gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

椎名誠『水域』

2008-09-05 18:58:53 | ノンジャンル
 高野秀行さんが推薦する、椎名誠さんの'90年の作品「水域」を読みました。
 油にまみれた海を、小屋が建つ筏で行くハルは、海上で出会った老人から双眼鏡を買い、やがて巨大なホテルに行きつきます。ホテルには山羊髭の男がいて、ハルをもてなしてくれ、階下の穴で飼っている魚の世話を手伝わないかと言いますが、ハルは断り、ボウガンを買って再び旅に出ます。酸性で水棲生物の住まない滞留水域に入ってしまい、自力で漕いでいくと、ウゾー教徒の死人船に乗る男と出会い、ががいも酒を振舞われますが、酔って寝ている間に男はハルの船と共に消えてしまいます。ハルの手許にはボウガンと11本の矢とわずかな品があるだけでした。わずかな食糧と水で生き長らえるうちに、風が霧を飛ばし、船は自力で進み始め、巨大な流木からなる島に行き当たりますが、ハルの船は壊れてしまいます。そこには多くの生物とふんだんな水があり、ハルは快適に暮らし始めますが、沼で巨大な生物に襲われているところを、前から住んでいたズーという女に助けられ、共に生活し始めます。ズーは以前島に大地震が襲った前に見た雲が現れていることに気付き、2人は筏を作って島を脱出しますが、翌日強い潮流に流されて、また島に戻されてしまいます。2人は島に上がり眠ってしまいますが、夜になって目覚めると、島から流れ出す潮流で筏が流れ出し始めていました。ハルが海に飛び込んで筏に上がり、島に上げていたものと共に飛び込んだズーを助け上げますが、ハルは昼と夜とは潮流が逆向きになることに気付き、2人は一睡もせず櫓を漕ぎ続けた結果、やっと島の潮流の外に出て、死んだように眠り、それ以降は快適な航海を続けました。しかし、浮島に潜む者たちによって、唐突にズーが殺され、ハルはボウガンで何人かを倒し、残りの者も流木島の潮流から逃れて以来付いて来ていた巨大な怪魚によって倒されます。ハルは生きる希望を失いますが、怪魚が旅を続けるようにハルの心に語りかけ、また旅を続けた結果、砂浜に打ち上げられます。ハルは少年と出会い、彼に言葉を教えながら、次の船出を夢見るのでした。
 次々と起こる出来事が面白く、一気に読んでしまいましたが、ズーの唐突な死には裏切られた思いがしました。上のあらすじ以外にも味わい深いエピソードがごまんと盛り込まれていて、ロールプレイングゲームのようでした。多く出て来る生物の名前も面白く、ダマシグサ、ネッコダマ、アキガレモ、ツノマワシ、サキヌマドクタラシ、ばかあたま、などなど、それ自体がギャグになっているようで楽しめました。初めて読んだ椎名さんの作品「武装島田倉庫」よりも数段面白かったと思います。冒険ものが好きな方にはオススメです。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿