昨夜の雨のせいなのか、朝方はまだ曇っていた。カンカン照りよりはこの方が作業はしやすい。今日こそ目途が立つように頑張るぞとみんなの意気は上がっていた。休日のためか道路は空いていて、井戸掘り現場に30分も早く着いてしまった。先日、掘った穴を見ると、土砂で30センチか40センチは埋まっている。150ミリの塩ビ管を立てて置いたので、借りたアメリカ製の井戸掘り器を塩ビ管に入れ、中の土を掘り上げようとするが、すぐに石に閊えて動かない。ダメだ。昔の人のようにしばらくは手掘りで進めるしかない。
塩ビ管の周りの土を掘り、滑車を利用してバケツで外に出す作業を続ける。これにはかなり時間がかかった。午前中かけて先日、掘った位置くらいまで、根気よくバケツで砂や石をかき出した。水位は先日よりも少し高い3メートル40センチで、これは雨の影響なのか、それとも測り方が雑だったのか、そんなところが原因だろう。アメリカ製の井戸掘り器を使うためには、大きな石は取り除かなくてはいけない。そこで午後からは、穴の中で水とともに砂や石を汲み上げる作業に徹した。おかげで40センチから50センチは深くすることは出来た。
けれども、穴の中に入る人は長靴も水浸しになるし、水の中で小石や大きな石を手探りでかき集め、バケツに入れて上にあげる作業を続けているうちに、軍手の指先が破れてくる始末だ。「水が多くて作業できないから、水を汲み上げてから掘ったらどうか」と穴の中の人は言う。汚水用の水中ポンプは持って来ていないし、ガソリンエンジンで汲み上げる手もあるが、それも今日は用意できない。今日はここまでにして、また明日、行なうことにした。
仲間が話す今日の名言。「神様は耐えられる試練しか与えない」。これは私たちへの試練なのだ。私たちがどこまで我慢できるのか、神様は試してみえる。それは耐えられる範囲にあるのだから、諦めたり投げ出したりしないことだ。苦しいこともあれば、楽しいこともある。悪いことばかりが続くわけではない。そんな話をしながら、かき集めてはバケツで上げる。出しても出しても、写真のように石ばかりが出て来る。 神様は厳しい方だとつくづく思う。