マンションの総会。「出席者は191人、委任状が308人、合計499、全戸で659ありますから過半数の330を超えています。よってこの総会は成立しております」と議長が宣言する。毎年のことながらこんなに委任状が多くてもいいのかと考えてしまう。少なくとも出席者が全戸の過半数にならないものかといつも思うけれど、賛否が伯仲するような案件があった時でも、出席者が過半数を超えたことはなかったように思う。
駐車料金を10%値上げする案と、自転車置き場の屋根を補修する案が執行部から提案された。駐車料金の値上げについては昨年からいろいろ言われてきたが、執行部は10%値上げで落ち着いたようだ。会場から「修正案を出したい」という意見があったが、「修正案を出すなら事前に申し出るべきだ」という意見が出て、修正案は取り上げられなかった。修正案を出したいという人は、今後の大規模修繕のことを考えると値上げ幅が小さいという意見だったのに、値上げに反対と受け取られたようだ。
組長でなければ毎月行なわれている総代会に出席できないが、総会は最高決定の場だから誰でも発言できるはず、修正案を提案してなぜいけないのかと言う訳である。私が議長なら、修正案をまず採決し、続いて執行部案の採決に移るが、修正案は無視されてしまった。値上げの幅の問題なのだから、10%ではダメと言うならまた来年提案すればいい。「何を言っても無駄」と悲観していたけれど、いや、おかげで後半はいろいろと意見が出た。
自治会長が事務所長を兼任することは最大の危機的状況なので、私は監査を務めた先輩に、「事務所長が決まらないことについて、監査ではどのように問題にされたのですか」と聞いてみた。先輩も同じ認識だったけれど、「適当な人物がいないので」と自治会長と同じことを言う。「今の職員を研修させ、今年度中には決めると思う」と意外にのんびりした考えだった。マンションも社会の縮図、権力を持っている方が圧倒的に強い。「もう、総会には出ない」と修正案を無視された人は言うけれど、それでは民主主義は育てられない。困ったものだ。