友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

もう少しだけ

2008年07月09日 22時51分54秒 | Weblog
 我が家の上には2所帯が住んでいる。我が家のルーフガーデンは我が家で眺める光景と、この2軒から見える光景では随分違うようだ。上から庭を眺めていて、花が盛りになるのがよくわかるとおっしゃる。いつからか、この2軒の家からの眺めを気にして、鉢を配置するようになった。まず、我が家の応接ができる北の部屋から庭を眺めて花たちの位置を決め、それから上から眺めて満足のいくようにもう一度配置を考え直す。

 種から育てたサルビアも少しずつ大きくなってきた。いただいた朝顔も順調に育ってきている。ランタナはどんどん増えた。友だちにもらっていただいたが、また今年、16本が芽を出した。サルビアに混じって生えてきたので、初めは雑草かと思って抜き取っていたが、少し大きくなってきたものを見てランタナだとわかった。ヒヨドリがランタナの実を食べに来る。その糞から生まれたものや揺すられて落ちたものなど、出生の秘密は様々だと想像している。

 ルーフガーデンの最高の使い道は、ビアガーデンだ。戸外で飲むビールはうまい。家族みんなが揃った時は、ルーフガーデンに食卓を出し、電灯をつけて晩ご飯を食べた。夏の楽しみである。このところ、我が家の上の方が体調を悪くされているので、なんとなくルーフガーデンでの食事は遠慮がちになってしまった。以前は、上の家族とそのまた上の家族の3所帯で、実を言えば、その子どもたちも家族連れで来ていたから、6所帯で、よくビアパーティーを開いた。みんなお酒好きだったから、飲んで食べてよく話した。

 今日は昼から、この上の方を病院に見舞ってきた。8月はこの上の方の81回目の誕生日だ。「今年もビアパーティーでお祝いしましょう」と元気付けのつもりだったが、「無理かもしれん」と言う。「医者がね、あと5ヶ月だと言うんだね。放射線治療をやってもプラス3だからね。心臓が悪くて手術もしてもらったのに、放射線治療でノドをやられて、ノドをやられんための薬を飲むが、ゲエゲエだから。飲んだ心臓の薬もみんなゲエゲエだからね。」「人はさ、生まれたときから決まっているんだ。本人が知らんだけだね。この歳になると、教えてもらってよかったね。」

 今日は調子が良くないと言う割には、よく話した。話すことで、自分の考えをまとめているのかもしれない。そうか先が見えた方がいいのかと思った。私も60歳を過ぎ、ただの人になって、これでもう終わりだなと思うようになった。それでも来年の4月の65歳の誕生日で終りですよと言われると、覚悟はできているつもりでもちょっと寂しいと思う。人はなかなか欲深い。もう少し幸せでいたい。もう少しだけ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする