用可。
【復元不可能】「データの復元はできてもしない」「復元されたらマジヤバイ」の婉曲(えんきょく)表現。
【シンクライアント】データの復元は不可能と強弁しようとして、逆に墓穴を掘った方式。
【丁寧な説明】同じ紙を何度も読むこと。
これで幕引きなんて冗談でしょう。世論が味方だ。今はワンチームで頑張れ野党、負けるなメディア。」
そして12月1日に掲載された「官邸記者の変化」と題された前川さんのコラム。
「官邸記者の姿勢が前向きに変化してきた。
11月15日の安倍晋三首相への声かけ。「桜を見る会について国会で説明する考えは?」との問いに、安倍氏は「国会から求められれば説明するのは当然」と答えて立ち去ったが、その背中に「集中審議に応じる考えは?」と記者の声が飛んだ。数秒の躊躇(ちゅうちょ)ののち、安倍氏は戻ってきて、また「国会が決めれば説明を果たすのは当然」と答え、「よろしいですか」と立ち去ろうとした。そこへさらに「公職選挙法や政治資金規正法の違反の疑いについては?」と声がかかった。安倍氏は再び戻って「事務所で対応していると聞いている」と答えた。
同28日の菅義偉官房長官会見。記者「名簿管理のデータを復元する考えは?」。菅氏「復元することはできないと聞いている」。記者「復元できないのは技術的にかルール上か」。菅氏「技術的にかルール的にか承知していない」。さらに記者「技術的に復元できるか検討もしないのか」。菅氏「復元できないと聞いている」(これは答えになっていない)。東京新聞望月衣塑子記者の孤軍奮闘だった会見の場が明らかに変わってきた。
官邸記者諸君、頑張ってくれ。首相や官房長官に鋭い質問をぶつけてくれ。国会に出てこない安倍首相を国民に代わって追及できるのは、君たちしかいなにのだから。」
さらに12月8日に掲載された「PISA2018」と題された前川さんのコラム。
「OECDが15歳児を対象に3年ごとに行う国際学力調査PISA。2018年度の結果が出た。OECD加盟37カ国中、数学は一位、科学は二位だが、読解力が十一位だった。「ピザ・ショック」といわれた03年の十二位に次ぐ低順位だ。文部科学省は、その理由としてコンピューター仕様の導入を挙げるが…。
日本の順位が過去最も高かったのは12年の調査だ。読解力一位、科学一位、数学二位。おかげで、当時初等教育局長だった僕は「学力低下批判」を浴びずに済んだ。「脱ゆとり教育」の成果とも言われたが、それは違う。12年調査の対象者は、小一から中三まで授業時数が最も少ない「ゆとり教育」(02-━11年)を受けた世代なのだ。むしろ18年調査の対象者こそ、授業時数を大幅に増やした「脱ゆとり教育」の世代だ。だから、読解力は「ゆとり教育」で上がり「脱ゆとり教育」で下がったとも言える。
しかし、そもそも読解力テストは文化バイアスが大きく出る。18年の成績低下は、単に問題文が日本の生徒になじみのない内容だったからかもしれないのだ。三年後には成績急上昇ということもありうる。要は、三年スパンで上がった下がったと一喜一憂しないことだ。少なくとも「授業時数をもっと増やせ」などという暴論が暴走しないよう気をつけよう。」
どれも一読に値する文章だと思いました。
→サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
まず12月4日に掲載された「桜の新語・流行語」と題された斎藤さんのコラム。その全文を転載させていただくと、
「【前夜祭】公職選挙法または政治資金規正法のどちらかに抵触する可能性のある危険な宴会
【ニューオータニ】お一人様五千円の格安価格でパーティを請け負うこともできる都内の一流ホテル。主催者にかわって領収書を出す等の特異なサービスも話題。
【首相枠】税金を用いた宴席などで首相(夫人を含む)が差配できる招待客の数。伸縮性に優れ一千のキャパシティーを三千や五千に拡張することも可能。別名「60」。
【反社会的勢力のみな様】税金を用いた宴席などで「出席は把握していなかったが結果的には入った」人々が指す敬称。
【招待状】マルチ商法のツールとしても利用できる便利グッズ。
【招待者名簿】絶対に漏らしてはならない第一級の国家機密。
【シュレッダー】書類の廃棄処分または証拠隠滅の際に用いられる細断機。内閣府では順番待ちの人気機種だが、野党からの資料請求があった直後は優先的に使用可。
【復元不可能】「データの復元はできてもしない」「復元されたらマジヤバイ」の婉曲(えんきょく)表現。
【シンクライアント】データの復元は不可能と強弁しようとして、逆に墓穴を掘った方式。
【丁寧な説明】同じ紙を何度も読むこと。
これで幕引きなんて冗談でしょう。世論が味方だ。今はワンチームで頑張れ野党、負けるなメディア。」
そして12月1日に掲載された「官邸記者の変化」と題された前川さんのコラム。
「官邸記者の姿勢が前向きに変化してきた。
11月15日の安倍晋三首相への声かけ。「桜を見る会について国会で説明する考えは?」との問いに、安倍氏は「国会から求められれば説明するのは当然」と答えて立ち去ったが、その背中に「集中審議に応じる考えは?」と記者の声が飛んだ。数秒の躊躇(ちゅうちょ)ののち、安倍氏は戻ってきて、また「国会が決めれば説明を果たすのは当然」と答え、「よろしいですか」と立ち去ろうとした。そこへさらに「公職選挙法や政治資金規正法の違反の疑いについては?」と声がかかった。安倍氏は再び戻って「事務所で対応していると聞いている」と答えた。
同28日の菅義偉官房長官会見。記者「名簿管理のデータを復元する考えは?」。菅氏「復元することはできないと聞いている」。記者「復元できないのは技術的にかルール上か」。菅氏「技術的にかルール的にか承知していない」。さらに記者「技術的に復元できるか検討もしないのか」。菅氏「復元できないと聞いている」(これは答えになっていない)。東京新聞望月衣塑子記者の孤軍奮闘だった会見の場が明らかに変わってきた。
官邸記者諸君、頑張ってくれ。首相や官房長官に鋭い質問をぶつけてくれ。国会に出てこない安倍首相を国民に代わって追及できるのは、君たちしかいなにのだから。」
さらに12月8日に掲載された「PISA2018」と題された前川さんのコラム。
「OECDが15歳児を対象に3年ごとに行う国際学力調査PISA。2018年度の結果が出た。OECD加盟37カ国中、数学は一位、科学は二位だが、読解力が十一位だった。「ピザ・ショック」といわれた03年の十二位に次ぐ低順位だ。文部科学省は、その理由としてコンピューター仕様の導入を挙げるが…。
日本の順位が過去最も高かったのは12年の調査だ。読解力一位、科学一位、数学二位。おかげで、当時初等教育局長だった僕は「学力低下批判」を浴びずに済んだ。「脱ゆとり教育」の成果とも言われたが、それは違う。12年調査の対象者は、小一から中三まで授業時数が最も少ない「ゆとり教育」(02-━11年)を受けた世代なのだ。むしろ18年調査の対象者こそ、授業時数を大幅に増やした「脱ゆとり教育」の世代だ。だから、読解力は「ゆとり教育」で上がり「脱ゆとり教育」で下がったとも言える。
しかし、そもそも読解力テストは文化バイアスが大きく出る。18年の成績低下は、単に問題文が日本の生徒になじみのない内容だったからかもしれないのだ。三年後には成績急上昇ということもありうる。要は、三年スパンで上がった下がったと一喜一憂しないことだ。少なくとも「授業時数をもっと増やせ」などという暴論が暴走しないよう気をつけよう。」
どれも一読に値する文章だと思いました。
→サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)