テレビドラマ『半沢直樹』が終わってしまった。ラストはどんな終り方かと注目していたが、やはり予想通りだった。水戸黄門のように悪人をやっつけて、「めでたし、めでたし」では、余りに現実離れになってしまう。半沢は現代に生きていて、会社の理不尽と戦っているから会社員の共感を得ている。私利私欲の連中に「倍返しだ」と挑むところが見ている者には気持ちいいのだ。しかし、結末は「どんなに正義をかざしても会社・組織はこういうものだ」で終わっている。
私はこの手のドラマに興味がなかった。7月頃だったか、中学からの友だちのブログに『半沢直樹』に元気付けられたといったことが書かれていた。しばらくすると、新聞や週刊誌がドラマに関わる記事を取り上げるようになった。そんな折、大手の広告会社に勤めた友だちが「あんなものじゃーないわよ」とドラマのことを話してくれた。それで見る気になって、ハマってしまった。
ドラマのことは井戸掘り仲間でもしばしば話題になった。最終回のことも、「結局、頭取が一番偉い」「いや、偉いというよりも一番得をした」「次の物語のために、ああした終わり方をした。出向先の証券会社でまた始まるんじゃーないか」「常務の処分は見事だ。あれで頭取は基盤を万全なものにした」「邪魔な奴は排除し、やり過ぎる奴も排除する。会社とはそういうところ」などなど。会社員で営業畑を歩いてきた仲間は昔を思い出しながら言う。
NHK朝のドラマ『あまちゃん』も今週で終わってしまう。3組の結婚式が最後になるようだ。三陸海岸が舞台だが、津波の被害やそこからの復興を強調するようなテーマでないところがいい。復興については「おらたちが自分でやるんだ」と語らせ、いろんな芸能人らの復興支援を「名を売るため」と揶揄しながらも、素直に受け入れて見せている。「憧れ(アイドル)」を求めた祖母、母、娘の3代の物語であり、東京だけが、つまり華やかなものだけが、人生の舞台ではない。母役の小泉今日子のセリフではないが、「故郷を好きになれないものは東京も好きになれない」ということだろう。
ドラマで音痴と言われ続けてきたので、薬師丸ひろ子は本当に音痴のように思えてきたが、実際に歌うと、小泉今日子よりもはるかにうまかった。小泉今日子を女優として面白いと思っていたけれど、歌よりも演技の方に存在感がありそうだ。薬師丸ひろ子は歌い続けてもいいのではないか、そんなどうでもいいことをも思わせるドラマだった。