ここ二、三日、川のほとりを散策している。雨も降らないのに、川の流れが速い。これは、上流の方で雪解けが進んでいる証拠だ。流れの中に魚か小動物でもいるのか、鳶がゆっくりと川面を目指して降りてきた。ふと見ると、堤防の陽だまりで、川面を眺めながら、景色に融け込んだように静かに座っている老人の姿がみえた。三々五々、連れ立って散策している人たちと行き交う。春の午後である。ここには、コロナを心配するような人もなく、ゆったりと時が流れる。空はどこまでも青い。遠く蔵王の峰には、白い雪が新たに降ったように見える。
春の水わが歩みよりやゝ早し 谷野予志
妻の手術した足の回復も進んできた。歩くことに自信がついてきたようだ。少しづつ日常が取り戻せている。妻だけを家に残して外出するのも心配がなくなっている。手につかなかった読書も軽い内容のものであればできる。宮部みゆきの『火車』。夜の眠りに入る前や、早朝の目覚めに、この本を読みながら夜が白み始めるのを待つ。散歩の途中古書店で掘り出し物を探すのが日課になった。古書店を訪れる人もまばらだが絶えることがない。不要になった本の買い取りにも熱心な店だ。
生れ故郷の秋田県鹿角での焼き付け印象なのでしょうね。
春の景物はネコヤナギでしたね。
その頃の景色が今も忘れられません