友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

富士山に魅せられ

2007年07月26日 20時49分38秒 | Weblog
 礼文島に行ってきたという人の話では、今年は季節の巡りが早くて、もう秋の気配だったそうだ。雨には降られなかったけれど「寒かった」とも言う。利尻島にも渡ったようで、海は穏やかで、利尻富士はとても美しかったと喜びを語ってくれた。日本には富士という名前の山がたくさんあり、私の友人は全国の富士山を登ると計画していた。もう実現したのだろうかと思い出した。

 津軽平野から見た岩木山も裾野が広く美しかった。私が始めて富士山を目の前にしたのは中学3年の修学旅行の時だった。見事なまでに美しい姿に感動した。新婚旅行、子どもができてからの家族旅行は長い間、富士山だった。退職したら富士山麓の農家を買って住みたいとカミさんに言っていたほど惚れ込んでいた。富士山はどこから眺めても飽きない。山の姿は立つ場所や時間で微妙に変化する。富士山に魅せられた絵描きや小説家が多いのもそのせいだと思う。

 姉を連れて河口湖に宿泊したのも、湖の北岸に宿を取ったのも、静岡側からではない富士山を見せたかったからだ。2日目の朝、本来なら朝日に輝く富士山を見ながらの朝食となるはずだったが、あいにくの曇り空で、湖岸までも煙っていた。レストランの係りの人が「今日はどんなご予定ですか?」と尋ねてくれた。「姉は富士山に登ったことが無いと言うので、5合目までは車でいけるから、連れて行ってあげると言ったんですが、この天気では行っても無駄でしょうね」と答えると、「今朝、ご来光を見に行った人の話では5合目は良い天気だったそうですから、行かれてみてはいかがですか。フロントに申し付けていただければ、5合目の方に電話して向こうの天気を聞くことができますから」と教えてくれた。

 出かけにフロントで聞くと、すぐに電話をしてくれた。「お天気は良いそうです」。河口湖は曇っていて、富士山の姿は全く見えない。それなのに5合目は雨降りではないと言う。それなら行くだけの価値はあるからと富士スバルラインへと向かう。途中は霧で、5メートル先が見えないところもあったが、上に進むとだんだん視界がよくなってきた。5合目の駐車場はてんてこ舞いである。観光バスと乗用車で溢れかえっていた。運良く駐車できたが、ここに車を止めたのは39年ぶりだ。それだけ時間が経過しているのだから当たり前なのかもしれないが、全く景色は一変していた。

 富士山が世界遺産にならないのも、こうした大駐車場や売店など人工的な部分がありすぎるからかもしれない。富士山を眺めさせようと、余り歩けない姉を連れ出し、売店へと向かった。英語や韓国語、中国語がやかましく聞こえる。「外人が多いんだね」と姉が驚く。外人さんらと同じように、雲のかかった富士山を背景に写真を撮ろうとしていた時、空に青い部分が生まれ、どんどん広がってきた。もう少し待ってみよう、きっと頂上の雲もなくなるから。そう思っていたらアッと言う間に晴れて、山頂が顔を出した。全く幸運なことだった。富士山の水でコーヒーを飲んで帰ろうと売店に入ってしばらくすると、再び富士山は雲に隠れてしまった。
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