常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

雪月花

2022年02月20日 | 日記
雪景色を見て、その美しさに魅入らされたのは、年を重ねてからのことである。雪に埋もれ、雪と戦うようにして生きていた年若いころには、雪を美しいとする心のゆとりは無かったように思う。寒さを防ぐ十分な防寒着、時間のゆとり、年を重ねて周りにある美しいものへ気づき。雪景色を美しいと感じるためには、人生を生き抜いてきた長い時間が必要であった。「雪月花」という言葉がある。漢和辞典にあたってみると、「雪と月と花と。四季の美しいながめの代表」と解説している。この言葉が、日本に定着したのは、白氏文集を読んだ平安時代の文人である。

琴詩酒の友皆我を抛つ
雪月花の時に最も君を憶ふ 白

和漢朗詠集734「交友」に収められた白楽天の対句である。川口久雄氏による現代語訳があるから、ここに引用する。「殷氏たちと五年も生活して琴詩酒を楽しんでいたのに、今はもうあの時の琴の友、詩の友、酒の友はみな私を見すてて散り散りになったしまいました。年を迎えて、雪のとき、月のとき、花のときがめぐって来るたびに、多くの友のなかでも、ことに君のことがせつに憶いおこされます。

雪の上に 照れる月夜に 梅の花 折りて贈らむ 愛しき子もがも  大伴家持

万葉集の編者大伴家持は、雪と月と花を一首に詠み込んで、雪月花の美しさを謳いあげて見せた。以来、この言葉は白居易を離れ、日本人の美意識となっていく。ノーベル文学賞を受賞した川端康成の記念講演「美しい日本の私」のなかで、川端は雪月花を引用し、日本人の四季の美意識について語っている。
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雪の思い出

2022年02月19日 | 日記

雪に遊び、歩くことに癒される日々。人には心に抱く様々な思いがある。年を重ね、明日を思いながらも浸るのは、遠い故郷の思い出。戦中、西川町の岩根沢に疎開した丸山薫に、こんな詩がある。

言葉なき愛 丸山薫

山の高い嶺のあたり
ふりつもつた厚い雪の上や
陽を浴びてかたむく木の下をとほるとき
ふと想ひ起す
いまは亡い母や
家に在る妻のことを

また世のゆきずりに出遭つて
すぐ迹形もなく離れ去った女性達の
つつましく小さなこころづくしを

それら自然の中に寂びて
風のやうにも ときに吾が心に鳴りきたる
言葉なき愛の思い出―

雪深い大井沢の山中を歩きながら、詩人の心に去来し、鳴りひびくもの。それは九州の故郷で出会った女性たちの、言葉に出さない愛の思い出であった
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春の雪

2022年02月17日 | 日記

昨日、天気予報にこの冬はじめて雨マークが出た。なかなか寒気がぬけないので、今朝も玄関先のアプローチにうっすらと雪が積もった。この季節に降る雪は綿のようで、脆い感じがする。昼近くなって溶けてなくなる予感がする。雪には湿気を多く含んでいるように思う。降ると思えば晴れ、ほどなくしてまた降るのが春の雪だ。やがて淡雪になり、蕗の薹が顔を出すのも間近い。

吹き晴れてまたふる空や春の雪 太祇

コロナのワクチン3回目で、少しあった身体の違和感もなくなり、元通りの元気を取り戻すことができた。睡眠も次第に深くなってきた。夜明け前に目が覚めて少し本を読んだが、原田マハ『カンヴァスの楽園』が面白くて眠りを妨げる。二度目の眠りで夢を見た。これほど鮮明な夢は久しぶりのことである。正月以来晩酌を止めているが、夢のなかで、友人たちとうす暗い居酒屋で飲んでいる。小用を足したくなって席を離れる。手洗いまで、酔いのために、足元が覚束ない。やっとの思いで席に戻るが、飲んでいたはずの友人たちは姿を消している。この居酒屋の場所がどこかも分からず、友人たちがいないと自分が帰る家までの道も分からないのだ。途方にくれる酔った自分が一人居酒屋に。見れば店の人の姿も見えない。酒の習慣を止めたことが、こんな夢につながっているのか。

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ブースター終了

2022年02月15日 | 登山
13日に3回目のコロナワクチン接種が終了した。副作用は接種部分に痛みがあったがさほどでない。午前の陽ざしのなかを東黒森山に登った。登山道に着くまで、昨日降った新雪を登る。膝付近までの積雪で、ラッセル10分ほど短い距離でも心拍が上がる。恐らくブースター終了から2日目なので影響がある感じである。急坂を登るにつれて、足の筋肉に力が入らない。人によって副作用の出方はそれぞれだが、二日後の激しい運動は避けた方がいいように思う。

昨日降った雪は市内で10㌢ほどであったが、山に入ると30㌢以上の積雪である。今年は立冬を過ぎても、雪が降り続いている。こんな小さな里山でも、ラッセルが必要で、雪山の醍醐味が味わえる。雪中には動物たちの足跡も、小鳥の囀りもない。静かな山中で、山の仲間の歓声だけが響いている。

一夜寝て一夜齢とる冬の山 福田蓼汀
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朝散歩

2022年02月14日 | 日記
日一日と朝の戸外が気持ちよくなる。目のさめるような青空に、針葉樹の庭木の緑が美しい。冬の日の足元の圧雪に気を使いながらのウォーキングから、雪のない道を速歩で歩くことが可能になあった。朝が爽快なのは、脳内物質のセレトニンが活性化しているからだ。精神科医の樺沢先生によれば、セレトニンは覚醒、気分、意欲、感情などをコントロールし、爽やかで気持ちい気分にさせてくれる。さらに、体内時計がリセットされて、眠気は朝散歩から15、6時間後のに出てくる。朝6時に戸外に出れば、夜の9時から10時頃に眠くなる仕組みになっている。

セレトニンを活性化させる歩き方がある。樺沢先生の言葉を借りると、「背筋を伸ばしまっすぐ前を向いて、早歩きで1,2、1,2とリズムをとる」テンポよく歩くことで、セレトニンの分泌は活性化される。もうすぐ春になる季節で、ここまで生活習慣の見直しが少しずつ進んでいるっことを実感している。夜の飲酒習慣を止め、過食を避ける。ウォーキングやストレッチなどの運動のルーティン化。睡眠の質の向上。3番目の睡眠だけが、途上である。朝散歩をもっと増やせば、定時就寝と起床、目覚めない質の高い睡眠の獲得まで努力が必要だ。

春眠の全きにすべて失いぬ 井沢正
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