「東映太秦映画村」の江戸の町並や忍者ショー、ちゃんぱら指南、大道芸のがまの油売りを楽しんだミモロ。
さて、最後に参加したのは、映画村がよーくわかる「おもしろ散策ツアー」。俳優さんが映画村の中を解説しながら案内してくれます。
その日の集合時間に、ミモロは、集合場所へ、ハリキッテ出かけます。ミモロは、一番乗り。案内役の俳優さんの宮崎智弘さんといっしょに、他の人が来るのを待つことに。
「なんか、なかなか来ませんねー」とミモロは、心配そう。「うーん、今日は、参加はひとりかな?」「あのーミモロだけでもいいんですか?」「はい、あ、ミモロちゃんっていうんですね。では、さっそくご案内しましょ」と、この日は、特別寒かったせいもあり、この時間の参加者は、ミモロだけ。「わー、宮崎さん独占しちゃうもんねー」と、まるでプライベートツアーのよう。うれしそうに、宮崎さんのあとに続きます。
まず案内されたのは四角いプールのような場所。
「ここは、撮影では、港町になったり、川になったり、水が登場する場面に使われます。よく悪者が、やっつけられて川に落ちる場面があるでしょ、あれは、なかなかむずかしいショットなんです。ともかく失敗が許されない。失敗したら、着物が濡れてしまうし、一番大変なのがカツラなんです。失敗できない撮影なので、ベテランの切られ役の上手な俳優さんが担当することが多いんですよ」「悪者が切られて、ドボンと川に落ちる場面でしょ。むずかしいんだー」。「ちょっとカツラに触ってみますか?」
「わーカチカチ…」「カツラの中には、薄い金属板が入っているんですよー。カツラを濡らすと大変なんです。また使うのに手間と時間がかかって…」
「あ、池から、なんか出てきたー」「そう、池の主の恐竜です…」
「うー江戸の町に怪獣だー。太秦のウッシー?」
「ミモロ、時代劇大好きなんですー。例えば、『八丁堀の七人』なんか好きでした」「それは、ここで撮影したんですよ。そう、じゃ、いろいろ案内しますね」
すっかり時代劇の話で盛り上がったふたりは、楽しそうに江戸の町を歩きます。
「はい、ここの家が、セットの中でひとつのポイントです。この家は、簡単に移動できるんですよ。他に場所に移動すれば、ここは大通りになります」
「ちょっと後ろに回って見て下さい」「あれ、お家がない…」
そう、この家は、表だけで、裏はなんにもありません。「でも、表から見ると、本当のお家に見える…」
映画村のセットは、看板、暖簾、建具など、建物の一部を変更するだけで、別の町に早変わり。スゴイ!
「これ持ってみてー」とミモロに渡された大きな石。
「えー無理無理…」とミモロ。躊躇していると腕に乗せられました。「あれ?軽い…」その石は、作りもの。でも、本物のように見えるから不思議…・
例えば、大きな甕も、作りもののことが多いそう。でもその中にいくつか本物を入れておくと、全体が本物に見えるんだとか。墓石、庭石なども作りものが…。大道具さんの技術の高さが光ります。
ミモロ、気を付けて…井戸に落ちるわよ…。長屋のおばさんたちが、よく井戸端でおしゃべりするシーンなどに登場するセット。
「大丈夫だよー…お水ないもの…」そう、この井戸もセットなので、地面に井戸の枠を置いているだけ。
「よく井戸から水を汲みだすシーンは、あらかじめ桶に水を入れておいて、それを持ち上げるんですよ」
「なるほどー」「でも、本物の井戸なら、縄の部分が、濡れていますが、セットだと濡れてないことが…。そこを見ると、あ、セットだーってわかります」
ふたりは、さらに江戸の町を歩きます。
「あのーさっきちゃんばら指南で、習ったのー。また、やってもいい?」とミモロ。
「では…」と、またミモロは、ちゃんばらを。
「なかなかやりますなー」と宮崎さん。
「時代劇の切りあいの場面で、大切なのは、切られ方。主役の俳優さんが、いかにカッコよく見せられるかは、切られる人の演技次第。ただ、倒れるだけじゃだめ、一回転したり、のけぞったり、そこに切られる人の演技があるわけ…。主役の俳優さんによっては、切られ役の俳優さんを指名する人もいるんですよ」と。
「あのー切られた人、踏まれちゃったりしないの?」とミモロ。
「はい、上手に画面から消えて、大勢の浪人や家来が必要な場合は、一度切られた人が、もう一度、切りかかることも。だから、切られる人の衣装は、みんな似たような感じにしてあるんです」
「いつまでも、切られて横になってちゃ、いけないんだー」「そう、邪魔です」
最後に連れて行ってくださったのは、撮影の様子が一目でわかるパノラマ。
「こういうところで、撮影するんだー」とミモロは、興味津々。
時代劇の撮影は、映画村の中だけでなく、京都の町でも。よく登場するのが、映画村から近い、嵯峨の大覚寺の周辺、そして東山の南禅寺付近なども登場します。また、ミモロが何度か訪れた滋賀県の近江八幡も、ロケ地になる場所のひとつです。
時代劇の場合、ロケ地には、電柱がないこと、近くに景色を損なう近代的な建物がないことなどは、必須条件。
だから、よく時代劇を見ている人ならわかりますが、地名が違っていても、景色が同じことはたびたび。
「江戸が舞台の時代劇でも、景色は京都なんだー」。
でも、今の時代劇の多くは、こういう撮影所で行われます。照明の変化などで夜や朝のシーン、雨も自在に降らせることが可能ですから。
「この建物は、なあに?」「それは、楽屋などがある建物。主役クラスの大物俳優さんは、自分の個室をもっているんですよ。僕らは、大勢で一緒の大部屋で、建物の上に方にあるんです。大物俳優さんの部屋のある下の階には、行けないんです。通るのは、階段だけ…」「へー厳しい世界なんだねー」
時代劇が大好きという俳優の宮崎智弘さん。
笑顔がステキな俳優さんです。「今度、時代劇見るときは、エンディンロールまで、よーく見ます」と、ミモロ。
「今日は、ミモロのためだけに案内してくださって、ありがとうございました。」
「いえ、なんのなんの…楽しゅうござった…」と握手でお別れ。
映画村を出る前に、うどんやさんへ。
「あれ?割り箸の袋がミモロの刀といっしょだー」
なかなか凝った演出。
大好きなきつねうどんをお腹いっぱい食べました。
「わー楽しかったー。今度は、『お化け屋敷』や『からくり忍者屋敷』にも行きたいなぁー」
西の山に、そろそろ陽が傾き始めた江戸の町に別れを告げるミモロ。その後ろ姿には、大きな満足感と幾分かの疲れが漂っていました。(完)
*「東映太秦映画村」のくわしい情報はホームページで。
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