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谷崎潤一郎『お才と巳之介』

2011-05-14 08:41:00 | ノンジャンル
 谷崎潤一郎の1915年作品『お才と巳之介』を読みました。
 上州屋の若旦那の巳之介は雇い人の卯三郎に誘われて吉原で夜な夜な散財しますが、容貌が醜く軽率で女に馬鹿にされる一方です。逆に女受けする卯三郎に散々のろけを聞かされ、うんざりした巳之介はもう吉原には行かないと言い出しますが、最近小間使いに来るようになったお才に目をつけていることを卯三郎に見破られます。お才は気立てがいいため、男の雇い人から守るため、店の主人である巳之介の兄から奥の間で針仕事をするように言われ、巳之介はそこへ自由に行ける身分を利用して、増々お才に近づきます。そして親許へお才が帰った時に、以前に彼女を口説くために彼女に渡した手紙の件を持ち出して、彼女に迫り、何とか彼女に自分と付き合うことを承知させます。両国の川開きで二人きりになった時に、お才は巳之介に、二人の付き合いの邪魔となっている巳之介の母を隠居所へ別居させることを持ちかけますが、その際に巳之介は、妹のお露が卯三郎と出来ていることを知ります。無事に母を別居させることに成功した巳之介でしたが、お才に散々貢がされた後、卯三郎とお才が出来ていることをお露に知らされ、一旦はお才を疑いますが、すぐに彼女の一声で騙されてしまいます。やがて全てが兄にばれ、叱言を受けた巳之介は、その際に外にも不都合な人間がいるからいずれ始末をつけると兄が言っていたことをすぐにお才に話すと、お才は自分を引き続きここに置いてくれるように兄や母に口開きをしてくれと、巳之介に頼みます。翌日卯三郎は暇を出され、お才もそうされそうになりますが、やって来た彼女の兄が以前に巳之介に書かせた証文を見せ、巳之介の兄から二百両を巻き上げ、お才を連れて帰ります。巳之介は1ヶ月の禁足を受けた後、懲りずにまたお才の実家へ出かけると、お才は何事もなかったかのように巳之介を食事に誘い、その後押し入れから卯三郎が出てくるのでした。お才は巳之介に、お才に言い寄っていた卯三郎が恋しいお露に会わせろと言い出し、もし会わせないなら巳之介が兄から勘当させられるように仕組むと脅していると伝えると、巳之介はお露を説得にかかります。今でもお露を慕っているという卯三郎の手紙を見せると、お露は卯三郎の元へ駆落ちすることに苦もなく同意しますが、巳之介はお露が卯三郎の子供を身ごもっていることも知ります。計画通り深夜お露とともに家を抜け出し、卯三郎が用意した家へ向かっている途中、巳之介らは賊に襲われ、家から盗んで来た百両を奪われて川に落とされ、お露は女郎に売り飛ばされるために卯三郎の仲間にさらわれて行きます。巳之介が死んだと思って現れた卯三郎とお才の話を盗み聞いた巳之介は、お露の持っているであろう金を奪うために仲間を卯三郎が追っていった後、お才の前に現れ、性懲りも無くお才に復縁を迫りますが、気味悪がるお才は逃げ出し、巳之介はそれをどこまでも追いかけていくのでした。
 お才と卯三郎の絵に描いたような悪党ぶりと、巳之介のこれまた絵に描いたようなダメ男ぶりを楽しめました。読みやすい文体であったことも記しておきたいと思います。

 →Nature Life(http://www.ceres.dti.ne.jp/^m-goto)

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