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島津法樹『魔境アジアお宝探索記』

2008-09-06 18:52:07 | ノンジャンル
 高野秀行さんが推薦していた、島津法樹さんの「魔境アジアお宝探索記」を読みました。骨董屋の島津さんが東南アジアで遺跡の出土品を買い集める話です。
 マニラのガラクタ屋で見つけた14世紀スコータイ窯の鉄絵魚文盤をたった500ドルで手にいれた話、フィリピンの田舎での高床式の家で、床下に豚や鶏、犬を飼っており、夜になると現れる大トカゲから犬が豚と鶏を守り、人の食べ残しを豚がきれいに食べ、その糞や寝わらなどは前の菜園の肥料になるという自給自足生活がなりたっている話、そこで使われていた鶏小屋の鉢が南宋時代の龍泉窯の名品で、それを250円で手に入れた話、ラオスの山岳地帯のジャングルの中の村まで行き、出土品を買う話、服がボロボロで半身がケロイドの少年が今なら手術すれば治ると聞き、父が残してくれた品を売るというので5万バーツで買ってやったところ、数年後一流のオークションでバイヤーになっていたのを見た話、黄金の仏像を手に入れようとした盗賊が像の前に隠されていた落とし穴にはまり、苦しんだ上死んだ話、ラマダンでも隠れて日中に食事するインドネシアのイスラム教徒たちの話などなど、面白い話がてんこ盛りです。
 著者によると、東南アジアには四大文明よりも古い東南アジア古代文明というものが存在し、その文明の出土品がこの本では多く出てきます。私は今までこのような文明があることを知らなかったので、とても興味深く読ませてもらいました。
 また出土品のためなら、少々危険なところにも出かけ、盗賊とも知り合いになり、反政府ゲリラとも交わり、地元の人間も踏み込んだことのないジャングルの中の山岳民族の村を目指して行くなど、高野秀行さんにも匹敵する冒険者ぶりには驚きました。文章もただの骨董屋さんとは思えないうまさです。
 そして出土品の写真も多く載っているのですが、中にはこれのどこが価値があるのだろうと思ってしまう、幼稚な造型物もあり(著者はそれを発見して狂喜していたりするのですが)、どう見てもカメの形をしたオモチャとしか思えないようなものが出てきたりして、骨董の世界の深淵さに触れた気がしました。
 冒険ものとしても、東南アジア古代文明の書籍としても読みごたえ十分でした。オススメです。

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