昨日はミシェル・ルグランの誕生日でした。私の母と同い歳で、昨年享年87歳で亡くなられましたが、彼がジャック・ドゥミと作り上げた数々の名曲を私たちはいつまでも忘れません。
さて、山田宏一さんの2016年作品『ハワード・ホークス映画読本』を読みました。「あとがきに代えて 映画的な、あまりに映画的な━━━To the happy few」を転載させていただくと、
「今年(2016年)はハワード・ホークス生誕百二十年にあたるということもあって、これまで(1970年代の半ばから)機会があるごとにいろいろな媒体にハワード・ホークスの映画について私なりの想いを綴ってきた文章を中心に集めてみました。このような形にまとまったのは、ひとえに本書の企画者であり編集者でもある国書刊行会の樽本周馬氏のお力添えによるものです。同じ映画、同じスター、同じシーン、同じ身振り、同じせりふなどを思い出とともに(というよりも体験的に)何度もくりかえし、しつこく語ったり書いたりしているのは、それだけ私の想いがそこにこめられているからです。映画ならではのおもしろさが忘れられず、味わい深く何度も何度も、反芻という表現を使いたいくらい、よみがえりつづけるのです。
そもそも、映画ファンというのは、夜ごと同じお伽噺を聞かせてくれないとむずかって寝ない子供のようなもので、語り手がたとえば結末を切り上げたり、些細なエピソードをはしょったりすると、そこは違う、あの話がないといって、それまで何度も聞いて知りつくしているはずの物語を同じようにくりかえし、くりかえし聞きたがるものなのです。そんな単純で気難しい(子供っぽいと言われてもしかたがない)映画ファンをたちまちとりこにして心地よく安らかに眠りに就かせて明日に向かって生きる気力を与えてくれる夢を━━たとえ悪夢でも━━みさせてくれた三大巨匠が、私にとっては、マキノ雅弘とアルフレッド・ヒッチコックとハワード・ホークスなのです。「映画はおもろなきゃあかんでえ」というのが口癖だったマキノ監督、「お伽噺のように何度も何度も語られて誰もが知っている」物語を映画に撮りつづけただけというヒッチコック監督、そして「自分もたのしみ、人もたのしませるために」のみ映画を撮りつづけたというホークス監督。いずれも同じ夢を━━映画ファンの夢を━━最後まで継続させ、ふくらませてくれたリメーク、リピート、くりかえしの名手です。そして、それは映画的な、あまりに映画的なおもしろさなのです。そんな想いを共有できる幸福な少数者に本書を捧げます。」
次に目次を写させていただくと……
第一章 ハワード・ホークスあるいは一目瞭然の映画
1、「レッド・リヴァーD」のバックル、そして友情はつづく
━━『赤い河』『果てしなき蒼空』
2、プロフェッショナルの友情集団
━━「リオ・ブラボー三部作」(『リオ・ブラボー』
『エル・ドラド』『リオ・ロボ』)、
『ハタリ!』
3、友情と戦場━━『永遠の戦場』『今日限りの命』
第二章 ハワード・ホークスあるいは映画のたのしみ
1、男女逆転、退行、倒錯、ハワード・ホークス的スクリューボール・コメディー
━━『特急二十世紀』『モンキー・ビジネス』
『ヒズ・ガール・フライデー』
2、ハワード・ホークス的クレイジー・ジャグ
━━『赤ちゃん教育』『僕は戦争花嫁』
第三章 ハワード・ホークスあるいは映画的美女群
1、ローレン・バコールとハワード・ホークス的「夢の女(ドリーム・ガール)」
━━『三つ数えろ』『コンドル』『男性の好きなスポーツ』
2、ハワード・ホークスとともに━━ローレン・バコール『私一人』より
第四章 ハワード・ホークスあるいは永遠の映画
1、ハワード・ホークス映画祭に向かって、この十二本
━━『無花果の葉』『雲晴れて愛は輝く』『ファジル』
『暁の偵察』『光に叛く者』
『暗黒街の顔役』『群衆の喚呼』『虎鮫(タイガーシャーク)』
『ヨーク軍曹』『教授と美女』『空軍』『ピラミッド』
2、ルイズ・ブルックスのような女━━『港々に女あり』
3、男の花道━━『バーバリ・コースト』
4、飛行士の制服で━━『無限の青空』
5、やさしく愛して━━『大自然の凱歌』
6、ジャズの誕生━━『ヒット・パレード』
7、SFか ホラーか━━『遊星よりの物体X』
8、マリリンの結婚哲学『紳士は金髪がお好き』
そこに映画だけがある━━ハワード・ホークス讃 対談/蓮實重彦
ハワード・ホークス 略歴と作品
あとがきに代えて 映画的な、あまりに映画的な━━To the happy few
となります。
山田さんはこの本を出すことによって、ご自身が認める映画の三大巨匠、マキノ雅弘、ヒッチコック、ホークスに対して、それぞれ『映画渡世』『ヒッチコック映画読本』・『ハワード・ホークス映画読本』と1冊ずつの本を捧げることになりました。とにかく映画的興奮にあふれた、映画ファン必読の書です。
→サイト「Nature Life」(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
→FACEBOOK(https://www.facebook.com/profile.php?id=100005952271135
さて、山田宏一さんの2016年作品『ハワード・ホークス映画読本』を読みました。「あとがきに代えて 映画的な、あまりに映画的な━━━To the happy few」を転載させていただくと、
「今年(2016年)はハワード・ホークス生誕百二十年にあたるということもあって、これまで(1970年代の半ばから)機会があるごとにいろいろな媒体にハワード・ホークスの映画について私なりの想いを綴ってきた文章を中心に集めてみました。このような形にまとまったのは、ひとえに本書の企画者であり編集者でもある国書刊行会の樽本周馬氏のお力添えによるものです。同じ映画、同じスター、同じシーン、同じ身振り、同じせりふなどを思い出とともに(というよりも体験的に)何度もくりかえし、しつこく語ったり書いたりしているのは、それだけ私の想いがそこにこめられているからです。映画ならではのおもしろさが忘れられず、味わい深く何度も何度も、反芻という表現を使いたいくらい、よみがえりつづけるのです。
そもそも、映画ファンというのは、夜ごと同じお伽噺を聞かせてくれないとむずかって寝ない子供のようなもので、語り手がたとえば結末を切り上げたり、些細なエピソードをはしょったりすると、そこは違う、あの話がないといって、それまで何度も聞いて知りつくしているはずの物語を同じようにくりかえし、くりかえし聞きたがるものなのです。そんな単純で気難しい(子供っぽいと言われてもしかたがない)映画ファンをたちまちとりこにして心地よく安らかに眠りに就かせて明日に向かって生きる気力を与えてくれる夢を━━たとえ悪夢でも━━みさせてくれた三大巨匠が、私にとっては、マキノ雅弘とアルフレッド・ヒッチコックとハワード・ホークスなのです。「映画はおもろなきゃあかんでえ」というのが口癖だったマキノ監督、「お伽噺のように何度も何度も語られて誰もが知っている」物語を映画に撮りつづけただけというヒッチコック監督、そして「自分もたのしみ、人もたのしませるために」のみ映画を撮りつづけたというホークス監督。いずれも同じ夢を━━映画ファンの夢を━━最後まで継続させ、ふくらませてくれたリメーク、リピート、くりかえしの名手です。そして、それは映画的な、あまりに映画的なおもしろさなのです。そんな想いを共有できる幸福な少数者に本書を捧げます。」
次に目次を写させていただくと……
第一章 ハワード・ホークスあるいは一目瞭然の映画
1、「レッド・リヴァーD」のバックル、そして友情はつづく
━━『赤い河』『果てしなき蒼空』
2、プロフェッショナルの友情集団
━━「リオ・ブラボー三部作」(『リオ・ブラボー』
『エル・ドラド』『リオ・ロボ』)、
『ハタリ!』
3、友情と戦場━━『永遠の戦場』『今日限りの命』
第二章 ハワード・ホークスあるいは映画のたのしみ
1、男女逆転、退行、倒錯、ハワード・ホークス的スクリューボール・コメディー
━━『特急二十世紀』『モンキー・ビジネス』
『ヒズ・ガール・フライデー』
2、ハワード・ホークス的クレイジー・ジャグ
━━『赤ちゃん教育』『僕は戦争花嫁』
第三章 ハワード・ホークスあるいは映画的美女群
1、ローレン・バコールとハワード・ホークス的「夢の女(ドリーム・ガール)」
━━『三つ数えろ』『コンドル』『男性の好きなスポーツ』
2、ハワード・ホークスとともに━━ローレン・バコール『私一人』より
第四章 ハワード・ホークスあるいは永遠の映画
1、ハワード・ホークス映画祭に向かって、この十二本
━━『無花果の葉』『雲晴れて愛は輝く』『ファジル』
『暁の偵察』『光に叛く者』
『暗黒街の顔役』『群衆の喚呼』『虎鮫(タイガーシャーク)』
『ヨーク軍曹』『教授と美女』『空軍』『ピラミッド』
2、ルイズ・ブルックスのような女━━『港々に女あり』
3、男の花道━━『バーバリ・コースト』
4、飛行士の制服で━━『無限の青空』
5、やさしく愛して━━『大自然の凱歌』
6、ジャズの誕生━━『ヒット・パレード』
7、SFか ホラーか━━『遊星よりの物体X』
8、マリリンの結婚哲学『紳士は金髪がお好き』
そこに映画だけがある━━ハワード・ホークス讃 対談/蓮實重彦
ハワード・ホークス 略歴と作品
あとがきに代えて 映画的な、あまりに映画的な━━To the happy few
となります。
山田さんはこの本を出すことによって、ご自身が認める映画の三大巨匠、マキノ雅弘、ヒッチコック、ホークスに対して、それぞれ『映画渡世』『ヒッチコック映画読本』・『ハワード・ホークス映画読本』と1冊ずつの本を捧げることになりました。とにかく映画的興奮にあふれた、映画ファン必読の書です。
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