常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

七つ滝

2021年09月08日 | 登山
鶴岡市田麦俣の多層民家で有名な集落の奥にある名瀑、七つ滝。崖状の岩を流れる滝を七筋とみたのか、この滝壺では、湯殿山神社に参拝する行者が身を清めるために滝に打たれた。庄内と内陸を結ぶ、六十里越街道は1200年前に開かれたと伝えられている。近代の鉄道ができるまで庄内と内陸を結ぶ交通は、主に最上川を利用する水路が利用されてきた。六十里越街道は、湯殿山、月山などの山岳信仰に利用されてきたことが大きい。

この日、山の会は湯殿山神社の参籠所の裏の土手を沢へ下り、増水気味の川を渡渉し六十里越街道を田麦俣へ向かった。往時の道型を残す古道には間もなく笹小屋跡の看板がある。その脇の方に古びた石碑が立ち並んでいる。この笹小屋は木食行者がこもった小屋である。木食とは五穀を断ち、木の実や草のみを食べて修行する。石碑には行者名と参籠日数が彫られていた。行者は智明海など海を号とする人が殆どだ。参籠日数は様々だが、9千日、5千日、2千日などとあったようだ。5千日は13年と7か月、かくも長い修行生活である。かくて、即身成仏を遂げた行者は多い。六十里越街道には、この山麓に住む人の安寧を祈って厳しい修行を続けた行者たちの跡が、かすかに残っている。

語られぬ湯殿にぬらす袂かな 芭蕉

『おくの細道』で湯殿山を訪れた芭蕉が残した句だ。なぜ語られないのか。湯殿のご神体である岩が、女陰の形をし、湧き出る湯はその部分を洗っているように見える。参籠所から本宮へ50mほど登ると、むき出しになった岩頭がある。品倉山の一部であるが、剣神社とされその向いには仙人沢があり、御神滝と呼ばれ、男女和合の姿とされる。人々は古来、この山を恋の山と呼び、縁結び、家内繁盛などを実現する神として信仰してきたのである。
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