恒例となった、朝日新聞の木曜日のコラム「福岡伸一の動的平衡」の第6弾。
まず、7月26日に掲載された「スマホの文字 脳に緊張?」と題されたコラム。その全文を引用させていただくと、
「文章を読むとき、特に長い小説や込み入った論考の場合、紙に印刷された活字の方が安心して読めるし、その方が頭によく入ってくる。しかし最近は科学論文もほとんど電子化されていて、発表も、保管も、検索も格段に便利なのは確かなのだが、読むことに関してだけは紙の上で読みたい。だから私はめんどうだが電子ファイルをいちいち紙にプリントアウトしている。新聞も本も紙の方が好きだ。
これは、我ら年寄り世代の古い哀愁にすぎないのだろうか。必ずしもそうではない。生物の視覚は動くものに敏感だ。それは敵あるいは獲物かもしれない。反射的にすぐ行動必要がある。身体も緊張体制に入る。一方、じっくり観察し、分析し、思索を深めるためには、対象物が止まっている必要がある。動き続けているもの、絶え間なく変化するものをずっと見続けることはできない。
コンピューターやスマホの画面の文字は、止まっているようでいて実はたえず動いている。電気的な処理でピクセルを高速で明滅させているから、文字や画像はいつも細かくは震えているのだ。このサブリミナルな刺激が、脳に不要な緊張を強いているのではないか。だから落ち着いて読むことができない。もちろんデジタル・ネイティブの新しい世代はそんなこと気にならないのかもしれないが、生物の特性はそう簡単には変わらないはずだ。」
今回も大変勉強になるコラムでした。特に今回のコラムは、日ごろから私も感じていることだったので「我が意を得たり」という感じでした。今、わたしたちは電気を大量に消費して生きていますが、日本の一般の家庭に電気が普及したのは、電気事業連合会がホームページで公開しているのを見ると、第一次大戦(1914~1918年)から太平洋戦争(1941~1945年)にかけてのことだったらしく、そうすると私たちが電気を日常で使うようになったのはつい100年、もしくはそれ以下ということになります。それまでは朝のご飯は練炭で炊いて作り、レトルト食品もなかった時代なので、料理はすべて前日や数日前に買っておいた食材を使ってその場で作り、昼は腐らないように梅干しが入ったものを作って家族に渡し(まあ外食で済ます人もいたようですが)、今よりはるかに高い値段だったようです)、夜になったらロウソク(それも菜種油は高価だったので、大勢を示す貧乏な家は魚から取れた油(これは臭いがかなり強烈だったようです)で灯りをとり、もちろんテレビはなく、かろうじてラジオを聴きながら、やはり時間を要して作られた夕食を食べ、灯りがもったいないので早めに寝る、という生活を送っていたことになります。人は朝起きて朝日を浴びるとメラトニンというホルモンを分泌し、それが体内時計となって、分泌されてから14~16時間すると眠くなってくるので、電気のない日常を送っていた人は夜になると早めに寝て、朝日の昇る時間あたりにもう起きだしていたのだと思います。人間の生活リズムを司るホルモン、すなわちメラトニン、コルチゾール(これは覚醒ホルモン)、セロトニン(体内時計の調整役)の分泌に関しては、今で人間の身体的システムを考えた場合、100年前と今とではそれほど違いはないと思うので、夜の電灯はなるべく間接照明など、暗めの照明にして夕食を食べるなどの工夫をして早めに寝て、早めに起きるのが健康的な生活なのだと思います。(特に夜にパソコンをいじったり、テレビを見たりして明るい画面を見る習慣をつけてしまうと、メラトニンがまた分泌したりして、生活のリズムが崩れる原因ともなるそうです。)
今の生活から電気をまったく使わないで生活にシフトするのはもう無理ですだと思いますが、電気を上手に利用しながら、健康で質素な生活ができたらいいな、と私は常日頃から思っています。
それから昨今の異常気象の原因となっている二酸化炭素の大量放出(エンジン型自動車、火力発電所などなど)を防いで人類が生き残るためには、水素自動車の導入、風力発電やソーラーパネル、地熱発電や水力発電、潮力発電などを利用して(原子力発電は大量のプルトニウムを生み出すので、それの処分が問題)、二酸化炭素を放出せずに電気を作っていく工夫を今からすぐにやらないと、地球温暖化による人類の滅亡はわりに近くに来るような気がしています。関係省庁、関係会社の方々、是非やるべく早く、それらの実現をめざしてがんばって研究をし、多額の予算を組んで本格的に取り組んでもらいたいと思う今日この頃なのでした。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
P.S 昔、東京都江東区にあった進学塾「早友」の東陽町教室で教室長だった伊藤さん、連絡をください。福長さん黒山さんと首を長くして待っています。また、伊藤さんの近況を知っている方も、以下のメールで情報をお送りください。(m-goto@ceres.dti.ne.jp)
まず、7月26日に掲載された「スマホの文字 脳に緊張?」と題されたコラム。その全文を引用させていただくと、
「文章を読むとき、特に長い小説や込み入った論考の場合、紙に印刷された活字の方が安心して読めるし、その方が頭によく入ってくる。しかし最近は科学論文もほとんど電子化されていて、発表も、保管も、検索も格段に便利なのは確かなのだが、読むことに関してだけは紙の上で読みたい。だから私はめんどうだが電子ファイルをいちいち紙にプリントアウトしている。新聞も本も紙の方が好きだ。
これは、我ら年寄り世代の古い哀愁にすぎないのだろうか。必ずしもそうではない。生物の視覚は動くものに敏感だ。それは敵あるいは獲物かもしれない。反射的にすぐ行動必要がある。身体も緊張体制に入る。一方、じっくり観察し、分析し、思索を深めるためには、対象物が止まっている必要がある。動き続けているもの、絶え間なく変化するものをずっと見続けることはできない。
コンピューターやスマホの画面の文字は、止まっているようでいて実はたえず動いている。電気的な処理でピクセルを高速で明滅させているから、文字や画像はいつも細かくは震えているのだ。このサブリミナルな刺激が、脳に不要な緊張を強いているのではないか。だから落ち着いて読むことができない。もちろんデジタル・ネイティブの新しい世代はそんなこと気にならないのかもしれないが、生物の特性はそう簡単には変わらないはずだ。」
今回も大変勉強になるコラムでした。特に今回のコラムは、日ごろから私も感じていることだったので「我が意を得たり」という感じでした。今、わたしたちは電気を大量に消費して生きていますが、日本の一般の家庭に電気が普及したのは、電気事業連合会がホームページで公開しているのを見ると、第一次大戦(1914~1918年)から太平洋戦争(1941~1945年)にかけてのことだったらしく、そうすると私たちが電気を日常で使うようになったのはつい100年、もしくはそれ以下ということになります。それまでは朝のご飯は練炭で炊いて作り、レトルト食品もなかった時代なので、料理はすべて前日や数日前に買っておいた食材を使ってその場で作り、昼は腐らないように梅干しが入ったものを作って家族に渡し(まあ外食で済ます人もいたようですが)、今よりはるかに高い値段だったようです)、夜になったらロウソク(それも菜種油は高価だったので、大勢を示す貧乏な家は魚から取れた油(これは臭いがかなり強烈だったようです)で灯りをとり、もちろんテレビはなく、かろうじてラジオを聴きながら、やはり時間を要して作られた夕食を食べ、灯りがもったいないので早めに寝る、という生活を送っていたことになります。人は朝起きて朝日を浴びるとメラトニンというホルモンを分泌し、それが体内時計となって、分泌されてから14~16時間すると眠くなってくるので、電気のない日常を送っていた人は夜になると早めに寝て、朝日の昇る時間あたりにもう起きだしていたのだと思います。人間の生活リズムを司るホルモン、すなわちメラトニン、コルチゾール(これは覚醒ホルモン)、セロトニン(体内時計の調整役)の分泌に関しては、今で人間の身体的システムを考えた場合、100年前と今とではそれほど違いはないと思うので、夜の電灯はなるべく間接照明など、暗めの照明にして夕食を食べるなどの工夫をして早めに寝て、早めに起きるのが健康的な生活なのだと思います。(特に夜にパソコンをいじったり、テレビを見たりして明るい画面を見る習慣をつけてしまうと、メラトニンがまた分泌したりして、生活のリズムが崩れる原因ともなるそうです。)
今の生活から電気をまったく使わないで生活にシフトするのはもう無理ですだと思いますが、電気を上手に利用しながら、健康で質素な生活ができたらいいな、と私は常日頃から思っています。
それから昨今の異常気象の原因となっている二酸化炭素の大量放出(エンジン型自動車、火力発電所などなど)を防いで人類が生き残るためには、水素自動車の導入、風力発電やソーラーパネル、地熱発電や水力発電、潮力発電などを利用して(原子力発電は大量のプルトニウムを生み出すので、それの処分が問題)、二酸化炭素を放出せずに電気を作っていく工夫を今からすぐにやらないと、地球温暖化による人類の滅亡はわりに近くに来るような気がしています。関係省庁、関係会社の方々、是非やるべく早く、それらの実現をめざしてがんばって研究をし、多額の予算を組んで本格的に取り組んでもらいたいと思う今日この頃なのでした。
→Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/~m-goto)
P.S 昔、東京都江東区にあった進学塾「早友」の東陽町教室で教室長だった伊藤さん、連絡をください。福長さん黒山さんと首を長くして待っています。また、伊藤さんの近況を知っている方も、以下のメールで情報をお送りください。(m-goto@ceres.dti.ne.jp)
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