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斎藤美奈子さんのコラム・その57&前川喜平さんのコラム・その18

2020-04-28 05:18:00 | ノンジャンル
 恒例となった、東京新聞の水曜日に掲載されている斎藤美奈子さんのコラムと、同じく日曜日に掲載されている前川喜平さんのコラム。

 まず4月8日に掲載された「マジか!の効用」と題された、斎藤さんのコラムを全文転載させていただくと、
「このところ、日本中から連日「マジか!」の声が聞こえてくる。
 「新型コロナウイルス感染症対策として、和牛商品券を配ります」
 マジか! お肉券より日本銀行券だろう。
 「全世帯に二枚ずつ布マスクを配布します」
 マジか! あんたはアベノマスクかい。
 こうした声に対し、いまは国難なんだから政府の批判や牽制(けんせい)は控えろという人たちがいる。
 それ、話が逆だから。
 第一に私たちは主権者なのだ。口を出すのは当たり前である。第二にこんな時だからこそ知恵を結集する必要がある。おかしな策に対しては「マジか!」といってやったほうがいいのである。
 現に「マジか!」の連呼で和牛商品券は立ち消えた。布マスク二枚案は決行の由だが、現物支給じゃ納得しないと高官は気づいたのだろう。
 「自粛を要請するなら補償とセットだろ」コールでさすがの政府も重い腰を一応上げた。無策な政府に仕事をさせるには市民の批判と外部のプロの提案が必須。黙っていたらどうなることか。
 「マジか!」の局面はまだ続く。検査のハードルは相変わらず高い。三十万円給付の内実はトホホだし、三十九兆円の財政支出も中身は不透明。行動は自粛してもだめだ。緊急事態宣言の発令を歓迎している場合じゃない。ひるまず「マジか!」を続けよう。」

 また4月15日に掲載された、「添削すれば」と題された斎藤さんのコラム。
「その動画は国民の神経を完全に逆撫(さかな)でした。
 この動画の問題点は、出演者がソファでコーヒーを飲む、犬を抱く、本を読むふりをする、そんなことしかしていない点だ。星野源さんの動画に寄せられた他のコラボ作品はみんな仕事をしている。歌う、踊る、伴奏を入れる、体操する、コントをする。あなたはあなたの仕事をなさい。
 家での行動がノンキすぎるのも問題だ。料理をする、掃除をする、洗濯物を干す。家の用事は多様である。生活のイメージが貧困なのだろう。
 なお、文字のメッセージは間違いが多いので添削しておきたい。
「友達と会えない。飲み会もできない。ただ、皆さんのこうした行動によって、多くの命が確実に救われています。そして、今この瞬間も、過酷を極める現場で奮闘して下さっている、医療従事者の皆さんの負担の軽減につながります。お一人お一人のご協力に、心より感謝申し上げます。
 以上が原文。添削後のメッセージはこちら。
 「仕事に行けない。家賃も払えない。ただ、皆さんのこうした犠牲によって、国の財政は確実に守られます。そして、今この瞬間も、過酷を極める現場で奮闘して下さっている、医療従事者や国民の皆さんを助けたくない私どもの負担の軽減につながります。お一人お一人のご協力に、心より感謝申し上げます」

 そして4月12日に掲載された、「教育の補償」と題された前川さんのコラム。
「今学校は、休校と再開のはざまで翻弄(ほんろう)されている。3月24日文科省は、学校再開に向けた指針を通知。26日には都教委も、時差通学や分散登校など学校再開の指針を示した。ところが4月1日、政府専門家会議の見解が出ると、文科省は感染拡大警戒地域での一斉休校も検討すべきと指針を改訂。都教委は学校再開の方針を撤回したて、島嶼(とうしょ)部を除く都立学校の休校延長を決定。さらに緊急事態宣言後の9日には、休校を島嶼部にも広げ、登校日を設定しない方針も決めた。
 学校の休校は、学習権という人権の保障に関わる。休校の感染拡大防止効果と休校で奪われる教育機会のどちらが大きいか、厳密に比較衡量すべきだ。地域によって状況は違う。徒歩通学の小学生と電車通学の高校生では感染リスクも違う。
 学校の休校は、民間事業者の休業に比べて安易に扱われる傾向がある。事業者への休業補償の問題が生じないからだ。しかし休校には、子どもたちへの「教育の補償」という大きな問題がある。
 休校中も漫然と子どもを放置すべきではない。少なくとも登校日は設けるべきだ。オンライン授業の環境が未整備の中、文科省が言うように電話の活用を考えていい。子どもの一日は大人の一月にも匹敵する。一日一日が大切な学びと育ちの時間なのだということを忘れてはならない。」

 どれも一読に値する文章だと思いました