長雨に終止符が打たれて、やっと青空が見えた。萩の花も雨の重みを脱して、風にゆらゆらと気持ちよさそうに吹かれている。『枕草子』に萩の花が取り上げられているが、秋の花のなかでも、その露にぬれた重たげな花の様子に言及している。
「すこし日たけぬれば、萩などいと重げなるに、露の落つるに枝のうち動きて、人も手ふれぬに、ふとかみざまへあがりたるも、いみじうをかし」(第67段)
朝露にぬれた萩の枝がその重さに垂れているが、日があがり露が落ちて乾いてくると、人が手も触れないのに、ぽんと花ごと枝を跳ね上げる。まるで、動画を見るような感覚で萩を愛でている。たおやかな萩の花は、平安の時代、女性の象徴として歌に詠まれてきた。添えられるのは、雌を求めてなく鹿の声であった。秋の花を愛でるにも、皆が了解する約束事があった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます