朝の風が気持ちいい。ここ数日、気温が下がって朝の散歩が楽しい。脳内にセレトニンが分泌され、散歩にリズム感が伴ってくる。日光を浴びると、体内時計がリセットされ、ビタミンdの働きが活性化される。歩くことで、足は血液の循環を促進する。脳の働きもまた活発化する。歩くリズムもまた大切である。テンポよい歩きは、セレトニンの分泌をさらに促進する。
若山牧水や田山花袋など、明治の文豪はその健脚でも知られている。牧水は『みなかみ紀行』に川の源流への思いを書いている。
「私は河の水上というものに不思議な愛着を感じる癖を持っている。一つの流れに沿うて次第にそのつめまで登る。そして峠を越せば其処にまた一つの新しい水源があって小さな瀬を作りながら流れ出している、という風な処に出会うと、胸の苦しくなる様な喜びを覚えるのが常であった。」この日、牧水は沼田から9里の道を歩き、越後三国峠の中腹にある法師温泉に行っている。
田山花袋の「昔の旅」には、自身の歩きについて語った一文がある。「わたしは歩いているうちに、旅行哲学を考え出した。始めは足で歩く、足が疲れてくると膝で歩く、膝が疲れてくると腰で歩く、腰と腹が疲れてくると身體で歩くのである。この身體全体歩くと恰度韋駄天 のやうに歩ける。」と語り、一日平均18里と14里歩く差について述べている。18里とは72㌔、14里とは56㌔でるが、その歩きが身体が引き締まる、寝ている感覚に例えている。車のない時代、足しか頼るもののない時代の歩きは、現代から見れば気が遠くなる。
いま咲くは色香深かる草花のいのちみじかき夏草の花 牧水
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